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第10話 信頼?
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翌朝、目が覚めるとカレンはベッドに寝ていた。
部屋には誰もおらず、ベッドに寝ていたであろうエリック王子の姿も、見当たらない。
昨日はソファで寝たはずなのに、いつの間にベッドに移ったんだろう……。
そう思ったのは一瞬で次には確信めいた考えが浮かぶ。
いや、というよりも、これは自分で移ったんじゃなくて、移されたんだよね?
そう考えるとカレンは恥ずかしくなって枕に顔を埋めて、う~と声にならない声を発した。
すると、部屋の扉をノックする音がしてビクッと肩を震わせる。
エリック王子が戻ってきたの!?
昨日の今日でどんな顔をすればいいのかと焦っていると、扉の外から声を掛けてきたのはヘイリーだった。
「カレン様、入ってもよろしいでしょうか?」
ほっ……、ヘイリーか。良かった。
「え、ええ。大丈夫よ」
軽く身なりを整えてカレンが答えると、扉が開いてヘイリーが入ってきた。
「おはようございます。カレン様」
いつものように優しく笑うヘイリーにカレンも安心して答える。
「おはよう、ヘイリー」
カレンが挨拶を返すと、ヘイリーはスッと顔を拭く為に使う布を差し出した。そして
「カレン様、これで目元を冷やすと目の腫れが和らぎますよ」
と言った。
「……え!?」
カレンは昨日の事を思い出し固まった。
そして、再び恥ずかしさと悔しさがカレンを襲う。
あの王子、人の事をからかって面白がって……。本当最低!
そんなカレンにヘイリーは優しく声をかけた。
「エリック王子から目の腫れを治す物を持っていくようにと、言われたんです」
「そ、そう……なの……」
カレンはヘイリーから布を受け取ると目元に当てた。
ああ、冷たくて気持ちが良い……。
カレンが目を冷やしているとヘイリーの声が聞こえてきた。
「エリック王子が、昨夜カレン様を怒らせて泣かせてしまったと仰っておりました。フフッ。今朝は、いつもより物静かでとても落ち込んでいらっしゃるようです」
へえ。落ち込んでるんだ。
カレンは昨日の「悪かった」と言ったエリックの言葉を思い出し、少しだけ気分が晴れる。
「エリック王子はカレン様の事を信頼し、本当に心を許してらっしゃるんですね」
そう言ったヘイリーに思わず
「どこが!?」
とカレンは飛び起きた。するとヘイリーはクスクス笑って言った。
「だって、エリック王子が女性を怒らせただなんて、聞いた事がありませんもの。それだけ、カレン様の事を信頼していらっしゃるんですわ」
「いや、信頼というよりも……、面白がってるだけだと思うわよ?エリック王子はヘイリーが思ってる程、清廉な王子ではないわよ?」
カレンはここぞとばかりに、意地悪をしてくるエリック王子の話しをした。
「そうなんですか?私が知っているエリック王子は、民や臣下の事を大切にして下さる清廉なお姿しか拝見する事が出来ないんです。デヴォンにはもう少し気楽な物言いもされているとは聞いていましたが、カレン様にもそういったお姿をお見せになっているんですね」
「……私にも清廉な姿だけを見せてくれてれば良かったんだけどね……」
カレンがボソリと言った言葉に、ヘイリーは少しだけ困った顔をして話し始めた。
「それでも、エリック王子にとって素を見せられる……信頼を置ける方は、とても貴重な存在なんだと思います。……これは、私から聞いたと言わないで下さいね……」
そう言うとヘイリーは苦い顔で話し始めた。
部屋には誰もおらず、ベッドに寝ていたであろうエリック王子の姿も、見当たらない。
昨日はソファで寝たはずなのに、いつの間にベッドに移ったんだろう……。
そう思ったのは一瞬で次には確信めいた考えが浮かぶ。
いや、というよりも、これは自分で移ったんじゃなくて、移されたんだよね?
そう考えるとカレンは恥ずかしくなって枕に顔を埋めて、う~と声にならない声を発した。
すると、部屋の扉をノックする音がしてビクッと肩を震わせる。
エリック王子が戻ってきたの!?
昨日の今日でどんな顔をすればいいのかと焦っていると、扉の外から声を掛けてきたのはヘイリーだった。
「カレン様、入ってもよろしいでしょうか?」
ほっ……、ヘイリーか。良かった。
「え、ええ。大丈夫よ」
軽く身なりを整えてカレンが答えると、扉が開いてヘイリーが入ってきた。
「おはようございます。カレン様」
いつものように優しく笑うヘイリーにカレンも安心して答える。
「おはよう、ヘイリー」
カレンが挨拶を返すと、ヘイリーはスッと顔を拭く為に使う布を差し出した。そして
「カレン様、これで目元を冷やすと目の腫れが和らぎますよ」
と言った。
「……え!?」
カレンは昨日の事を思い出し固まった。
そして、再び恥ずかしさと悔しさがカレンを襲う。
あの王子、人の事をからかって面白がって……。本当最低!
そんなカレンにヘイリーは優しく声をかけた。
「エリック王子から目の腫れを治す物を持っていくようにと、言われたんです」
「そ、そう……なの……」
カレンはヘイリーから布を受け取ると目元に当てた。
ああ、冷たくて気持ちが良い……。
カレンが目を冷やしているとヘイリーの声が聞こえてきた。
「エリック王子が、昨夜カレン様を怒らせて泣かせてしまったと仰っておりました。フフッ。今朝は、いつもより物静かでとても落ち込んでいらっしゃるようです」
へえ。落ち込んでるんだ。
カレンは昨日の「悪かった」と言ったエリックの言葉を思い出し、少しだけ気分が晴れる。
「エリック王子はカレン様の事を信頼し、本当に心を許してらっしゃるんですね」
そう言ったヘイリーに思わず
「どこが!?」
とカレンは飛び起きた。するとヘイリーはクスクス笑って言った。
「だって、エリック王子が女性を怒らせただなんて、聞いた事がありませんもの。それだけ、カレン様の事を信頼していらっしゃるんですわ」
「いや、信頼というよりも……、面白がってるだけだと思うわよ?エリック王子はヘイリーが思ってる程、清廉な王子ではないわよ?」
カレンはここぞとばかりに、意地悪をしてくるエリック王子の話しをした。
「そうなんですか?私が知っているエリック王子は、民や臣下の事を大切にして下さる清廉なお姿しか拝見する事が出来ないんです。デヴォンにはもう少し気楽な物言いもされているとは聞いていましたが、カレン様にもそういったお姿をお見せになっているんですね」
「……私にも清廉な姿だけを見せてくれてれば良かったんだけどね……」
カレンがボソリと言った言葉に、ヘイリーは少しだけ困った顔をして話し始めた。
「それでも、エリック王子にとって素を見せられる……信頼を置ける方は、とても貴重な存在なんだと思います。……これは、私から聞いたと言わないで下さいね……」
そう言うとヘイリーは苦い顔で話し始めた。
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