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2章〜フォレスト王国王都〜
100、どんより
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王都最後の日、私は微かに震えている温もりに起こされた。
「……ん。んんん?」
その微かに震える温もりが何なのかと思ってその温もりの方を見る。
その温もりは、フェアディだった。
「?どうしたの、フェアディ。震えてるよ?」
『何でもないぞ!我は何も……、うむ。何も無いわ!』
嘘だ。
目が泳いでいる。思わずジト目になるけど私は悪く無い。悪い子はフェアディだよ?
……だけど余りにも挙動不審過ぎて動物姿な事もあり、少し哀れに思えてしまった。
うん、これは誰も悪く無い。ついでに意見をコロコロ変える私も悪く無い。
フェアディに何も聞かずに私はメイドさんを部屋に招いた。
そして入って来るメイドさん達を見て、すっかり王城慣れしてしまったなぁと改めて思う。
最初は庶民だからとメイドさんにメイクアップやら身支度やらをしてもらう事に抵抗大有りだったのに、今では抵抗少し有りになってしまった。
下らない事を考えている内にメイドさん達はてきぱきと私の身支度を済ませて行く。
今日は冒険用の服だからそんなに時間は掛からない。
それでも色々と下らない事を考えてしまうのは現実逃避だからしょうがないのです。抵抗が少なくなったとは言えど、有るには有るんだからね!
「如何でしょうか」
「ありがとうございます!とっても綺麗です!!」
自分で身支度をした自分を自分で独り言として『綺麗』なんて死んでも言わない。例え一人だろうと私の精神では無理。
だけど今は身支度してもらった側だから当然『綺麗』と言う。感謝は忘れちゃ駄目だよね。私の精神は駄目になるけど。
そしてクーイとルイゴと家族達と一緒に食堂に行く。
「ぉふ」
変な声が思わず出た。
バッと皆私の方を向いて来るから辛い。あ、侍従さんやメイドさんまで……。
でも、私が変な声を出した原因、貴方達だからね!?
な~んで皆そんなに暗いの?心なしかずどん!と空気も黒く淀んでいる気がする。
「お、おはよう?」
あ、疑問系になっちゃった。
『おはよう』
うん、暗い。暗黒だわ。
ノークさんもソークもロークも皆今にも泣きそうだ。子供かっ!駄々っ子か!?
クーイとルイゴの顔が引き攣っている。
私は何とか引き攣らないように保っているつもりだけど実際は分からない。
…………何故かいつもより距離が近い。物理で。
椅子の位置もだし、侍従さんとメイドさん達も少しだけ前に寄っている。しかもほんの少しだけ前のめり。
気にしない気にしない気にしない。
私は呪文のように心の中でそう唱えた。
でも効いたかは分からない。……多分効いて無いな。
とりあえず料理が美味しく感じない。
気まずっ!
誰か喋ってよ。そう、おはようと挨拶した後から今までずうっと無言なのだ。これはお通夜なの!?違うでしょ!?
普段なら私を気遣って何か話しかけてくれるクーイとルイゴも流石にこの空気では何も言えないらしい。
家族達は我関せずだった。普段だったらもう少し空気を読んで!と思う。
今はただただその我関せずな所が羨ましい。
「……リティア、本当に戻るのか?」
「うん戻る」
おずおずという風にロークが聞いてくる。ふっ、私には効かん!!
バッサリと切って捨てる私。
ローク、少しわざと感があるからね?分かる人には分かるよ絶対。まだまだ幼いね~。
「リティア?なんか視線が……」
「気のせいだよ!」
意外と鋭い。腐っても王子なんだね。
「リティア?やっぱり視線が……」
「気のせいだよ!」
「そ、そうか?」
あれ?と首を傾ける。
ずっきゅんと私のハートを撃ち抜かれた。可愛いな、それ。
「ローク、ここまで伸ばして貰ったんだから困らせては駄目だよ」
「でも、兄上!~~~~~!兄上は寂しくないのですか?」
言いたくてもどう表せばいいのか分からない。そんなもどかしそうな顔をロークはした。
何かこっちが申し訳なくなって来る。
「やっぱり寂しいよ?だけど僕達が会いに行けばいいだけだから」
「!!そうですね!!」
……ソーク、にっこりと笑ってはいるけど腹黒さが滲み出ています。怖いから指摘はしない。
そしてころっとその笑顔に騙されるローク、哀れなり。馬鹿だとも思うけど。
「……ん。んんん?」
その微かに震える温もりが何なのかと思ってその温もりの方を見る。
その温もりは、フェアディだった。
「?どうしたの、フェアディ。震えてるよ?」
『何でもないぞ!我は何も……、うむ。何も無いわ!』
嘘だ。
目が泳いでいる。思わずジト目になるけど私は悪く無い。悪い子はフェアディだよ?
