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64話儀式と唐揚げ
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『ハヤト、お風呂作ったんだよ!』
「えっ?あの短時間で??それにお風呂って僕言ったっけ??」
『お風呂に入りたいって、よく言ってたじゃない』
コリーは呼びに行ったけど家の中にもいなかった。仕方なく3人でお土産を食べる。
コリーのはちゃんと残してあるからね。でも家の材料でも取りに行ったのかな。
『早く見て!』
「ちゃんと食べ終わってからね。食べながらなんて行儀が悪いよ」
庭に植えた果物も順調に育ってるし、着々と家が出来上がってるって感じだね。
それに、家の中の家具の出来栄えが凄い…。コリー、家具屋でも食べていけそうな気がするよ。
◇
「ねぇ…。なんでお風呂がこんなに大きいの?」
『大きな方が良いでしょ?』
「え…う、うん」
大きければいいってものでもないって言うか、これなんでこうなったの?
ルピについて行ってみれば、家の裏。
外にデン!と大きな木の風呂があった。風呂と呼んでいいレベルではない。プールでしょ!
しかも、これどうやってお湯入れるの!?脱衣所は?体洗う場所は?外にバスタブだけあっても仕方なくない?
『良い匂い?』
「うん…。木の良い匂いがするね」
『綺麗な出来じゃない。苦労して取ってきたかいがあるわ』
「ロッソがこの木を取ってきてくれたの?」
『そうよ!』
2人とも嬉しそうに中に入る。
ロッソはルピにこの木はあの森で取ってきたんだと自慢していた。ルピはロッソにここは自分がお手伝いしたんだと話している。
微笑ましい光景なんだけど…ね。
『どうじゃ。良い出来じゃろ』
「コリー、どこ行ってたの?」
『ちょっと散歩にの』
髭のまわりに買ってきたパンケーキのソース付いてるけど。美味しいからって髭気にせず食べたんでしょ。
教えてあげると、おぉこりゃうっかりと泉で顔を洗ってきてた。
『ハヤト、今日儀式やる?温かいお水入れるよ』
『儀式って何よ?』
『お風呂は儀式をするところなんだよ!』
『よくわからないわ。でもコリーが木にこだわっていたのは儀式が関係してるのね』
儀式?お風呂で儀式ってなに?たしかに僕は意識せずにお風呂入りたいって言ってたのかもしれない。
でも、一言も儀式をしたいなんて言った覚えはない。
ただ、これではお風呂とは言いづらい。せめて脱衣所と体を洗うところは作ってもらわないと。
『主人や、足りないところは何かあるかの?』
「足りないって言うか、あのね――」
コリーにお風呂について説明する。説明を一通り終えると、なんということじゃ!これでは未完成ではないか!もうしばらく待つのじゃって、どっか行っちゃったよ。
今の説明でわかってくれたのかな。
『ハヤト、儀式やらないの?』
「えーっと、コリーが足りないからもう少し待っててだって」
『儀式するって大変なのね。人間がやることはよくわからないわ』
完成した時に説明すればいいか。そろそろ良い時間だから、マーヤさんのところに向かおう。ルピとロッソはどうするのかなと思ったら一緒に行くらしい。
――パン屋ドリー――
「待たせて悪かったね。それで魔物の肉がどうしたんだい?」
「取れたんですけど、食べ方がわからなくて」
「わかると良いんだけどね、見せてごらん」
アイテムボックスから、肉を出してマーヤさんに見てもらう。
初めて見るお肉もあるみたいで、少し食べてもいいかい?と少しずつ切っては焼いて食べていた。
あの臭い肉を良く平気で食べるな…。ルピとロッソの顔が引きつってる。
