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第153話 メル伯爵とアテス暴走
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「陛下、馬車の準備が出来ました……大丈夫ですか?」
メリーが執務室へと戻ると、心臓を抑えたマリが座っていた。
「あ、いや、大丈夫。 あはは、行こっか」
マリは後ろを振り返るが、既にフォースは隠し扉に戻り部屋に1人だった。
メリーの案内で城の出口に向かう。
しかし、広すぎて一向に出口に着かない。
「いや、広すぎ!!」
「ふふ、そうですね。 昨夜の内に全て見て回りましたが、今までの城をベースに大改築を行い広さは30倍だそうです」
「さ、30倍……? え、逆に不便じゃない?」
「ドワーフの感謝を表すとこうなったそうです」
「えぇ……メリーさん、早く視察行こう。 不安しか無いよ」
2人は足早に廊下を進み、階段を下りる。
下りた先からヨハネが歩いて来た。 羊皮紙の束を持っている所を見るに、税務官としての仕事が山積みなのだろう。
「あ! おはようマリ! さっきルーデウス陛下が鼻息荒く自分の部屋に行ってたけど何かあったのかい? 一緒に朝食取ったんだろ?」
ヨハネの問にマリは苦笑いで返す。
「おはようヨハネ。 ちょっとね……あはは、また話すよ」
「うん? 分かったよ。 また後でね」
「うん、またね。 あ、そういえばジャックは? ルーデウスの所?」
「ん? あ~……うん、小さな執事の教育にちょっとね。 また会いに行くと思うけど……マリは何処かへ行くのかい?」
「メル伯爵の所に視察にね。 アテスさん達が商業地区と産業地区の復興をしてくれてるのも見たいし。 因みに、小さな執事って? 新しい子が増えるの?」
メリーに問うが、ヨハネが人差し指を口に当てたのを見たメリーは微笑み答えなかった。
「秘密でございます陛下」
「んー? まぁ、いいや。 もしジャックに会ったら視察に出たって伝えてね~」
マリはヨハネと別れ、今度こそ出口に着いた。
「おはようございます、陛下。 隊長」
馬車の御者はセヴンスだった。
「おはようセヴンス。 メル伯爵の所にお願いね」
「はっ!」
「頼みますね、セヴンス。 そういえば陛下、ルーデウス代理国王陛下とはどんなお話を?」
「あ~……馬車の中で話すね」
2人は馬車に乗り込み、セヴンスが馬車を走らせ始めた。
◆◇◆
「……なるほど。 初めて聞いた言葉ですが、確かにそれは理に適っていますね」
「そうなんだ。 もう……可愛いだけのルーたんじゃないからね。 皆に選んでもらって、しっかりした国王になってもらわないと」
選挙の意味とやる意義を聞いたメリーは、マリの考えに賛同し共にルーデウスを国王にする事で一致した。
「分かりました。 そういう事でしたら、私も協力致します!」
「ありがとうメリーさん。 エントン王国が纏まったら、魔族の国に行こうね。 早く全部終わらしたいもんね。 だって……ほら、ね?」
マリの意味深な言葉にメリーは顔を真っ赤にさせ、抗議する。
「へ、陛下だってそうじゃないですか! 私だけじゃないですよ!」
「うるさーい! 私はいいの! それより、アーサー君に好きにさせたんでしょ?! このたわわに実った果実を若い男に好きにさせたんでしょー!?」
図星をつかれたマリは照れ隠しに、メリーの胸元に抱き着き顔を埋めた。
「陛下、言い方がなんか嫌です! ちょっ! やめて下さい! ダメですよ~!!」
2人が馬車の中で暴れていると、気まずそうなセヴンスが馬車の扉を開いた。
「あの……着きましたけど」
セヴンスの言葉に正気を取り戻した2人は咳払いをし、馬車を下りた。
「お、おほん! さてメリーさん……此処何処!?」
「うわぁ……何か凄いですね」
マリとメリーが降り立ったのは、巨大な街だった。
商業地区と産業地区は他国との貿易が主な役目なので、市場や店が建ち並び他国の商人が利用する宿屋等が点在する小さな街だった。
しかし、先の戦争で破壊され略奪の限りを尽くされ廃墟寸前と報告書に書かれていた筈が、実際に見渡すと王都並に巨大な街に変貌を遂げていた。
まだ大きくするつもりなのか、遠くではドワーフ達があり得ない速度で建物を建てながら進んでいる。
「あかんって! アテスはん! これ以上大きく……え!? そんな大きな倉庫を!? ありがたいわー! 次はじゃあ、あそこ一帯を全部宿屋にしてもらえます? えぇ!? こんな調度品も作れるん!? じゃあ、この調度品を倉庫一杯に……ええの?! やったーー! 大儲けの予感やー!」
その側では、アテスと話しながら狂喜乱舞しているメル伯爵の姿が見えた。
「完全に暴走してますね……陛下」
「メリーさん、メルさんの事止めて! 後、アテスさんも! こんなに大きな街にしても人居ないから!! このままじゃ、メル伯爵の王都みたいな街が完成しちゃう!」
