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第3話 受付嬢とレベルあげをする
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翌日。
城下町にある冒険者ギルドへとやって来た。
魔法使いとして生きていくなら冒険者ギルドには所属しておいた方が良いらしい。
扉を開けて中に入ると、人が沢山いてうるさかった。
正面にカウンターのようなところがあって、綺麗な受付嬢のお姉さんが数人いた。
右の方には張り紙が沢山貼られた掲示板があり、そこに人が溜まっている。
綺麗な茶髪で巨乳のお姉さんにふらふらと引き寄せられるように、俺は歩いていた。
「ようこそ、冒険者ギルドへ」
笑顔で挨拶をするお姉さんに癒やされた後、クラウゼルに貰った紹介状をカウンターの上に出した。
「これは、紹介状ですか? えっ? 王家の封印? 少々お待ちください」
お姉さんは紹介状の中身を確認すると、慌てて奥へと引っ込んでいく。
何が書いてあったんだろうか?
しばらく待っていると、お姉さんは戻ってきた。
「すみません。こちらにお願いします」
お姉さんに連れられて、何やら個室へと案内される。
案内された部屋へと入ると厳つい顔をしたがたいのいい男が椅子に腰掛けていた。
「おう、そこに座ってくれ」
お姉さんは扉を閉めていなくなり、俺は男に言われた通りにテーブルを挟んだ反対側の椅子に腰掛ける。
「俺の名前はグラッツ。ここのギルドマスターをやらせて貰ってるもんだ」
「私はダイスケと申します。よろしくお願いいたします」
「早速本題だが、この紹介状に書いてあることは本当なんだな?」
グラッツは紹介状を机の上に広げて置いた。
紹介状には、勇者召喚に巻き込まれてレベル1で困ってるからできる限り助けてやって欲しい、というようなことが書いてあった。
「そうですね。出来れば助けて頂きたいです」
「ちっ、クラウゼルの野郎、面倒なことを押しつけやがって」
全然歓迎されてない感じだな。
そりゃレベル1の40歳のおっさんの相手なんてしたくないか。
「あの、そこまで大変なことでしたら自分でなんとかしますので」
「馬鹿にすんじゃねえ。俺は一度引き受けた仕事を放り出したりしねえ。それに実際に動くのは俺じゃねえしな」
グラッツが喋り終わるのと同時に扉がコンコンとノックされた。
「入れ」
「お待たせしました」
扉が開くと先ほどの綺麗な茶髪のお姉さんが革鎧を身につけた状態で部屋に入ってきた。
「リンネといいます。今日は私がレベル上げに付き合いますね」
リンネと名乗る茶髪巨乳受付嬢は、革鎧を身に纏い、大きな大剣を背中に背負っている。
まさか、受付嬢が戦闘するのか?
「安心しな。うちのギルドの奴はそこらへんの冒険者より遙かに強い。特別だぜ? 国からの依頼じゃなかったら、滅多なことでは出張ったりしないんだからな」
不安な表情を顔に出してしまっていたようで、グラッツが説明してくれた。
「そうですか。わざわざ私のためにありがとうございます。私はダイスケといいます。リンネさんよろしくお願いします」
「はい。よろしくお願いします」
リンネさんの笑顔が眩しい。
精力たっぷりの若々しい身体がびんびんに反応している。
リンネさんと一緒に部屋を出て人の多い所を通ると、辺りがざわつきだした。
「おい、リンネさんが出るみたいだぞ」
「何かやばいことでも起きたのか?」
「それよりも、後ろを歩いてるおっさんは誰だ?」
