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41話ロッソ
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家に戻る頃に、ちょうど鐘が鳴った。とりあえずロッソには隠れてもらい、マーヤさんと帰っていたドラスさんに挨拶をする。
「帰りました」
「お帰りハヤト。お弁当は足りたかい?」
「はい。美味しくいただきました。それで…あの」
なんだい端切れが悪いねとマーヤさんが言ってくる。実は…とロッソに出てきてもらい見せた。ロッソは、どうあたし可愛いでしょうと言わんばかりに、2人の前でドヤ顔をする。少し大人しくしといてくれ。
「こりゃ珍しい。母ちゃん尻尾がこのネコ3つもあるよ」
「ホントさね。近所でも子供が捨て猫拾ってきてと言ってたから、最近多いのかねぇ」
あたしはネコじゃない!とロッソが怒っていたけど、マーヤさんとドラスさんには聞こえない。諦めてもらうしかない。
それを見たルピが、私の方が可愛いんだからとマーヤさんとドラスさんの側に行くと、ナデナデしてもらいながら満足げな顔を僕に向けてくる。
ちょっと、もうやめて……僕本当に疲れるから…。
「ハヤト、このネコは何食べるんだい?」
「えっと、リンゴ?でも、お弁当も食べてたし…。あと、ロッソって名前つけました」
『基本は魔力が高い果実よ!お弁当と言われるものは美味しかったから、まぁ…嗜好品として食べても良いわよ!』
競い合うように唐揚げルピと食べといて嗜好品と言っちゃうの?素直になれないなぁ…これから素直になってくれると嬉しいんだけどね。
「基本何でも食べるみたいです。デザートに庭のリンゴがあれば、満足みたいです」
「そうかい!好き嫌いしない子は好きさね!ロッソの口に合えば良いんだけどね。しっかり食べておくれよ」
ヒューイ♪と尻尾フリフリしながらロッソがマーヤさんに返事を返す。強がってはいたけど多分1人が寂しかったんだろうなと思ってしまう。
僕たちは側にいるからねと気持ちを込めてロッソを撫でてやると、嬉しそうにすり寄ってきて、もふもふの毛が柔らかくて可愛い…。もちろんルピにもいい子いい子は忘れない!
マーヤさんが疲れたろう少し休んでおいでと言ってくれたので、2階の部屋に向かう。
「ロッソはかなり年齢が高いけど、この世界の魔物はみんな高寿命なの?」
「そうねぇ。種類にもよるわね。強い魔物はそれなりにみんな寿命が長いはずよ」
ロッソが言うには、強ければ人間に討伐されたり他の魔物に襲われる危険もないから寿命は自然と長くなるらしい。
それならなんでロッソ達は採取しに来た人間を倒さなかったの?と聞いてみると、泉やその周辺が血で汚れると実の味は落ちるし育ちも悪くなるからと教えてくれた。
あとロッソは種族の中ではまだかなり若い年齢らしく、前の女王は1500歳以上まで生きたそうだ。ただ、死なないわけではないため段々と魔力を吸収できる力が弱まれば消えてしまうらしい。
「いろいろ教えてもらうことはあると思うけど、これからよろしくね!」
『仕方ないわね。あたしが守ってあげるから安心しなさい』
『ハヤトはルピが守るから大丈夫!ロッソは弱いんもん』
『なによ!少し強いからって出しゃばらないでくれる!』
まだまだ2人が仲良くなるには時間がかかりそうだ…。
ロッソはどこで寝る?と聞くと森や林など魔力が高い場所が落ち着くといわれ、庭に案内した。リンゴの木の下が良いと言うので、取り敢えずはそこで今晩は休んでもらおう。明日座布団でも買ってきた方がいいね。
翌朝起きるとルピはパン屋の手伝いにいったらしくいなかった。台所でドラスさんに挨拶をすませパン屋の厨房に顔を出す。ルピとマーヤさんに声をかけ庭へと向かった。
ロッソは家の中にいないから、まだ寝てるのかな。ロッソ起きてる?と庭の扉を開けて僕は固まった…。
昨日までは畑とリンゴの木しかなかった。なぜその脇に小さな池があるんだ⁉ロッソはリンゴの木と池の間に気持ちよさそうに寝ているけど、これ作ったのロッソだよね…。
「ロッソ起きて。これどうしたの⁉」
『ぅにゃぁ……うん……』
「ロッソちゃんと起きて」
『もうなに…?レディーの睡眠は邪魔しちゃダメなのよ』
いやいや、もう朝だから。それにこの池について説明してもらわないといけない。ここは僕の家じゃないんだから。ロッソは眠そうに欠伸をしながら僕に説明をしてくれる。
『あたし水が側にないと落ち着かないの。ずっと水がある場所で生活してたし。実も水がある場所の方がよく育つんんだから。その準備よ』
「でも勝手に作られたら困るよ。僕の家じゃないんだから」
『え?そうなの…。じゃぁ消すから良いわ』
ロッソがヒューイと声をかけると池が盛り上がり水が消え、元に戻っていった。ルピも半端ないけどロッソも半端ないな…。
でも、これは今後真剣に考えないといけないのかもしれないな。
ロッソと一緒にリンゴを取り台所へ向かう。パン屋の仕事を終えたルピが、なんでロッソとリンゴ取ってるの!と怒ってきたためなだめるのに一苦労。
