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第179話 都市に到着
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窓の外を見ると、景色が流れるように過ぎて行く。
「ふわ~……凄いね。 まさか、地面を自動で走らせる貨物列車を作っちゃうとか……流石、チート種族ドワーフ」
一番前の窓に張り付いていたマリが呟くと、運転席から顔を出したアテスが苦笑いで反論する。
「えぇ? いやいや、凄いのはマリ族長だからね? こんなアイデア良く思い付くなって皆で言ってたんだから」
豪華な先頭車両に乗っているマリ達は快適な旅をしていた。 この貨物列車は精霊列車と呼ばれ、乗り物や製品等に好奇心旺盛な精霊達が好きに乗れる器を取付けそれをエンジンとして運用しているのだ。
アテスからの説明によると、殆どの精霊達が楽しいと進んで乗り物や家電に入ってくれるそうだ。 今も、火の精霊がエンジンを担当し、振動や音を土の精霊が掻き消し、風の抵抗を風の精霊が減らしてくれている。
その上で、王都から亜人の共有領土まで整備された道をこの貨物列車が走っているのだ。 快適で無い筈がない。
「なぁ、ヨハネ。 この乗り物がどういう理屈かは聞いたが……エルフとして、良いのか?」
広い車内の中でヨハネの隣に座るジャックは楽しそうに外の景色を眺めるヨハネに問う。
「え? あぁ、何時ぞやの自動兵器の事だね。 アレは、精霊達を無理矢理閉じ込めて兵器にしていたゴミだ。 でも、コレには凄く楽しそうにしている精霊達しか居ない。 きっと、アテスが良い器を準備したんだろうね」
どうやら、精霊達と協力関係にあるエルフのヨハネからしたらこの乗り物は問題無いようだ。
「そうなのか。 なら良かった。 マリ様が考えられた物で、お前が悲しむのは嫌だからな」
「おや? 何だいジャック、心配してくれたのかい?」
ニヤニヤと笑うヨハネをジャックは睨み、低い声で怒鳴る。
「お前が悲しんだら、マリ様が悲しまれるだろうが。 調子に乗ると其処の窓から叩き落とすぞ」
「わ~! マリ、ジャックが虐めるのさー!」
「お前! ちょっとこっちに来い!」
ヨハネは嘘泣きをしながらマリの方へと逃げ出した。 ジャックは止めようとしたが、ヨハネはするりと避けて颯爽とマリに抱き付く。
「ちょっ!? ヨハネ、どしたどした。 そうだ、アテス。 亜人の共有領土まで何日掛かるの?」
マリはヨハネの頭を撫でながらアテスに問う。
「え? もう少ししたら着くよ~? 王都から真っすぐ一本道だからね~」
「……もう!? 出発してから、まだ3時間ぐらいだよね?」
馬車の時は7日掛かった道のりをまさかの3時間で着くとは予想外の速さである。 マリはアテスの隣に立ち前方の景色を見ていると、本当に建物が見えてきた。
「凄いね! 本当にもう……あれ? 街だよね、アレ」
「勿論さ、ようこそ! 亜人共有領土へ! まぁ、将来マリ族長も住むからお帰りなさい……かな? あはは」
マリの視線の先には街では無く、都市があった。
◆◇◆
「うぅ……マリ様、本当に、着いた、の……ですか?」
実は、豪華な車両の奥ではメリー達がグロッキー状態でずっと倒れていた。 どうやら、魔族は乗り物酔いしやすいらしく。 とんでもない速度で走る貨物列車で、速攻ダウンしてしまったのだ。
「そうだよ、メリーさん。 起きれそう? 降りてから、何処かで休んだ方が良いよ」
他のメイド部隊達も四人全員がグロッキー状態で倒れている。
今は都市の中心部まで進み、そびえ立つ豪華なビルの前で貨物列車を止めた所だ。 様々な亜人達が都市を行き交い、マリが前世の世界に戻ったのかと錯覚するほどだ。
「あちゃー、こりゃ凄えな。 おっす! 族長!」
マリが四苦八苦していると、鬼人の英雄ロキが数人の鬼人達を連れて車両に入って来た。
「あ、ロキさん! って……今なんて?」
「悪い、今はこいつ等を病院に運ぶからまたな!」
ロキはファーストを抱きかかえ、他の女性の鬼人達がメリー達を手際よく運び出した。
「マリ? どうしたんだい?」
「あ、ヨハネ。 ううん、何でも無い……。 じゃあ、とりあえず私達も降りよっか」
「マリ様、足下をお気を付けを」
「ありがとうジャック」
マリは車両から降りて、改めて周囲を見渡す。
酔っ払いながら書いたので記憶が曖昧だが、確かにこんな建物が有れば~と書いたかも知れない。 朧気な記憶を思い出しながら、そびえ立つビル群を見つめた。