「知らないけど、リンネさんと一緒に行動するくらいだから高ランクの奴じゃないか」
何だかいらぬ注目を集めている。
レベル1なんだけどな。
それと、見た目はおっさんだけどお肌はピチピチだからな。
◇
町の外に出て見通しのいい平原につれて行かれた。
「ダイスケさんは戦闘経験がまったくないようなので、まずはレベルをあげましょう。私が魔物を弱らせるのでお渡しした剣でトドメをさしてください」
「わかりました」
リンネさんに教えて貰った話では魔物を倒すだけが経験値を手に入れる手段ではないらしい。
魔物を倒すのが最も効率はいいらしいけど、訓練などでも経験値は手に入るようだ。
なので普通に生活していても成人――15歳――する頃にはLv5位には達しているとのことだ。
40歳ともなればLvが10近くになっているのが普通で冒険者ともなればLv30位になっているのが普通らしい。
要するに40歳でLv1の俺は人類の中でも最弱に属するということだ。
そして、Lv1だと普通は魔物を相手にするのは難しく死んでしまうのがおちらしい。
「ピギー」
角の生えたウサギが俺とリンネさんの方へと突っ込んできた。
「せいっ」
リンネさんは角を素手で掴んでウサギの突進を真正面から受け止める。
そのままウサギを地面に叩きつけた。
ウサギはぴくぴくと痙攣している。
「ダイスケさん、いまです」
リンネさんの指示を受けて、借りた剣をウサギに突き立てた。
何だか嫌な感触だな。
さくりと剣がウサギに食い込み、ウサギは血を流し、しばらくすると動かなくなった。
ウサギが絶命すると同時にステータス画面が光り、レベルが上がったことを教えてくれる。
「あっ、レベルがあがりました」
「最初はすぐにレベルがあがりますよ。今日中にレベル5を目指しましょう」
その日はリンネさんに手伝って貰い、レベルを5まであげた。
翌日。
「スキルは取得してきましたか?」
今日は俺一人で魔物と戦う。
それで問題なければ、晴れて独り立ちということになる。
昨日の夜、4Pのスキルポイントを得た俺は風魔法を習得することにした。
風魔法を選んだ理由は、空を飛べるようになるからだ。
正確にはLv7まで取らないといけないからまだ空を飛べるわけではない。
でも、空はやっぱり飛んでみたいだろ。
高所恐怖症ではないしな。
魅了はまだ取得していない。
魅了を取得するのは、転移という魔法を使えるようになってからだ。
いざとなったら即逃げる。
それができる転移を使えるレベルになってから魅了を使ってみようと思う。
慎重にいかないとな。
「風魔法を覚えてきました」
「なるほど、いいですね。空を飛べるようになるのはすごい羨ましいです。それじゃあ、試し撃ちをしてみましょう」
リンネさんの指示する方向へ向かって、俺は初めて魔法を使ってみた。
「ウインドカッター」
魔法名を唱えると、俺の正面に目に見える形で風の刃が現れた。
俺の身長の2倍ほどの高さで、厚さが俺の肩幅くらいある。
空に向かって勢いよく発射された風の刃は、すごい勢いで見えなくなるところまで飛んでいった。
おおっ。これが魔法か。
初めて使った魔法に感動していると、リンネさんが拍手をくれた。
「すごいです。でもウインドカッターを使って欲しかったんですけど……。エアーエッジでしたよね今のは?」
「いえ、今のはウインドカッターですよ? エアーエッジは風魔法Lv5が必要ですから、まだ使えませんよ」
「え?」
「え?」
確かにウインドカッターを使ったはずなんだけど、どうやら、リンネさんには今のがエアーエッジに見えたようだ。
なんでだ?
