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しおりを挟む団長様からの突然の告白のあとでも私は変わらぬ毎日を過ごしている。
いや、表面上だけは普通に振る舞っているだけではあるが。
あの日本当は魔物の討伐に行こうとしたのだが、せっかくドラゴンの肉が手に入ったので急遽お店を開くことにした。ちなみにあの日の料理はテールステーキだ。
団長様は毎回必ず来てくれていたが、今日の今日だから来ないかもと思っていると何事もなかったかのようにお店に来てくれた。
告白を受けてからまだ数時間しか経っていなかったのでどういう顔をして会えばいいのかと焦ったのだが、団長様はいつもと変わらなかった。
(あれ?気にしてるのは私だけ?)
なんだか拍子抜けではあるが団長様が普段通りなのであれば私も普段通りを心がけるだけ。
(…まぁそうは思ってもドキドキしちゃうけどね!)
恋愛初心者なのでそこは仕方がない。表面上だけでも普通に振る舞えているだけで十分だと思うことにした。そう思うことで何とか平常心を保っていたのに団長様から帰り際に言われた一言でその平常心も簡単に崩れ去った。
「また会いたい。会いに来ていいか?」
「っ!は、はい…」
(そ、その言い方はずるいっ!ダメなんて言えるわけないじゃない!)
「ありがとう」
そして微笑んで帰っていった。
私はあの告白を機に間違いなく団長様に惹かれ始めていた。人は一度意識し始めると自然とその人を目で追ってしまうようになるのだなと身を持って経験することとなった。
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