まさかあのまま食べなきゃいけないのかと思ってるんだろうな。
「臭み取りしてあげれば、食べれそうさね。物は良いからね。こっちの肉は―――」
マーヤさん料理教室が終わるころには、2人は待ちくたびれ寝ていた。僕もメモを取らせてもらうけど実はよくわかっていない。
この肉にはこっちの臭み消しの葉がいいとか、こっちは一晩寝かしておく方が良いとか、切り方も教わったけど覚えきれない…。
「わかったのかい?」
「今後勉強していきます…」
「まぁ、いいさね。とりあえずこの肉は全部置いていきな。下処理しておいてあげるさ。とりあえず、こっちの肉で今日は唐揚げしようかね」
マーヤさん丸投げで本当にごめんなさい。今後は僕もしっかり覚えて行かないと。そうしないと肉が取れるたびにマーヤさんにお願いするようになってしまう。
その晩は、コカトリスのお肉の唐揚げ。
ドラスさんは、コカトリスの肉だって!?これは買えば相当高いんだぞ!!ってビックリされた。
他のお肉の事も伝えると、母ちゃんパン屋やめて肉屋にしないか?って言い始めて、子供にあんたはたかるのかい!って怒られていた。
僕もコリー見て家具屋って思ったからね。従魔で商売考えるのはよくないよね。反省。
ルピとロッソは、大好きな唐揚げなのに食べようとしない。きっと、あの臭い肉が頭から離れないんだろうな。
「いただきます!んーーッ!!すごい美味しい!いつも美味しいけど、肉汁がすごいですね!」
「そうだろう?あたしも味見してビックリさね。こんなに美味い肉があるんだねぇ」
「生きてる間にコカトリスが食べれるなんて…」
泣きながら食べるの止めなよドラスさん…。また持ってくるからさ…。
僕達3人を見ても、ルピとロッソは食べようとしない。相当あの不味さが衝撃だったんだな。
「食べなよ?美味しいよ」
『ルピ、今日はお野菜の気分なの』
『あたしもよ。今日は野菜が美味しく見えるのよ』
いつから2人ともベジタリアンになったのさ。ロッソは野菜嫌いでしょ!
マーヤさんとドラスさんも食べない2人を見て、どうしたんだい?と心配される。理由を話すと爆笑された。
「大丈夫だから食べてみなね」
「美味いぞー!こんな美味いもの食わないなんて、もったいないなぁ」
2人の言葉に恐々ルピが手を伸ばす。それをロッソがあんたは食べるのね!?と驚愕の顔で見ていた。
いやいや、罰ゲームじゃないから。
パクッ…――モグ…モグ…
『美味しい!!!臭くないよ!!!』
ルピが食べ始めたのを見て、ロッソも恐る恐る食べ始める。2人とも食べ始めたら止まらない。ひたすら唐揚げを食べる。
ほら、だから美味しいって言ったでしょ。コリーにも持って帰ろうね。
「えっ?あの短時間で??それにお風呂って僕言ったっけ??」
『お風呂に入りたいって、よく言ってたじゃない』
コリーは呼びに行ったけど家の中にもいなかった。仕方なく3人でお土産を食べる。
コリーのはちゃんと残してあるからね。でも家の材料でも取りに行ったのかな。
『早く見て!』
「ちゃんと食べ終わってからね。食べながらなんて行儀が悪いよ」
庭に植えた果物も順調に育ってるし、着々と家が出来上がってるって感じだね。
それに、家の中の家具の出来栄えが凄い…。コリー、家具屋でも食べていけそうな気がするよ。
◇
「ねぇ…。なんでお風呂がこんなに大きいの?」
『大きな方が良いでしょ?』
「え…う、うん」
大きければいいってものでもないって言うか、これなんでこうなったの?
ルピについて行ってみれば、家の裏。
外にデン!と大きな木の風呂があった。風呂と呼んでいいレベルではない。プールでしょ!
しかも、これどうやってお湯入れるの!?脱衣所は?体洗う場所は?外にバスタブだけあっても仕方なくない?