「あはは……今までで一番のやらかしかも……。 異世界に近代都市が出来ちゃった」
ヨハネとジャックは見たことのない都市に唖然としながら見渡していた。 マリの苦笑いには誰も気が付かなかった。
「ふわ~……凄いね。 まさか、地面を自動で走らせる貨物列車を作っちゃうとか……流石、チート種族ドワーフ」
一番前の窓に張り付いていたマリが呟くと、運転席から顔を出したアテスが苦笑いで反論する。
「えぇ? いやいや、凄いのはマリ族長だからね? こんなアイデア良く思い付くなって皆で言ってたんだから」
豪華な先頭車両に乗っているマリ達は快適な旅をしていた。 この貨物列車は精霊列車と呼ばれ、乗り物や製品等に好奇心旺盛な精霊達が好きに乗れる器を取付けそれをエンジンとして運用しているのだ。
アテスからの説明によると、殆どの精霊達が楽しいと進んで乗り物や家電に入ってくれるそうだ。 今も、火の精霊がエンジンを担当し、振動や音を土の精霊が掻き消し、風の抵抗を風の精霊が減らしてくれている。
その上で、王都から亜人の共有領土まで整備された道をこの貨物列車が走っているのだ。 快適で無い筈がない。
「なぁ、ヨハネ。 この乗り物がどういう理屈かは聞いたが……エルフとして、良いのか?」
広い車内の中でヨハネの隣に座るジャックは楽しそうに外の景色を眺めるヨハネに問う。
「え? あぁ、何時ぞやの自動兵器の事だね。 アレは、精霊達を無理矢理閉じ込めて兵器にしていたゴミだ。 でも、コレには凄く楽しそうにしている精霊達しか居ない。 きっと、アテスが良い器を準備したんだろうね」
どうやら、精霊達と協力関係にあるエルフのヨハネからしたらこの乗り物は問題無いようだ。
「そうなのか。 なら良かった。 マリ様が考えられた物で、お前が悲しむのは嫌だからな」
「おや? 何だいジャック、心配してくれたのかい?」
ニヤニヤと笑うヨハネをジャックは睨み、低い声で怒鳴る。
「お前が悲しんだら、マリ様が悲しまれるだろうが。 調子に乗ると其処の窓から叩き落とすぞ」
「わ~! マリ、ジャックが虐めるのさー!」
「お前! ちょっとこっちに来い!」
ヨハネは嘘泣きをしながらマリの方へと逃げ出した。 ジャックは止めようとしたが、ヨハネはするりと避けて颯爽とマリに抱き付く。
「ちょっ!? ヨハネ、どしたどした。 そうだ、アテス。 亜人の共有領土まで何日掛かるの?」
マリはヨハネの頭を撫でながらアテスに問う。
「え? もう少ししたら着くよ~? 王都から真っすぐ一本道だからね~」
「……もう!? 出発してから、まだ3時間ぐらいだよね?」
馬車の時は7日掛かった道のりをまさかの3時間で着くとは予想外の速さである。 マリはアテスの隣に立ち前方の景色を見ていると、本当に建物が見えてきた。
「凄いね! 本当にもう……あれ? 街だよね、アレ」
「勿論さ、ようこそ! 亜人共有領土へ! まぁ、将来マリ族長も住むからお帰りなさい……かな? あはは」
マリの視線の先には街では無く、都市があった。
◆◇◆
「うぅ……マリ様、本当に、着いた、の……ですか?」
実は、豪華な車両の奥ではメリー達がグロッキー状態でずっと倒れていた。 どうやら、魔族は乗り物酔いしやすいらしく。 とんでもない速度で走る貨物列車で、速攻ダウンしてしまったのだ。
「そうだよ、メリーさん。 起きれそう? 降りてから、何処かで休んだ方が良いよ」
他のメイド部隊達も四人全員がグロッキー状態で倒れている。
今は都市の中心部まで進み、そびえ立つ豪華なビルの前で貨物列車を止めた所だ。 様々な亜人達が都市を行き交い、マリが前世の世界に戻ったのかと錯覚するほどだ。
「あちゃー、こりゃ凄えな。 おっす! 族長!」
マリが四苦八苦していると、鬼人の英雄ロキが数人の鬼人達を連れて車両に入って来た。
「あ、ロキさん! って……今なんて?」
「悪い、今はこいつ等を病院に運ぶからまたな!」
ロキはファーストを抱きかかえ、他の女性の鬼人達がメリー達を手際よく運び出した。
「マリ? どうしたんだい?」
「あ、ヨハネ。 ううん、何でも無い……。 じゃあ、とりあえず私達も降りよっか」
「マリ様、足下をお気を付けを」
「ありがとうジャック」
マリは車両から降りて、改めて周囲を見渡す。
酔っ払いながら書いたので記憶が曖昧だが、確かにこんな建物が有れば~と書いたかも知れない。 朧気な記憶を思い出しながら、そびえ立つビル群を見つめた。
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