41 / 84
39話やってしまった…
しおりを挟む『人間…あたしの言葉がわかるの!?』
「そうみたいだねぇ…。なんでだろう?」
『ハッ…‼‼さては、人間!人間じゃないな!』
「いやいや、僕はれっきとした人間だよ…」
この子ちょっと抜けてるのかな。悪い子じゃないみたいだけど、ここで何してるんだろ?ただいただけって感じもしないよね。
いただけなら討伐依頼は出てくるのはおかしい。
「キミはここで何しているの?」
『人間に関係ないわ!』
「でも、キミの討伐依頼が出てるんだよ…。理由があるなら話し聞くよ」
『ハヤト!こんなやつと話さなくていい!』
ルピが僕と赤目ネコの間に立つと、話さないでと僕にしがみついてくる。
これはヤキモチ…なのかな?それとも、赤目ネコが悪い魔物なのかな?そんなふうには見えないけど…。
いい子いい子よ撫でてあげても僕の身体に顔をうずめたままのルピ。
「ルピ、ちょっとだけお話し聞きたいから少し待ってて?」
『ルピが1番?』
ん?1番も2番もルピしかいないのに、でもこれはヤキモチなんだろうな。
「ルピのことがとっても大好きだよ。でも、僕はこの人は好きこの人は嫌いって順番付けるのは好きじゃないな」
『ルピいっぱい大好き?』
「もちろん!いっぱい大好きだよ」
そういうと、うずめていた顔をパッとあげてルピもハヤト大好き!と最高の笑顔を向けてくれる。
ルピさんや、僕は鼻血が出そうだよ…。それは攻撃力高すぎな笑顔とセリフだよ…。
『イチャイチャするなら、あたし行ってもいいかしら…』
「ごめんごめん。理由を聞かせてくれる?」
『あんたたち、人間に話したくない。勝手に奪って勝手に殺しに来るなんて、人間なんて最低な種族よ!』
赤目ネコが頑なに話しをするのを嫌がってくる。
勝手に奪ってってことは、ここにある何かを僕たち人が取りに来ていたのか?殺しに来るって言うのは、僕が言った討伐依頼の事だな…。
「キミは殺すつもりなんて今は思ってないよ。でも、ここで僕たちが帰っても新たな人が来るだけだよ。その人に言葉が通じる保証もないでしょ?それなら話してくれる方がキミのためにもなるかもしれない」
『ハヤトは悪い人間じゃない。それにこのままだと死んじゃうよ』
ルピが赤目ネコに話しかけてくれる。死んじゃうよって、僕たち以外が討伐に来たらってことだよね。
そう考えているとルピがリンゴとリンゴのお薬を出してと言ってくる。リンゴはあるけど、リンゴの薬なんて僕持ってないよ。
「リンゴはあるけど、リンゴの薬は持ってないよ?」
『リンゴで作ったお薬』
「ポーションのこと?」
『うん』
ルピがリンゴとポーションを出してと言ってくるため渡すと、赤目ネコにルピがあげると渡していた。なんていい子なんだ…。
でも、さっき回復用のポーションかけてあげたけど、あれじゃ足りなかったのかな?
『この赤い実…と薬。人間が作ったの?』
「正確にいうとリンゴは僕じゃない。ルピが作ってくれたんだよ。お腹減ってるなら食べて?毒は入ってないよ」
『そんなの見ればわかるわ…』
ルピが早く食べなよと言ってくれたのもあり、スンスンと匂いをかぐとバクバクと食べていく。お腹減ってたんだな…。器用にポーションが入っているビンも両手で持つとゴクゴクと飲み干していった。
ビンはポーションにならないかなと思った時に、液体で出てきてしまいフワフワと水風船の風船ないバージョンで浮いていたので、ゲーハさんがこれに入れとけとあの時くれた。
『助かったわ。魔力切れで倒れそうだったから』
「それで、理由は話してもらえる?」
『助けてもらったし、いいわ…』
ポツリポツリと、この泉は魔力が高いらしく泉の周りに赤目ネコのエサとなる魔力が高い実がなっていたそうだ。
それを人が魔力が高いからとどんどん採取していってしまい、食べるものが少なく無くなった赤目ネコはその数を減らし、今はこの子だけになってしまったそうだ。
それ以上は聞いても関係ないと話してくれなかった。
「ここに人が来ないよう、僕に討伐依頼を出した人に相談してみるよ」
『そうしてくれると助かるわ』
「さっそくゲーハさんに相談しに行こう」
『一緒に行かないの?』
「え?なんで?」
『だって、ルピと一緒だよ?』
ルピがそう話すと、赤目ネコの嘘でしょーーーーーーーーー!と叫び声が聞こえてくる。え?なに?どうしたの!?
『あたしまで…従魔に…従魔になってる!!!!』
「ルピ気が付いてたの?」
『うん』
いつから気が付いてたの?というと、回復ポーションをあげた時に半分従魔になりそうな気配があったそうだ。
そのあとリンゴと魔力ポーションをあげたことで従魔になったらしい。それでなるんだ…。今後気をつけなきゃな…。
でも、リンゴとポーションをあげてほしいと言ってきたのはルピだ。従魔にしたかったのかな?
「ルピは、この子と一緒にいたかったの?」
『ハヤト、ルピ大好きだから。それに1人は寂しい』
本当になんていい子なんだうちの子は…。いい子いい子とルピを撫でてあげると、満面の笑みでルピが恐ろしいことを言ってきた。
『今日からルピの下僕だからね』
「ちょっと!意味わかって使ってる!?そんなこと言っちゃダメだよ!!」
ルピが、マーヤさんに絵本を読んでもらっている時にネコにこき使われるねずみが出て来たそうだ。最後は仲良くなってネコに守られるお話しだったらしい。
マーヤおばちゃんになんでいじめられてたの?って聞いた時に、弱いから下僕として扱っていたのさね。弱い子は守ってあげなきゃね。
そこでルピは弱い子=下僕となってしまったみたいだ…。
2
あなたにおすすめの小説
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる