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43話僕達の思い。隣町へ
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翌日から、ギルドの討伐依頼はいったん休憩させてもらった。廃墟をどうするか考えないといけない。マーヤさんとドラスさんには伝えていないため、毎朝討伐無理せず頑張って来いよと声をかけらるのが心苦しい。
何度か修理しようと試みたけど、悪化させるばかりで良くなることはなかった。
素人が手を出してどうにかなるわけないよ…。
「とりあえず、いったんこれ壊そう。修理するのは無理だと思う」
『街から離れてるし人がいそうな気配はないけど、隠した方が良いの?』
「念のため頼むよ」
『了解よ。あたしが隠すから、あとはどうするか2人で考えてよね』
ロッソに建物一帯の土地を隠してもらい、木でできていた柱など燃やせるものはルピに燃やしてもらって、土に返せるものは僕の加工で土へと戻した。
わずか3時間足らずで更地の完成。さて…と、ここからどうするかだね。僕には家を建てる知識もなければ能力もない。ゲーハさんに相談するしかないか。
「ハヤト1週間ぶりだな。その後どうだ?」
「どうだってどうにもなりませんよ。更地にしたので家を建てる技術がある人を紹介してください」
「あれを更地にしたのか…」
ゲーハさんが、家を建てるなら技量があって口が堅い奴が良いと、隣町の奴隷商に大工が売られたという情報を教えてくれた。僕が直せないと言って来た時のために調べておいてくれたらしい。
奴隷なら契約を結べば主人の命令は絶対だからな。使えるかどうかはわからんが、見に行くだけ見て来たらどうだと助言をくれる。奴隷か…なんか抵抗あるな。だって人をお金で買うなんて…。
でも、そこら辺の大工に頼んでこんな場所に家を建てる奴がいると、下手に揉め事になるより良いのかもしれない。隣町っていっても、行くまでに2日かかるけどね…。
せっかく来たんだから討伐依頼をこなしていけと、2件ほど依頼をこなしパン屋ドリーへと戻った。夕食を終えた後に、マーヤさんとドラスさんに5日ほど家を開けることを伝える。
「どうしたんだい⁉5日もあけなきゃいけないほどの依頼なのかい⁉」
「少し遠くの依頼なので…。心配があるような依頼じゃないので大丈夫です」
「無理はするなよ。ギルドマスターは話せばわかってくれる人だ。無理なら無理と伝えて良いんだからな」
2人が心配してくれて黙っているのが辛い。でも、今言うわけにはいかないからね…。
ルピは物言いたげな顔で僕を見ていたけど、静かに首を振って黙っているよう伝えた。
「ハヤト、荷物はちゃんと持ったのかい?」
「はい。必要なものはアイテムボックスに入れました」
「もう全部パン持って行きな!今日は店開けなくても良いさね」
「大丈夫です。ものすごい量の食料になるじゃないですか…」
翌朝マーヤさんが、あれも持っていけこれも持っていけと大量の弁当にパンを持たせてくれた。それに加えて店のパンを全部持っていけと言い始めるので、慌てて止める。
「あんまり無茶はするんじゃないぞ」
「大丈夫です!商用ギルドでテントも買ったのでキャンプ気分で行って来ます!」
「本当に無茶するんじゃないよ」
家を出るまでずっとこの調子だ。出ていくというと、この2人はなんて言うんだろうな…。納得はしてもらえないかもしれないけど、話してわかってもらうしかない。
ゲーハさんが隣町の戦闘ギルドマスターへ紹介状を書いてくれたため、隣町の戦闘ギルドを目指して街を出発した。
隣町の戦闘ギルドはゲーハさんが隊長時代の旧友らしい。
ゲーハさんの旧友…。どんな人なんだろ。
『あるじはあれで良いの?』
『あれで良いって?』
『あの2人のことよ。このままなにも言わず、勝手に進めて良いのかって話しよ』
ロッソは僕のことをあるじと呼ぶようになった。最初の頃は、ねぇとかあのとか呼びにくそうにしてたけど、ルピみたいに呼んでくれて良いんだよと言うと、従魔になった以上は呼び捨てになんてできないわ!だそうだ。
「言ったら言ったで心配かけるだけだからね。まぁそのうちちゃんと言うよ」
『言われない寂しさもあると思うけど、あるじがそれで良いなら従うわ』
ロッソの言い分もわかる。ただ僕が今、今後出ていくことを考えていると伝えれば、2人は無理してでも出ていく時のためにと準備をしてくれるだろう。
僕達のためにないとは思うけど、パン屋を閉めると言い始めたらそれこそ困る。今朝パンを全部持っていけと言い始めたことを思うと、無い話でも無いかもしれない…。
僕としてはこれ以上負担をかけたくないし、これからも気軽に接してもらえる仲でいたいしね。
『ルピ、出ていきたくない…』
「仕方ないんだよ。僕達が目立てば2人に迷惑をかけるんだから」
『守れるよ!ルピ、みんなを守れるもん!!』
ここ最近ルピの口数が少なかった。今後の事を考えないといけないと目先の忙しさに追われてしまい、最近ルピの気持ちをちゃんと聞いてあげなかった。きっと思い詰めていたんだろうな…。
ルピの前にしゃがみ込むと目線を合わせ話しを聞く。
「うん。知ってる。ルピはとっても強い子だよ」
『じゃぁ、なんで出ていかなきゃいけないの!ルピが悪い魔物やっつけるもん!!』
「ルピ、守らなきゃいけないのは僕達だけじゃないんだよ。ドリーのお店のパンを楽しみにしてるお客さんだっているし、ドラスさんとマーヤさんの友人もたくさんいる。その人たち1人1人を守るのは無理な話なんだよ」
ドラスさんとマーヤさんを守ることぐらいルピにとってはわけないだろう。実際2人に分身もつけているしね。
でも、強い従魔がいると僕達を狙ってきた時に、他のお客さん達を巻き込んだらどうする?その場にドラスさん達の友人がいたら?その人達を守ったとしても、周りに住んでる会ったことがない人達が巻き込まれたら?
それらを1つ1つ考え始めるとキリがない。それなら離れるのが得策だと僕は思う。
ゲーハさんが家を出ろと言った時に、聞いておけばよかったのかもしれないな…。
ルピはわかった…というと、静かに歩き始めた。ロッソが心配そうにルピに付き添ってくれる。
今まで1人だったルピにとって、仲良くなった人たちと離れるのがすごく寂しい気持ちはわかる。
僕だって寂しい…。でも、僕たちの気持ちだけを優先するわけにはいかない。
このまま会えなくなるわけじゃないんだから、納得できないだろうけど、そうしてもらわないといけないんだ…。
自分に言い聞かせるように、心の中で自分の考えとこれまでの行動の甘さを反省した。
何度か修理しようと試みたけど、悪化させるばかりで良くなることはなかった。
素人が手を出してどうにかなるわけないよ…。
「とりあえず、いったんこれ壊そう。修理するのは無理だと思う」
『街から離れてるし人がいそうな気配はないけど、隠した方が良いの?』
「念のため頼むよ」
『了解よ。あたしが隠すから、あとはどうするか2人で考えてよね』
ロッソに建物一帯の土地を隠してもらい、木でできていた柱など燃やせるものはルピに燃やしてもらって、土に返せるものは僕の加工で土へと戻した。
わずか3時間足らずで更地の完成。さて…と、ここからどうするかだね。僕には家を建てる知識もなければ能力もない。ゲーハさんに相談するしかないか。
「ハヤト1週間ぶりだな。その後どうだ?」
「どうだってどうにもなりませんよ。更地にしたので家を建てる技術がある人を紹介してください」
「あれを更地にしたのか…」
ゲーハさんが、家を建てるなら技量があって口が堅い奴が良いと、隣町の奴隷商に大工が売られたという情報を教えてくれた。僕が直せないと言って来た時のために調べておいてくれたらしい。
奴隷なら契約を結べば主人の命令は絶対だからな。使えるかどうかはわからんが、見に行くだけ見て来たらどうだと助言をくれる。奴隷か…なんか抵抗あるな。だって人をお金で買うなんて…。
でも、そこら辺の大工に頼んでこんな場所に家を建てる奴がいると、下手に揉め事になるより良いのかもしれない。隣町っていっても、行くまでに2日かかるけどね…。
せっかく来たんだから討伐依頼をこなしていけと、2件ほど依頼をこなしパン屋ドリーへと戻った。夕食を終えた後に、マーヤさんとドラスさんに5日ほど家を開けることを伝える。
「どうしたんだい⁉5日もあけなきゃいけないほどの依頼なのかい⁉」
「少し遠くの依頼なので…。心配があるような依頼じゃないので大丈夫です」
「無理はするなよ。ギルドマスターは話せばわかってくれる人だ。無理なら無理と伝えて良いんだからな」
2人が心配してくれて黙っているのが辛い。でも、今言うわけにはいかないからね…。
ルピは物言いたげな顔で僕を見ていたけど、静かに首を振って黙っているよう伝えた。
「ハヤト、荷物はちゃんと持ったのかい?」
「はい。必要なものはアイテムボックスに入れました」
「もう全部パン持って行きな!今日は店開けなくても良いさね」
「大丈夫です。ものすごい量の食料になるじゃないですか…」
翌朝マーヤさんが、あれも持っていけこれも持っていけと大量の弁当にパンを持たせてくれた。それに加えて店のパンを全部持っていけと言い始めるので、慌てて止める。
「あんまり無茶はするんじゃないぞ」
「大丈夫です!商用ギルドでテントも買ったのでキャンプ気分で行って来ます!」
「本当に無茶するんじゃないよ」
家を出るまでずっとこの調子だ。出ていくというと、この2人はなんて言うんだろうな…。納得はしてもらえないかもしれないけど、話してわかってもらうしかない。
ゲーハさんが隣町の戦闘ギルドマスターへ紹介状を書いてくれたため、隣町の戦闘ギルドを目指して街を出発した。
隣町の戦闘ギルドはゲーハさんが隊長時代の旧友らしい。
ゲーハさんの旧友…。どんな人なんだろ。
『あるじはあれで良いの?』
『あれで良いって?』
『あの2人のことよ。このままなにも言わず、勝手に進めて良いのかって話しよ』
ロッソは僕のことをあるじと呼ぶようになった。最初の頃は、ねぇとかあのとか呼びにくそうにしてたけど、ルピみたいに呼んでくれて良いんだよと言うと、従魔になった以上は呼び捨てになんてできないわ!だそうだ。
「言ったら言ったで心配かけるだけだからね。まぁそのうちちゃんと言うよ」
『言われない寂しさもあると思うけど、あるじがそれで良いなら従うわ』
ロッソの言い分もわかる。ただ僕が今、今後出ていくことを考えていると伝えれば、2人は無理してでも出ていく時のためにと準備をしてくれるだろう。
僕達のためにないとは思うけど、パン屋を閉めると言い始めたらそれこそ困る。今朝パンを全部持っていけと言い始めたことを思うと、無い話でも無いかもしれない…。
僕としてはこれ以上負担をかけたくないし、これからも気軽に接してもらえる仲でいたいしね。
『ルピ、出ていきたくない…』
「仕方ないんだよ。僕達が目立てば2人に迷惑をかけるんだから」
『守れるよ!ルピ、みんなを守れるもん!!』
ここ最近ルピの口数が少なかった。今後の事を考えないといけないと目先の忙しさに追われてしまい、最近ルピの気持ちをちゃんと聞いてあげなかった。きっと思い詰めていたんだろうな…。
ルピの前にしゃがみ込むと目線を合わせ話しを聞く。
「うん。知ってる。ルピはとっても強い子だよ」
『じゃぁ、なんで出ていかなきゃいけないの!ルピが悪い魔物やっつけるもん!!』
「ルピ、守らなきゃいけないのは僕達だけじゃないんだよ。ドリーのお店のパンを楽しみにしてるお客さんだっているし、ドラスさんとマーヤさんの友人もたくさんいる。その人たち1人1人を守るのは無理な話なんだよ」
ドラスさんとマーヤさんを守ることぐらいルピにとってはわけないだろう。実際2人に分身もつけているしね。
でも、強い従魔がいると僕達を狙ってきた時に、他のお客さん達を巻き込んだらどうする?その場にドラスさん達の友人がいたら?その人達を守ったとしても、周りに住んでる会ったことがない人達が巻き込まれたら?
それらを1つ1つ考え始めるとキリがない。それなら離れるのが得策だと僕は思う。
ゲーハさんが家を出ろと言った時に、聞いておけばよかったのかもしれないな…。
ルピはわかった…というと、静かに歩き始めた。ロッソが心配そうにルピに付き添ってくれる。
今まで1人だったルピにとって、仲良くなった人たちと離れるのがすごく寂しい気持ちはわかる。
僕だって寂しい…。でも、僕たちの気持ちだけを優先するわけにはいかない。
このまま会えなくなるわけじゃないんだから、納得できないだろうけど、そうしてもらわないといけないんだ…。
自分に言い聞かせるように、心の中で自分の考えとこれまでの行動の甘さを反省した。
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