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2 あなただから、という殺し文句
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「フィオナ!」
翌日、聖女のいる部屋に行こうと王城内を歩いていたフィオナは、背後から聞こえてくる声に振り向く。そこにはフィオナの方へ急いでやって来るヴィアの姿があった。
「ヴィア、おはよう」
「昨日はすまなかった。あれから大丈夫だったか?」
「あなたが謝ることじゃないわ、大丈夫よ。ありがとう」
心配してくれるヴィアの気持ちが嬉しくて、フィオナは笑顔でそう言った。そんなフィオナの笑顔を見てヴィアはなぜか一瞬固まったが、すぐにいつものようにフィオナの隣を歩き始める。
フィオナは婚約破棄の一件以来、男性が近くにいると緊張して吐き気や眩暈、動悸が起こってしまう。実はそうなってしまうのには婚約破棄だけではない大きな理由があるのだが、それは家族以外知り得ないことだ。出会ったばかりの頃はヴィアに対しても起こっていたが、ヴィアは詳しいことは何にも聞かずただ適切な距離を保つようにしてくれた。何より、ヴィア自身が女性をあまり好ましく思っていないということがフィオナを安心させる一つにもなっている。
そのおかげで、ヴィアだけはフィオナの近くにいても全く問題ない男性なのだ。
「むしろベルゼさんに悪いことをしてしまったかしら。何も言わず、態度が悪かったかもしれない」
「あんな奴のことは気にするな。あいつもどうせ何も気にしちゃいない」
普段はほとんど感情をあらわにしないが、珍しく不機嫌そうに言うヴィアを見て、フィオナは驚いた顔をする。
「ヴィアもそうやって不機嫌になることがあるのね」
「フィオナは俺を心のない無機質な何かだと思っているのか?」
ヴィアはフィオナの言葉に目を丸くしたがすぐに冷ややかな目を向ける。珍しくコロコロと変わるヴィアの表情に、フィオナはごめんなさいと言いながらもくすくすと笑う。笑うのは失礼かもしれない、でもこんなヴィアを見れるなんてなんだか嬉しくてつい笑ってしまうのだ。
「他の男性だと近くにいるだけでどうしても拒否反応が出てしまうのだけれど、ヴィアだけは近くにいてもこうして話をしても平気なの。不思議ね。あなたがいつも気を遣って適切な距離を保ってくれるからだわ。あなただからこうして一緒に仕事をしていられるんだと思う。本当にありがとう」
フワッと嬉しそうにフィオナは笑って言うと、ヴィアはまたなぜか一瞬固まって、すぐに視線を逸らす。その顔は何かに耐えるような、嬉しさと苦しさが入り混じった複雑な表情だったが、もう前を見て歩き始めたフィオナはそれに気づかなかった。
「気にするな。俺もフィオナと一緒に仕事ができてよかったと思っている」
ヴィアが静かにそう言うと、フィオナは突然胸が高鳴る。なぜか顔も熱くなってくる気がしてフィオナは歩きながら首を傾げる。
(胸が高鳴る?どうして?男性に対する、いつものような不快な苦しい心臓の動きではない……?)
自分の中に湧き上がる不思議な現象にフィオナは一瞬戸惑うが、聖女の部屋の前にたどり着くとその戸惑いは消え去っていた。
翌日、聖女のいる部屋に行こうと王城内を歩いていたフィオナは、背後から聞こえてくる声に振り向く。そこにはフィオナの方へ急いでやって来るヴィアの姿があった。
「ヴィア、おはよう」
「昨日はすまなかった。あれから大丈夫だったか?」
「あなたが謝ることじゃないわ、大丈夫よ。ありがとう」
心配してくれるヴィアの気持ちが嬉しくて、フィオナは笑顔でそう言った。そんなフィオナの笑顔を見てヴィアはなぜか一瞬固まったが、すぐにいつものようにフィオナの隣を歩き始める。
フィオナは婚約破棄の一件以来、男性が近くにいると緊張して吐き気や眩暈、動悸が起こってしまう。実はそうなってしまうのには婚約破棄だけではない大きな理由があるのだが、それは家族以外知り得ないことだ。出会ったばかりの頃はヴィアに対しても起こっていたが、ヴィアは詳しいことは何にも聞かずただ適切な距離を保つようにしてくれた。何より、ヴィア自身が女性をあまり好ましく思っていないということがフィオナを安心させる一つにもなっている。
そのおかげで、ヴィアだけはフィオナの近くにいても全く問題ない男性なのだ。
「むしろベルゼさんに悪いことをしてしまったかしら。何も言わず、態度が悪かったかもしれない」
「あんな奴のことは気にするな。あいつもどうせ何も気にしちゃいない」
普段はほとんど感情をあらわにしないが、珍しく不機嫌そうに言うヴィアを見て、フィオナは驚いた顔をする。
「ヴィアもそうやって不機嫌になることがあるのね」
「フィオナは俺を心のない無機質な何かだと思っているのか?」
ヴィアはフィオナの言葉に目を丸くしたがすぐに冷ややかな目を向ける。珍しくコロコロと変わるヴィアの表情に、フィオナはごめんなさいと言いながらもくすくすと笑う。笑うのは失礼かもしれない、でもこんなヴィアを見れるなんてなんだか嬉しくてつい笑ってしまうのだ。
「他の男性だと近くにいるだけでどうしても拒否反応が出てしまうのだけれど、ヴィアだけは近くにいてもこうして話をしても平気なの。不思議ね。あなたがいつも気を遣って適切な距離を保ってくれるからだわ。あなただからこうして一緒に仕事をしていられるんだと思う。本当にありがとう」
フワッと嬉しそうにフィオナは笑って言うと、ヴィアはまたなぜか一瞬固まって、すぐに視線を逸らす。その顔は何かに耐えるような、嬉しさと苦しさが入り混じった複雑な表情だったが、もう前を見て歩き始めたフィオナはそれに気づかなかった。
「気にするな。俺もフィオナと一緒に仕事ができてよかったと思っている」
ヴィアが静かにそう言うと、フィオナは突然胸が高鳴る。なぜか顔も熱くなってくる気がしてフィオナは歩きながら首を傾げる。
(胸が高鳴る?どうして?男性に対する、いつものような不快な苦しい心臓の動きではない……?)
自分の中に湧き上がる不思議な現象にフィオナは一瞬戸惑うが、聖女の部屋の前にたどり着くとその戸惑いは消え去っていた。
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