『良い匂い?』
「うん…。木の良い匂いがするね」
『綺麗な出来じゃない。苦労して取ってきたかいがあるわ』
「ロッソがこの木を取ってきてくれたの?」
『そうよ!』
2人とも嬉しそうに中に入る。
ロッソはルピにこの木はあの森で取ってきたんだと自慢していた。ルピはロッソにここは自分がお手伝いしたんだと話している。
微笑ましい光景なんだけど…ね。
『どうじゃ。良い出来じゃろ』
「コリー、どこ行ってたの?」
『ちょっと散歩にの』
髭のまわりに買ってきたパンケーキのソース付いてるけど。美味しいからって髭気にせず食べたんでしょ。
教えてあげると、おぉこりゃうっかりと泉で顔を洗ってきてた。
『ハヤト、今日儀式やる?温かいお水入れるよ』
『儀式って何よ?』
『お風呂は儀式をするところなんだよ!』
『よくわからないわ。でもコリーが木にこだわっていたのは儀式が関係してるのね』
儀式?お風呂で儀式ってなに?たしかに僕は意識せずにお風呂入りたいって言ってたのかもしれない。
でも、一言も儀式をしたいなんて言った覚えはない。
ただ、これではお風呂とは言いづらい。せめて脱衣所と体を洗うところは作ってもらわないと。
『主人や、足りないところは何かあるかの?』
「足りないって言うか、あのね――」
コリーにお風呂について説明する。説明を一通り終えると、なんということじゃ!これでは未完成ではないか!もうしばらく待つのじゃって、どっか行っちゃったよ。
今の説明でわかってくれたのかな。
『ハヤト、儀式やらないの?』
「えーっと、コリーが足りないからもう少し待っててだって」
『儀式するって大変なのね。人間がやることはよくわからないわ』
完成した時に説明すればいいか。そろそろ良い時間だから、マーヤさんのところに向かおう。ルピとロッソはどうするのかなと思ったら一緒に行くらしい。
――パン屋ドリー――
「待たせて悪かったね。それで魔物の肉がどうしたんだい?」
「取れたんですけど、食べ方がわからなくて」
「わかると良いんだけどね、見せてごらん」
アイテムボックスから、肉を出してマーヤさんに見てもらう。
初めて見るお肉もあるみたいで、少し食べてもいいかい?と少しずつ切っては焼いて食べていた。
あの臭い肉を良く平気で食べるな…。ルピとロッソの顔が引きつってる。
まさかあのまま食べなきゃいけないのかと思ってるんだろうな。
「臭み取りしてあげれば、食べれそうさね。物は良いからね。こっちの肉は―――」
マーヤさん料理教室が終わるころには、2人は待ちくたびれ寝ていた。僕もメモを取らせてもらうけど実はよくわかっていない。
この肉にはこっちの臭み消しの葉がいいとか、こっちは一晩寝かしておく方が良いとか、切り方も教わったけど覚えきれない…。
「わかったのかい?」
「今後勉強していきます…」
「まぁ、いいさね。とりあえずこの肉は全部置いていきな。下処理しておいてあげるさ。とりあえず、こっちの肉で今日は唐揚げしようかね」
マーヤさん丸投げで本当にごめんなさい。今後は僕もしっかり覚えて行かないと。そうしないと肉が取れるたびにマーヤさんにお願いするようになってしまう。
その晩は、コカトリスのお肉の唐揚げ。
ドラスさんは、コカトリスの肉だって!?これは買えば相当高いんだぞ!!ってビックリされた。
他のお肉の事も伝えると、母ちゃんパン屋やめて肉屋にしないか?って言い始めて、子供にあんたはたかるのかい!って怒られていた。
僕もコリー見て家具屋って思ったからね。従魔で商売考えるのはよくないよね。反省。
ルピとロッソは、大好きな唐揚げなのに食べようとしない。きっと、あの臭い肉が頭から離れないんだろうな。
「いただきます!んーーッ!!すごい美味しい!いつも美味しいけど、肉汁がすごいですね!」
「そうだろう?あたしも味見してビックリさね。こんなに美味い肉があるんだねぇ」
「生きてる間にコカトリスが食べれるなんて…」
泣きながら食べるの止めなよドラスさん…。また持ってくるからさ…。
僕達3人を見ても、ルピとロッソは食べようとしない。相当あの不味さが衝撃だったんだな。
「食べなよ?美味しいよ」
『ルピ、今日はお野菜の気分なの』
『あたしもよ。今日は野菜が美味しく見えるのよ』
いつから2人ともベジタリアンになったのさ。ロッソは野菜嫌いでしょ!
マーヤさんとドラスさんも食べない2人を見て、どうしたんだい?と心配される。理由を話すと爆笑された。
「大丈夫だから食べてみなね」
「美味いぞー!こんな美味いもの食わないなんて、もったいないなぁ」
2人の言葉に恐々ルピが手を伸ばす。それをロッソがあんたは食べるのね!?と驚愕の顔で見ていた。
いやいや、罰ゲームじゃないから。
パクッ…――モグ…モグ…
『美味しい!!!臭くないよ!!!』
ルピが食べ始めたのを見て、ロッソも恐る恐る食べ始める。2人とも食べ始めたら止まらない。ひたすら唐揚げを食べる。
ほら、だから美味しいって言ったでしょ。コリーにも持って帰ろうね。
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