朝ご飯もお互いにそっちのパンが大きいだのリンゴが大きいだの、朝から騒がしくて疲れてしまった。
朝食を終えると2人を連れて戦闘ギルドへ向かう。僕は歩きながら思いを巡らせていた。
「帰りました」
「お帰りハヤト。お弁当は足りたかい?」
「はい。美味しくいただきました。それで…あの」
なんだい端切れが悪いねとマーヤさんが言ってくる。実は…とロッソに出てきてもらい見せた。ロッソは、どうあたし可愛いでしょうと言わんばかりに、2人の前でドヤ顔をする。少し大人しくしといてくれ。
「こりゃ珍しい。母ちゃん尻尾がこのネコ3つもあるよ」
「ホントさね。近所でも子供が捨て猫拾ってきてと言ってたから、最近多いのかねぇ」
あたしはネコじゃない!とロッソが怒っていたけど、マーヤさんとドラスさんには聞こえない。諦めてもらうしかない。
それを見たルピが、私の方が可愛いんだからとマーヤさんとドラスさんの側に行くと、ナデナデしてもらいながら満足げな顔を僕に向けてくる。
ちょっと、もうやめて……僕本当に疲れるから…。
「ハヤト、このネコは何食べるんだい?」
「えっと、リンゴ?でも、お弁当も食べてたし…。あと、ロッソって名前つけました」
『基本は魔力が高い果実よ!お弁当と言われるものは美味しかったから、まぁ…嗜好品として食べても良いわよ!』
競い合うように唐揚げルピと食べといて嗜好品と言っちゃうの?素直になれないなぁ…これから素直になってくれると嬉しいんだけどね。
「基本何でも食べるみたいです。デザートに庭のリンゴがあれば、満足みたいです」
「そうかい!好き嫌いしない子は好きさね!ロッソの口に合えば良いんだけどね。しっかり食べておくれよ」
ヒューイ♪と尻尾フリフリしながらロッソがマーヤさんに返事を返す。強がってはいたけど多分1人が寂しかったんだろうなと思ってしまう。
僕たちは側にいるからねと気持ちを込めてロッソを撫でてやると、嬉しそうにすり寄ってきて、もふもふの毛が柔らかくて可愛い…。もちろんルピにもいい子いい子は忘れない!
マーヤさんが疲れたろう少し休んでおいでと言ってくれたので、2階の部屋に向かう。
「ロッソはかなり年齢が高いけど、この世界の魔物はみんな高寿命なの?」
「そうねぇ。種類にもよるわね。強い魔物はそれなりにみんな寿命が長いはずよ」
ロッソが言うには、強ければ人間に討伐されたり他の魔物に襲われる危険もないから寿命は自然と長くなるらしい。
それならなんでロッソ達は採取しに来た人間を倒さなかったの?と聞いてみると、泉やその周辺が血で汚れると実の味は落ちるし育ちも悪くなるからと教えてくれた。
あとロッソは種族の中ではまだかなり若い年齢らしく、前の女王は1500歳以上まで生きたそうだ。ただ、死なないわけではないため段々と魔力を吸収できる力が弱まれば消えてしまうらしい。
「いろいろ教えてもらうことはあると思うけど、これからよろしくね!」
『仕方ないわね。あたしが守ってあげるから安心しなさい』
『ハヤトはルピが守るから大丈夫!ロッソは弱いんもん』
『なによ!少し強いからって出しゃばらないでくれる!』
まだまだ2人が仲良くなるには時間がかかりそうだ…。
ロッソはどこで寝る?と聞くと森や林など魔力が高い場所が落ち着くといわれ、庭に案内した。リンゴの木の下が良いと言うので、取り敢えずはそこで今晩は休んでもらおう。明日座布団でも買ってきた方がいいね。
翌朝起きるとルピはパン屋の手伝いにいったらしくいなかった。台所でドラスさんに挨拶をすませパン屋の厨房に顔を出す。ルピとマーヤさんに声をかけ庭へと向かった。
ロッソは家の中にいないから、まだ寝てるのかな。ロッソ起きてる?と庭の扉を開けて僕は固まった…。
昨日までは畑とリンゴの木しかなかった。なぜその脇に小さな池があるんだ⁉ロッソはリンゴの木と池の間に気持ちよさそうに寝ているけど、これ作ったのロッソだよね…。
「ロッソ起きて。これどうしたの⁉」
『ぅにゃぁ……うん……』
「ロッソちゃんと起きて」
『もうなに…?レディーの睡眠は邪魔しちゃダメなのよ』
いやいや、もう朝だから。それにこの池について説明してもらわないといけない。ここは僕の家じゃないんだから。ロッソは眠そうに欠伸をしながら僕に説明をしてくれる。
『あたし水が側にないと落ち着かないの。ずっと水がある場所で生活してたし。実も水がある場所の方がよく育つんんだから。その準備よ』
「でも勝手に作られたら困るよ。僕の家じゃないんだから」
『え?そうなの…。じゃぁ消すから良いわ』
ロッソがヒューイと声をかけると池が盛り上がり水が消え、元に戻っていった。ルピも半端ないけどロッソも半端ないな…。
でも、これは今後真剣に考えないといけないのかもしれないな。
ロッソと一緒にリンゴを取り台所へ向かう。パン屋の仕事を終えたルピが、なんでロッソとリンゴ取ってるの!と怒ってきたためなだめるのに一苦労。
朝ご飯もお互いにそっちのパンが大きいだのリンゴが大きいだの、朝から騒がしくて疲れてしまった。
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