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79話保護院。ジーザとの出会い
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「終わりました。これ、銀貨9枚です」
「ありがとうございます。先ほど保護院を気にされていましたが、覗かれて見ますか?」
「え?良いんですか?」
見るのは全然問題がないと言われた。ただ、魔物に親を襲われた子もいるから、ルピとロッソは待っていて欲しいそう。それは仕方がないね。2人に教会の裏で待っててねと伝え僕だけ向かった。
シスターに連れていかれた場所は、教会から少し離れた平屋の建物。外からでも子供達の元気な笑い声や喧嘩してる声が聞こえる。賑やかだなぁ。
「こんなに子供がいるんですか⁉︎」
「そうですね…。ざっと30名弱ほどでしょうか。みんな良い子なんですよ」
「この子達大人になるまで、ここで育つんですか?」
「良いご縁があれば養子縁組する子もいますよ。もちろん、子供との相性を見てですが」
部屋に入ると新しいお友達?と僕に寄ってくる子もいた。僕の年齢だとまだ保護対象らしい。
だからゲーハさんも、あんなに心配してくれたのかな。
「この方は冒険者ですよ。皆さんよりも少し年上のお兄さんは、とても強いんですよ。見習いましょうね」
はーい!と手を上げてくれ、どんな冒険してるの⁉︎と興味津々で聞いてくれる子もいれば
冒険者がなんだよ!俺たちを捨てた親と同じ職業のやつなんか来るな!とか、僕達魔物の餌にされるの?とか、反応が極端だった。
その中に、隅っこで1人ポツンと壁に向かって座ってる子がいた。
「あの子は…」
「ジーザですか。あの子はちょっと特殊で…。あまり刺激しないよう気をつけてください」
本当に1人、ポツンと座っている男の子。病院で1人窓を見ていた頃の僕と重なる。寂しそうな生気のないような目が、とても見ていて悲しい。
「話しかけても大丈夫ですか?」
「えぇ。話すぐらいなら。ただ、魔物の話や親の話はご法度でお願いいたします」
「わかりました」
シスターの許可をもらいジーザの側に歩み寄る。他の子は、もう僕には興味はないらしく遊び始めていた。
「初めまして。僕はハヤトだよ」
「……」
僕に振り返る事なく無反応なジーザ。どうしようかな。僕が見てジーザがわかるわけじゃないし…。
もしかしたら、鑑定って使えないのかな。見たものをロッソに聞けば、解決策がわかるかもしれない。ジーザに本当なら確認を取るべきなんだろうけど、これでは取れそうにない。
ーージーザを鑑定ーー
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
名前:ジーザ
レベル:11
種族:人族
年齢:7歳
HP:463
MP:111
攻撃:98
防御:79
魔力:893
速度:20
幸運:8
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
MPに比べると魔力の数値がかなり大きい。
以前、ロッソにステータスの事を聞いた時にMPは魔力を発動し操り物事をなそうとする力。すなわち魔力を使い魔法に変換する力だと教えられた。
それが少ないということは、魔力を操る力が無いと言うことになる。これだけの差があれば、魔力が暴走しても仕方がないのかもしれない…。
でも、これ僕ではどうしようもないなぁ…。
「用事が無いならほっといて…」
「君とお話がしたいんだけど、僕と話すのは嫌かな?」
「……」
それ以後は、何を話しかけても頑なに無視された。初めて会った僕が話しかけても、心開いてくれたりはしないか。
僕も初めて会った看護師さんが、頑張って病気治そうね!と言って来られても、何も知らないくせにと思っていた。これは少しづつ時間をかけて打ち解けていく必要があるのかもしれないね。
「ねぇ!こいつと話しても楽しくないよ。だって、こいつずっと無視するんだもん」
「そんなことを言ってはいけません!彼も大切な保護院の家族なんですよ!」
「ケッ!なにが家族だよ!俺らは捨てられてここにいるんだ!」
シスターが突っかかってきた子供をなだめようと必死になってる。シスターとしてはジーザを刺激されたくない思いが強いのかもしれない。
でも、それがかえってジーザの心を閉ざしているように僕には見えた。
「明日また来ても大丈夫ですか?」
「それは構いませんが…」
「それなら明日もお邪魔します。ジーザ、また明日ね」
僕はそう声をかけると保護院を出て、ルピ達の下へと向かった。
ルピとロッソは、まだステータスがどうだこうだってやり取りしてて、よく飽きないなぁって逆に感心しちゃうよ。
「終わったから帰ろう」
『見て来たんでしょ?どうだったの?』
「鑑定使えたら見れて、MPに比べて魔力がかなり高かったよ。やっぱりそれが暴走の原因なのかな」
『そうね…。それが一番の理由でしょうね。でも、このままだとその子確実に死ぬわよ』
ロッソが、前回は運よく魔力の暴走に身体が耐えれたのかもしれない。でも、そう何度も奇跡なんて起きないわと言ってくる。
両親を自分のせいで失ってしまっという後悔。保護院で居場所が得られてない不安感。不安定な気持ちがどこで爆発してもおかしくないわと。
