未希のツイノベ置き場

8.140字SS②

6.
　僕はわがままなんだ。
いつでも彼の瞳には僕が映っていて、僕のことを考えていて欲しい。
そのためなら、僕を憎んでいても良い。
病気の妹を入院させるために、彼は僕の従者になったんだ。
騎士になる夢を諦めさせたのは僕だ。
強い目で僕を見る彼。これで良い。

…でも、たまには僕を甘やかしてよ

　【補足】
　僕は、本当は彼には騎士になれるようにしたかったけど難しかった。貿易を手広く行う父親が優秀な彼を手に入れたくて金にモノを言わせて無理やり引き込みました。みたいな後付け設定。
彼は、僕のことを憎んでいるのは最初だけ。本当の僕の姿を見て惹かれつつあります。


7.
　友「お前、あいつに騙されてるんだよ！早く目を覚ませ！」
受け「そんなのどうでもいいよ。俺があいつを好きなんだから。あいつの隣にいられるならそれが全てだ」
友「……馬鹿だな。お前、馬鹿だよ」
受け「心配してくれてありがとう。でも、今俺は幸せなんだ。例え周りから見るとそうでなくてもね」

　【補足】
　攻めは受けを利用するために近づいた。受けはそれを知りながら受け入れる。攻めの悪事が世間にバレて周りに受け以外誰もいなくなった時、攻めは受けの愛に気付く。その後は2人で支え合って生きていくんだ（多分）。
友は受けをずっと支えてあげるけど、攻めとは別れろって思ってる。

8.
攻め「君にやきもちを焼かせたかっただけなんだ。ごめんなさい。俺の事、嫌いにならないで。君を好きなんだ」
受け「好きだよ。泣いて土下座するあなたを可愛いって思えちゃうくらいにね。だから、僕の気持ちを試そうとしないで。攻めの気持ちが僕から離れたと思うだけで、息が止まりそうなんだ」

　【補足】
　高校生カップル。受けは、攻めが他の人を好きになったのかと思って攻めのために潔く身を引こうとしていました。攻めばかり好き好き言っているカップルですが、受けはドデカ感情で攻めの事が好き。


9.
　朝起きたら俺の頭に猫耳が生えていた。
　嘘だと思うだろう？俺もそう思う。だが残念ながら本当だ。
　猫の耳は遠くまで音を拾う。衝撃の事実を知ってしまった。幼馴染のイケメンが俺を好きで、俺に不用意に近づくなとクラスメイトに威嚇しまくっていることを。俺はどうしたら良い？
　…とりあえず告ってくるか

　【補足】
　高校生幼馴染カップル。両思いになったあと、更に受けに尻尾が生えて、感情が攻めにダダ漏れになります。周囲は勝手にやってろと思ってます。


10.
　俺は周囲の期待に流されて進学、就職した。周囲から羨望の眼差しで見られるが、ずっと息苦しかった。
　ある日、あまり面識の無い従兄弟が就職を相談したいと言ってきた。彼の瞳は輝き、希望で満ち溢れていた。光り輝く彼に俺は恋焦がれたが、決して手に入らない。
　俺は今日も暗い夜の街へ足を向ける。

　【補足】
「海底の一粒の砂」というテーマで作りました。
　流されて→波の動きで流される様（さま）
　息苦しい→水の中だから
　従兄弟→太陽
　従兄弟は手に入らない→海の底に光は届かない
みたいな解釈。
　実は従兄弟にとって受けは憧れのお兄さん。受けが寂しさを紛らわすように抱かれているのを知った攻めが無理やり連れ戻します。大学生☓社会人