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68話火山&ドラゴンへ向けて③
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え?コリー??いや、コリーよりも少し背が小さいのかな。
『キッコリーナね』
「キッコリーナって、ロッソもルピも気が付いてたの?」
『気づいてたわ。ただ、キッコリーナが何もしてない人間襲うことなんてないし、敵意もなかったからほっといたのよ』
『コリーの家族!』
なんだ。2人とも気づいてたのか。僕は全然わからなかったからビックリしたよ…。何に服引っ張られてるんだって。
こんなところにもキッコリーナはいるんだって言ったら、森や林など木があればどこにでもいるわよってロッソに言われた。
「コリーよりも小さいけど、見た目コリーに似てるね」
『同じ種族なんだから当り前じゃない。でも、まだ子供ね』
「え!?子供なの!?見た目お爺さんなんだけど…」
『お爺さんじゃないよ?』
人間視点とルピやロッソ視点では見え方が違うのかな。申し訳ないけど僕にはお爺さんにしか見えない…。
チョイチョイ――
「ねぇ、何が言いたいんだろ?僕全然わからないんだけど」
『従魔じゃないから言葉が認識できないのね。あたしが聞くわ。ちょっとあんたこっちに向きなさい』
ロッソの言葉にビクッと僕を引っ張ていた服を強く掴む。これ怯えてるの?ルピが大丈夫だよって話しかければ、掴んでいた力が緩くなり2人の方へと向き直った。
『失礼ね。あたしは怯えさせた覚えはないわよ』
『ロッソが優しく言わないからだよ。子供なんだから』
『ルピも子供だけどね…』
ロッソの言葉に子供じゃないもん!子供じゃない!と言い始めるけど、これは2人の友情確認みたいなもんだから良いか。いつものことだし。
キッコリーナの子供は、どうしていいかわからず僕の服を掴んだままだ。
「ねぇ、このキッコリーナはどうしたの?」
『ハァ…ハァ…。食べ物欲しくて…来たのよ』
『…ハァ…ハァ…。お腹減った…んだって』
いやいや、そんなハァハァするほど言い合うの止めようよ。止めなかった僕も僕だけど、止めてもいつもやるからほっといた方が楽なんだよね。
殴り合いの喧嘩するわけじゃないし。これはじゃれてるだけだから!うん!
「お腹減ってるって、ご飯この辺ないの?」
『果実が少ないのね。果実は人間が取ってしまうから食べるものが減ったのね。取るだけ取って手入れしなければ実は生らないわ』
「そうなんだ…。えっと、一緒に果物食べる?」
僕が果物をあげようとしたら、ロッソに止められた。キッコリーナはこの子だけじゃない。まだまだこの森に多くいると。
この子だけにあげれば、食べたくても人間の前に出るのはと我慢してる者に追いやられるわ。って。
追いやられる!?それは可哀そうだ…。でも、このまま見過ごすのもなぁ。
『ルピ、巾着袋に魔力の高い実の枝が入ってるでしょ。出して』
『いいよー。はい』
なんかまだいっぱい入ってるなと思ったら、それも入れてたんだ。聞いたら家の泉で育てているらしい。結構みんな自由にやってるんだね。
まぁ、皆の家だから良いんだけどさ。
『この泉に、ルピの水足してちょうだい。そんなに多くなくていいわよ』
『どれぐらい?』
『家の泉の半分より少ないぐらいよ。この実とリンゴがある程度育てばいいわ』
ロッソがルピが泉に水を足す分、今の水は邪魔ねとすくい上げ邪魔にならないところにバラまいておいたわと言われた。
そこに人間や動物いないの!?大丈夫!?って聞いたら問題ないと言うので信じるしかないか。
『今なくした分ぐらいの水入れてくれればいいから』
『わかったー』
素直にロッソの言うことに応じ、ルピが水を入れていく。多く入れれば魔力が高くなりすぎて強い魔物が集まってくるらしいけど、これぐらいなら問題ないわとロッソが言っていた。