2人は急いでメル伯爵とアテスを止めに走るのであった。
メリーが執務室へと戻ると、心臓を抑えたマリが座っていた。
「あ、いや、大丈夫。 あはは、行こっか」
マリは後ろを振り返るが、既にフォースは隠し扉に戻り部屋に1人だった。
メリーの案内で城の出口に向かう。
しかし、広すぎて一向に出口に着かない。
「いや、広すぎ!!」
「ふふ、そうですね。 昨夜の内に全て見て回りましたが、今までの城をベースに大改築を行い広さは30倍だそうです」
「さ、30倍……? え、逆に不便じゃない?」
「ドワーフの感謝を表すとこうなったそうです」
「えぇ……メリーさん、早く視察行こう。 不安しか無いよ」
2人は足早に廊下を進み、階段を下りる。
下りた先からヨハネが歩いて来た。 羊皮紙の束を持っている所を見るに、税務官としての仕事が山積みなのだろう。
「あ! おはようマリ! さっきルーデウス陛下が鼻息荒く自分の部屋に行ってたけど何かあったのかい? 一緒に朝食取ったんだろ?」
ヨハネの問にマリは苦笑いで返す。
「おはようヨハネ。 ちょっとね……あはは、また話すよ」
「うん? 分かったよ。 また後でね」
「うん、またね。 あ、そういえばジャックは? ルーデウスの所?」
「ん? あ~……うん、小さな執事の教育にちょっとね。 また会いに行くと思うけど……マリは何処かへ行くのかい?」
「メル伯爵の所に視察にね。 アテスさん達が商業地区と産業地区の復興をしてくれてるのも見たいし。 因みに、小さな執事って? 新しい子が増えるの?」
メリーに問うが、ヨハネが人差し指を口に当てたのを見たメリーは微笑み答えなかった。
「秘密でございます陛下」
「んー? まぁ、いいや。 もしジャックに会ったら視察に出たって伝えてね~」
マリはヨハネと別れ、今度こそ出口に着いた。
「おはようございます、陛下。 隊長」
馬車の御者はセヴンスだった。
「おはようセヴンス。 メル伯爵の所にお願いね」
「はっ!」
「頼みますね、セヴンス。 そういえば陛下、ルーデウス代理国王陛下とはどんなお話を?」
「あ~……馬車の中で話すね」
2人は馬車に乗り込み、セヴンスが馬車を走らせ始めた。
◆◇◆
「……なるほど。 初めて聞いた言葉ですが、確かにそれは理に適っていますね」
「そうなんだ。 もう……可愛いだけのルーたんじゃないからね。 皆に選んでもらって、しっかりした国王になってもらわないと」
選挙の意味とやる意義を聞いたメリーは、マリの考えに賛同し共にルーデウスを国王にする事で一致した。
「分かりました。 そういう事でしたら、私も協力致します!」
「ありがとうメリーさん。 エントン王国が纏まったら、魔族の国に行こうね。 早く全部終わらしたいもんね。 だって……ほら、ね?」
マリの意味深な言葉にメリーは顔を真っ赤にさせ、抗議する。
「へ、陛下だってそうじゃないですか! 私だけじゃないですよ!」
「うるさーい! 私はいいの! それより、アーサー君に好きにさせたんでしょ?! このたわわに実った果実を若い男に好きにさせたんでしょー!?」
図星をつかれたマリは照れ隠しに、メリーの胸元に抱き着き顔を埋めた。
「陛下、言い方がなんか嫌です! ちょっ! やめて下さい! ダメですよ~!!」
2人が馬車の中で暴れていると、気まずそうなセヴンスが馬車の扉を開いた。
「あの……着きましたけど」
セヴンスの言葉に正気を取り戻した2人は咳払いをし、馬車を下りた。
「お、おほん! さてメリーさん……此処何処!?」
「うわぁ……何か凄いですね」
マリとメリーが降り立ったのは、巨大な街だった。
商業地区と産業地区は他国との貿易が主な役目なので、市場や店が建ち並び他国の商人が利用する宿屋等が点在する小さな街だった。
しかし、先の戦争で破壊され略奪の限りを尽くされ廃墟寸前と報告書に書かれていた筈が、実際に見渡すと王都並に巨大な街に変貌を遂げていた。
まだ大きくするつもりなのか、遠くではドワーフ達があり得ない速度で建物を建てながら進んでいる。
「あかんって! アテスはん! これ以上大きく……え!? そんな大きな倉庫を!? ありがたいわー! 次はじゃあ、あそこ一帯を全部宿屋にしてもらえます? えぇ!? こんな調度品も作れるん!? じゃあ、この調度品を倉庫一杯に……ええの?! やったーー! 大儲けの予感やー!」
その側では、アテスと話しながら狂喜乱舞しているメル伯爵の姿が見えた。
「完全に暴走してますね……陛下」
「メリーさん、メルさんの事止めて! 後、アテスさんも! こんなに大きな街にしても人居ないから!! このままじゃ、メル伯爵の王都みたいな街が完成しちゃう!」
2人は急いでメル伯爵とアテスを止めに走るのであった。
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