……だけど余りにも挙動不審過ぎて動物姿な事もあり、少し哀れに思えてしまった。
うん、これは誰も悪く無い。ついでに意見をコロコロ変える私も悪く無い。
フェアディに何も聞かずに私はメイドさんを部屋に招いた。
そして入って来るメイドさん達を見て、すっかり王城慣れしてしまったなぁと改めて思う。
最初は庶民だからとメイドさんにメイクアップやら身支度やらをしてもらう事に抵抗大有りだったのに、今では抵抗少し有りになってしまった。
下らない事を考えている内にメイドさん達はてきぱきと私の身支度を済ませて行く。
今日は冒険用の服だからそんなに時間は掛からない。
それでも色々と下らない事を考えてしまうのは現実逃避だからしょうがないのです。抵抗が少なくなったとは言えど、有るには有るんだからね!
「如何でしょうか」
「ありがとうございます!とっても綺麗です!!」
自分で身支度をした自分を自分で独り言として『綺麗』なんて死んでも言わない。例え一人だろうと私の精神では無理。
だけど今は身支度してもらった側だから当然『綺麗』と言う。感謝は忘れちゃ駄目だよね。私の精神は駄目になるけど。
そしてクーイとルイゴと家族達と一緒に食堂に行く。
「ぉふ」
変な声が思わず出た。
バッと皆私の方を向いて来るから辛い。あ、侍従さんやメイドさんまで……。
でも、私が変な声を出した原因、貴方達だからね!?
な~んで皆そんなに暗いの?心なしかずどん!と空気も黒く淀んでいる気がする。
「お、おはよう?」
あ、疑問系になっちゃった。
『おはよう』
うん、暗い。暗黒だわ。
ノークさんもソークもロークも皆今にも泣きそうだ。子供かっ!駄々っ子か!?
クーイとルイゴの顔が引き攣っている。
私は何とか引き攣らないように保っているつもりだけど実際は分からない。
…………何故かいつもより距離が近い。物理で。
椅子の位置もだし、侍従さんとメイドさん達も少しだけ前に寄っている。しかもほんの少しだけ前のめり。
気にしない気にしない気にしない。
私は呪文のように心の中でそう唱えた。
でも効いたかは分からない。……多分効いて無いな。
とりあえず料理が美味しく感じない。
気まずっ!
誰か喋ってよ。そう、おはようと挨拶した後から今までずうっと無言なのだ。これはお通夜なの!?違うでしょ!?
普段なら私を気遣って何か話しかけてくれるクーイとルイゴも流石にこの空気では何も言えないらしい。
家族達は我関せずだった。普段だったらもう少し空気を読んで!と思う。
今はただただその我関せずな所が羨ましい。
「……リティア、本当に戻るのか?」
「うん戻る」
おずおずという風にロークが聞いてくる。ふっ、私には効かん!!
バッサリと切って捨てる私。
ローク、少しわざと感があるからね?分かる人には分かるよ絶対。まだまだ幼いね~。
「リティア?なんか視線が……」
「気のせいだよ!」
意外と鋭い。腐っても王子なんだね。
「リティア?やっぱり視線が……」
「気のせいだよ!」
「そ、そうか?」
あれ?と首を傾ける。
ずっきゅんと私のハートを撃ち抜かれた。可愛いな、それ。
「ローク、ここまで伸ばして貰ったんだから困らせては駄目だよ」
「でも、兄上!~~~~~!兄上は寂しくないのですか?」
言いたくてもどう表せばいいのか分からない。そんなもどかしそうな顔をロークはした。
何かこっちが申し訳なくなって来る。
「やっぱり寂しいよ?だけど僕達が会いに行けばいいだけだから」
「!!そうですね!!」
……ソーク、にっこりと笑ってはいるけど腹黒さが滲み出ています。怖いから指摘はしない。
そしてころっとその笑顔に騙されるローク、哀れなり。馬鹿だとも思うけど。
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