……わからないけど今は適当にごまかしておこう。
「あっ、すいません。確かに今のはエアーエッジでした。間違って使っちゃったみたいです」
「……ははは、そうですよね」
「ピギー」
微妙な空気になっている俺たちの元へ、角の生えたウサギが突っ込んできた。
「来ましたよ」
「はいわかってます。ウインドカッター」
巨大な風の刃が出現し、角の生えたウサギをえぐるように切り裂いた。
風の刃がでかすぎて、ウサギは殆ど跡形がなくなっている。
「ダイスケさん?」
「はは、どうしたんでしょうね。おかしいな」
ジトッとした目でこちらを見るリンネさんの視線に耐えながら、その日はなんとか狩りを終え、無事に独り立ちすることになった。
城下町にある冒険者ギルドへとやって来た。
魔法使いとして生きていくなら冒険者ギルドには所属しておいた方が良いらしい。
扉を開けて中に入ると、人が沢山いてうるさかった。
正面にカウンターのようなところがあって、綺麗な受付嬢のお姉さんが数人いた。
右の方には張り紙が沢山貼られた掲示板があり、そこに人が溜まっている。
綺麗な茶髪で巨乳のお姉さんにふらふらと引き寄せられるように、俺は歩いていた。
「ようこそ、冒険者ギルドへ」
笑顔で挨拶をするお姉さんに癒やされた後、クラウゼルに貰った紹介状をカウンターの上に出した。
「これは、紹介状ですか? えっ? 王家の封印? 少々お待ちください」
お姉さんは紹介状の中身を確認すると、慌てて奥へと引っ込んでいく。
何が書いてあったんだろうか?
しばらく待っていると、お姉さんは戻ってきた。
「すみません。こちらにお願いします」
お姉さんに連れられて、何やら個室へと案内される。
案内された部屋へと入ると厳つい顔をしたがたいのいい男が椅子に腰掛けていた。
「おう、そこに座ってくれ」
お姉さんは扉を閉めていなくなり、俺は男に言われた通りにテーブルを挟んだ反対側の椅子に腰掛ける。
「俺の名前はグラッツ。ここのギルドマスターをやらせて貰ってるもんだ」
「私はダイスケと申します。よろしくお願いいたします」
「早速本題だが、この紹介状に書いてあることは本当なんだな?」
グラッツは紹介状を机の上に広げて置いた。
紹介状には、勇者召喚に巻き込まれてレベル1で困ってるからできる限り助けてやって欲しい、というようなことが書いてあった。
「そうですね。出来れば助けて頂きたいです」
「ちっ、クラウゼルの野郎、面倒なことを押しつけやがって」
全然歓迎されてない感じだな。
そりゃレベル1の40歳のおっさんの相手なんてしたくないか。
「あの、そこまで大変なことでしたら自分でなんとかしますので」
「馬鹿にすんじゃねえ。俺は一度引き受けた仕事を放り出したりしねえ。それに実際に動くのは俺じゃねえしな」
グラッツが喋り終わるのと同時に扉がコンコンとノックされた。
「入れ」
「お待たせしました」
扉が開くと先ほどの綺麗な茶髪のお姉さんが革鎧を身につけた状態で部屋に入ってきた。
「リンネといいます。今日は私がレベル上げに付き合いますね」
リンネと名乗る茶髪巨乳受付嬢は、革鎧を身に纏い、大きな大剣を背中に背負っている。
まさか、受付嬢が戦闘するのか?
「安心しな。うちのギルドの奴はそこらへんの冒険者より遙かに強い。特別だぜ? 国からの依頼じゃなかったら、滅多なことでは出張ったりしないんだからな」
不安な表情を顔に出してしまっていたようで、グラッツが説明してくれた。
「そうですか。わざわざ私のためにありがとうございます。私はダイスケといいます。リンネさんよろしくお願いします」
「はい。よろしくお願いします」
リンネさんの笑顔が眩しい。
精力たっぷりの若々しい身体がびんびんに反応している。
リンネさんと一緒に部屋を出て人の多い所を通ると、辺りがざわつきだした。
「おい、リンネさんが出るみたいだぞ」
「何かやばいことでも起きたのか?」
「それよりも、後ろを歩いてるおっさんは誰だ?」
「知らないけど、リンネさんと一緒に行動するくらいだから高ランクの奴じゃないか」
何だかいらぬ注目を集めている。
レベル1なんだけどな。
それと、見た目はおっさんだけどお肌はピチピチだからな。
◇