そうして泉に水を入れ終ると、ルピとロッソで泉のまわりを耕し魔力が高い枝を植えていく。リンゴは食べた後で種を植えるそうだ。
「でも、これここに実があればまた取られちゃうんじゃないの?」
『大丈夫よ。幻影かけるから』
「幻影かけるって、ロッソが離れたらダメなんじゃないの?」
僕の質問に答えることはなく、ヒューィとロッソが鳴くと白い子猫が現れた。なにこの子!めっちゃ可愛い。抱き上げたいと思うけど、ロッソがいろいろ話しをしているようなのでおとなしく待とう。
『この子に幻影かけるように言ったわ。ルピの分身見た時に、良い事考えるじゃないと思ってたのよ。魔力が高い実があればこの子が消えることはないわ』
「これも分身なの?」
『そうね。分身みたいなものね』
みたいなものってなんだろう。わからないけど、消えないならそれで良いか。
『キッコリーナ。ここに果実を植えるわ。でも、そこまで魔力は高くないから自分達で実を食べれば種を植え、数を育てなさい。人間には見つからないようにしておいたから』
『育てなさい!』
「でも、それ結構時間かかるんじゃないの?」
『それで良いのよ。すぐに出来れば楽を覚えるわ。自分たちで生きる術を身につけなければその種族は…終わってしまうわ』
きっとロッソは自分のことを言ってるんだろう。実を守ることに必死になり過ぎて、最後は自分しか残らなかったことを後悔してるんだね。
『この分身がいなくなれば、たちまち幻影は解けるわ。リンゴの実以外には手を出さないことを徹底させなさい。その後は知らないわ』
それを聞いたキッコリーナは頭を下げて森の奥へと帰っていった。少し切ない気もするけど、魔物の掟に僕が口を出すべきじゃない。僕達はリンゴや桃を食べ終わると寝床へ着いた。
ロッソが夜中ゴソゴソと桃の種を植えていたのを僕は知っている。少しぐらいは良いでしょといいながら。
優しい良い子だね。ありがとうロッソ。
『キッコリーナね』
「キッコリーナって、ロッソもルピも気が付いてたの?」
『気づいてたわ。ただ、キッコリーナが何もしてない人間襲うことなんてないし、敵意もなかったからほっといたのよ』
『コリーの家族!』
なんだ。2人とも気づいてたのか。僕は全然わからなかったからビックリしたよ…。何に服引っ張られてるんだって。
こんなところにもキッコリーナはいるんだって言ったら、森や林など木があればどこにでもいるわよってロッソに言われた。
「コリーよりも小さいけど、見た目コリーに似てるね」
『同じ種族なんだから当り前じゃない。でも、まだ子供ね』
「え!?子供なの!?見た目お爺さんなんだけど…」
『お爺さんじゃないよ?』
人間視点とルピやロッソ視点では見え方が違うのかな。申し訳ないけど僕にはお爺さんにしか見えない…。
チョイチョイ――
「ねぇ、何が言いたいんだろ?僕全然わからないんだけど」
『従魔じゃないから言葉が認識できないのね。あたしが聞くわ。ちょっとあんたこっちに向きなさい』
ロッソの言葉にビクッと僕を引っ張ていた服を強く掴む。これ怯えてるの?ルピが大丈夫だよって話しかければ、掴んでいた力が緩くなり2人の方へと向き直った。
『失礼ね。あたしは怯えさせた覚えはないわよ』
『ロッソが優しく言わないからだよ。子供なんだから』
『ルピも子供だけどね…』
ロッソの言葉に子供じゃないもん!子供じゃない!と言い始めるけど、これは2人の友情確認みたいなもんだから良いか。いつものことだし。
キッコリーナの子供は、どうしていいかわからず僕の服を掴んだままだ。
「ねぇ、このキッコリーナはどうしたの?」
『ハァ…ハァ…。食べ物欲しくて…来たのよ』
『…ハァ…ハァ…。お腹減った…んだって』
いやいや、そんなハァハァするほど言い合うの止めようよ。止めなかった僕も僕だけど、止めてもいつもやるからほっといた方が楽なんだよね。
殴り合いの喧嘩するわけじゃないし。これはじゃれてるだけだから!うん!