コリーと話して解決策が無いか考えてみると言ってくれたので、今は2人に任せるしか方法はないのかもしれないね。
「ありがとうございます。先ほど保護院を気にされていましたが、覗かれて見ますか?」
「え?良いんですか?」
見るのは全然問題がないと言われた。ただ、魔物に親を襲われた子もいるから、ルピとロッソは待っていて欲しいそう。それは仕方がないね。2人に教会の裏で待っててねと伝え僕だけ向かった。
シスターに連れていかれた場所は、教会から少し離れた平屋の建物。外からでも子供達の元気な笑い声や喧嘩してる声が聞こえる。賑やかだなぁ。
「こんなに子供がいるんですか⁉︎」
「そうですね…。ざっと30名弱ほどでしょうか。みんな良い子なんですよ」
「この子達大人になるまで、ここで育つんですか?」
「良いご縁があれば養子縁組する子もいますよ。もちろん、子供との相性を見てですが」
部屋に入ると新しいお友達?と僕に寄ってくる子もいた。僕の年齢だとまだ保護対象らしい。
だからゲーハさんも、あんなに心配してくれたのかな。
「この方は冒険者ですよ。皆さんよりも少し年上のお兄さんは、とても強いんですよ。見習いましょうね」
はーい!と手を上げてくれ、どんな冒険してるの⁉︎と興味津々で聞いてくれる子もいれば
冒険者がなんだよ!俺たちを捨てた親と同じ職業のやつなんか来るな!とか、僕達魔物の餌にされるの?とか、反応が極端だった。
その中に、隅っこで1人ポツンと壁に向かって座ってる子がいた。
「あの子は…」
「ジーザですか。あの子はちょっと特殊で…。あまり刺激しないよう気をつけてください」
本当に1人、ポツンと座っている男の子。病院で1人窓を見ていた頃の僕と重なる。寂しそうな生気のないような目が、とても見ていて悲しい。
「話しかけても大丈夫ですか?」
「えぇ。話すぐらいなら。ただ、魔物の話や親の話はご法度でお願いいたします」
「わかりました」
シスターの許可をもらいジーザの側に歩み寄る。他の子は、もう僕には興味はないらしく遊び始めていた。
「初めまして。僕はハヤトだよ」
「……」
僕に振り返る事なく無反応なジーザ。どうしようかな。僕が見てジーザがわかるわけじゃないし…。
もしかしたら、鑑定って使えないのかな。見たものをロッソに聞けば、解決策がわかるかもしれない。ジーザに本当なら確認を取るべきなんだろうけど、これでは取れそうにない。
ーージーザを鑑定ーー
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名前:ジーザ
レベル:11
種族:人族
年齢:7歳
HP:463
MP:111
攻撃:98
防御:79
魔力:893
速度:20
幸運:8
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MPに比べると魔力の数値がかなり大きい。
以前、ロッソにステータスの事を聞いた時にMPは魔力を発動し操り物事をなそうとする力。すなわち魔力を使い魔法に変換する力だと教えられた。
それが少ないということは、魔力を操る力が無いと言うことになる。これだけの差があれば、魔力が暴走しても仕方がないのかもしれない…。
でも、これ僕ではどうしようもないなぁ…。
「用事が無いならほっといて…」
「君とお話がしたいんだけど、僕と話すのは嫌かな?」
「……」
それ以後は、何を話しかけても頑なに無視された。初めて会った僕が話しかけても、心開いてくれたりはしないか。
僕も初めて会った看護師さんが、頑張って病気治そうね!と言って来られても、何も知らないくせにと思っていた。これは少しづつ時間をかけて打ち解けていく必要があるのかもしれないね。
「ねぇ!こいつと話しても楽しくないよ。だって、こいつずっと無視するんだもん」
「そんなことを言ってはいけません!彼も大切な保護院の家族なんですよ!」
「ケッ!なにが家族だよ!俺らは捨てられてここにいるんだ!」
シスターが突っかかってきた子供をなだめようと必死になってる。シスターとしてはジーザを刺激されたくない思いが強いのかもしれない。
でも、それがかえってジーザの心を閉ざしているように僕には見えた。
「明日また来ても大丈夫ですか?」
「それは構いませんが…」
「それなら明日もお邪魔します。ジーザ、また明日ね」
僕はそう声をかけると保護院を出て、ルピ達の下へと向かった。
ルピとロッソは、まだステータスがどうだこうだってやり取りしてて、よく飽きないなぁって逆に感心しちゃうよ。
「終わったから帰ろう」
『見て来たんでしょ?どうだったの?』
「鑑定使えたら見れて、MPに比べて魔力がかなり高かったよ。やっぱりそれが暴走の原因なのかな」
『そうね…。それが一番の理由でしょうね。でも、このままだとその子確実に死ぬわよ』
ロッソが、前回は運よく魔力の暴走に身体が耐えれたのかもしれない。でも、そう何度も奇跡なんて起きないわと言ってくる。
両親を自分のせいで失ってしまっという後悔。保護院で居場所が得られてない不安感。不安定な気持ちがどこで爆発してもおかしくないわと。
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