町の外に出て見通しのいい平原につれて行かれた。
「ダイスケさんは戦闘経験がまったくないようなので、まずはレベルをあげましょう。私が魔物を弱らせるのでお渡しした剣でトドメをさしてください」
「わかりました」
リンネさんに教えて貰った話では魔物を倒すだけが経験値を手に入れる手段ではないらしい。
魔物を倒すのが最も効率はいいらしいけど、訓練などでも経験値は手に入るようだ。
なので普通に生活していても成人――15歳――する頃にはLv5位には達しているとのことだ。
40歳ともなればLvが10近くになっているのが普通で冒険者ともなればLv30位になっているのが普通らしい。
要するに40歳でLv1の俺は人類の中でも最弱に属するということだ。
そして、Lv1だと普通は魔物を相手にするのは難しく死んでしまうのがおちらしい。
「ピギー」
角の生えたウサギが俺とリンネさんの方へと突っ込んできた。
「せいっ」
リンネさんは角を素手で掴んでウサギの突進を真正面から受け止める。
そのままウサギを地面に叩きつけた。
ウサギはぴくぴくと痙攣している。
「ダイスケさん、いまです」
リンネさんの指示を受けて、借りた剣をウサギに突き立てた。
何だか嫌な感触だな。
さくりと剣がウサギに食い込み、ウサギは血を流し、しばらくすると動かなくなった。
ウサギが絶命すると同時にステータス画面が光り、レベルが上がったことを教えてくれる。
「あっ、レベルがあがりました」
「最初はすぐにレベルがあがりますよ。今日中にレベル5を目指しましょう」
その日はリンネさんに手伝って貰い、レベルを5まであげた。
翌日。
「スキルは取得してきましたか?」
今日は俺一人で魔物と戦う。
それで問題なければ、晴れて独り立ちということになる。
昨日の夜、4Pのスキルポイントを得た俺は風魔法を習得することにした。
風魔法を選んだ理由は、空を飛べるようになるからだ。
正確にはLv7まで取らないといけないからまだ空を飛べるわけではない。
でも、空はやっぱり飛んでみたいだろ。
高所恐怖症ではないしな。
魅了はまだ取得していない。
魅了を取得するのは、転移という魔法を使えるようになってからだ。
いざとなったら即逃げる。
それができる転移を使えるレベルになってから魅了を使ってみようと思う。
慎重にいかないとな。
「風魔法を覚えてきました」
「なるほど、いいですね。空を飛べるようになるのはすごい羨ましいです。それじゃあ、試し撃ちをしてみましょう」
リンネさんの指示する方向へ向かって、俺は初めて魔法を使ってみた。
「ウインドカッター」
魔法名を唱えると、俺の正面に目に見える形で風の刃が現れた。
俺の身長の2倍ほどの高さで、厚さが俺の肩幅くらいある。
空に向かって勢いよく発射された風の刃は、すごい勢いで見えなくなるところまで飛んでいった。
おおっ。これが魔法か。
初めて使った魔法に感動していると、リンネさんが拍手をくれた。
「すごいです。でもウインドカッターを使って欲しかったんですけど……。エアーエッジでしたよね今のは?」
「いえ、今のはウインドカッターですよ? エアーエッジは風魔法Lv5が必要ですから、まだ使えませんよ」
「え?」
「え?」
確かにウインドカッターを使ったはずなんだけど、どうやら、リンネさんには今のがエアーエッジに見えたようだ。
なんでだ?
……わからないけど今は適当にごまかしておこう。
「あっ、すいません。確かに今のはエアーエッジでした。間違って使っちゃったみたいです」
「……ははは、そうですよね」
「ピギー」
微妙な空気になっている俺たちの元へ、角の生えたウサギが突っ込んできた。
「来ましたよ」
「はいわかってます。ウインドカッター」
巨大な風の刃が出現し、角の生えたウサギをえぐるように切り裂いた。
風の刃がでかすぎて、ウサギは殆ど跡形がなくなっている。
「ダイスケさん?」
「はは、どうしたんでしょうね。おかしいな」
ジトッとした目でこちらを見るリンネさんの視線に耐えながら、その日はなんとか狩りを終え、無事に独り立ちすることになった。
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