「お腹減ってるって、ご飯この辺ないの?」
『果実が少ないのね。果実は人間が取ってしまうから食べるものが減ったのね。取るだけ取って手入れしなければ実は生らないわ』
「そうなんだ…。えっと、一緒に果物食べる?」
僕が果物をあげようとしたら、ロッソに止められた。キッコリーナはこの子だけじゃない。まだまだこの森に多くいると。
この子だけにあげれば、食べたくても人間の前に出るのはと我慢してる者に追いやられるわ。って。
追いやられる!?それは可哀そうだ…。でも、このまま見過ごすのもなぁ。
『ルピ、巾着袋に魔力の高い実の枝が入ってるでしょ。出して』
『いいよー。はい』
なんかまだいっぱい入ってるなと思ったら、それも入れてたんだ。聞いたら家の泉で育てているらしい。結構みんな自由にやってるんだね。
まぁ、皆の家だから良いんだけどさ。
『この泉に、ルピの水足してちょうだい。そんなに多くなくていいわよ』
『どれぐらい?』
『家の泉の半分より少ないぐらいよ。この実とリンゴがある程度育てばいいわ』
ロッソがルピが泉に水を足す分、今の水は邪魔ねとすくい上げ邪魔にならないところにバラまいておいたわと言われた。
そこに人間や動物いないの!?大丈夫!?って聞いたら問題ないと言うので信じるしかないか。
『今なくした分ぐらいの水入れてくれればいいから』
『わかったー』
素直にロッソの言うことに応じ、ルピが水を入れていく。多く入れれば魔力が高くなりすぎて強い魔物が集まってくるらしいけど、これぐらいなら問題ないわとロッソが言っていた。
そうして泉に水を入れ終ると、ルピとロッソで泉のまわりを耕し魔力が高い枝を植えていく。リンゴは食べた後で種を植えるそうだ。
「でも、これここに実があればまた取られちゃうんじゃないの?」
『大丈夫よ。幻影かけるから』
「幻影かけるって、ロッソが離れたらダメなんじゃないの?」
僕の質問に答えることはなく、ヒューィとロッソが鳴くと白い子猫が現れた。なにこの子!めっちゃ可愛い。抱き上げたいと思うけど、ロッソがいろいろ話しをしているようなのでおとなしく待とう。
『この子に幻影かけるように言ったわ。ルピの分身見た時に、良い事考えるじゃないと思ってたのよ。魔力が高い実があればこの子が消えることはないわ』
「これも分身なの?」
『そうね。分身みたいなものね』
みたいなものってなんだろう。わからないけど、消えないならそれで良いか。
『キッコリーナ。ここに果実を植えるわ。でも、そこまで魔力は高くないから自分達で実を食べれば種を植え、数を育てなさい。人間には見つからないようにしておいたから』
『育てなさい!』
「でも、それ結構時間かかるんじゃないの?」
『それで良いのよ。すぐに出来れば楽を覚えるわ。自分たちで生きる術を身につけなければその種族は…終わってしまうわ』
きっとロッソは自分のことを言ってるんだろう。実を守ることに必死になり過ぎて、最後は自分しか残らなかったことを後悔してるんだね。
『この分身がいなくなれば、たちまち幻影は解けるわ。リンゴの実以外には手を出さないことを徹底させなさい。その後は知らないわ』
それを聞いたキッコリーナは頭を下げて森の奥へと帰っていった。少し切ない気もするけど、魔物の掟に僕が口を出すべきじゃない。僕達はリンゴや桃を食べ終わると寝床へ着いた。
ロッソが夜中ゴソゴソと桃の種を植えていたのを僕は知っている。少しぐらいは良いでしょといいながら。
優しい良い子だね。ありがとうロッソ。
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