虚無の統括者 〜両親を殺された俺は復讐の為、最強の配下と組織の主になる〜

サメ狐

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五種族会談編 一章 虚の王

月光香本部

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『———それで、片付けてくれたのね?ありがとう』

『まあ、たまたまだ。あのまま静観していたら少し危なかったからな』

『ふふ、やはりお人好しね。あと明日の夜は本部で”大事な会議”があるからちゃんと顔を出してね。ついでに紹介する人もいるから』

『———起きたらいくよ』

『無理。強制よ。それじゃ ————ブツ‥‥‥』


‥‥‥どうやらこれは行った方がいいようだ。そろそろ俺も組織に顔を出す時が来たのかもしれない

今まで、というかここ半年ほどは宿で魔物狩りをしていたからな組織の仕事をサボって‥‥‥いやファシーノに任せっきりだったっ

まあ仕方ないんだよ

だって皆優秀で俺の仕事が何も無いから。ただ組織をぶらぶらしていたら俺のことを知らない配下が見たら(なんだこいつ)ってなるじゃん
居心地悪いじゃん?

それも俺が望んだんだけど‥‥‥でも、やっぱり何かしらしたかったから冒険者ギルドに登録して毎日刺激を求めていたんだよ

それも焼きが回った‥‥‥

「はあ、帰るか‥‥もう暗くなったし軍も撤退しただろう。隠れているのは寒くてしょうがない」

俺は茂みから身体を出し、魔法陣を展開する。いつもお馴染みの転移魔法で宿の自室に転移する

———森の一角が輝くと瞬く間に消え、そこに人影は存在しなかった


◊◊◊


———朝、昨夜の魔獣の大群が国中で噂になっていた。何時間も戦い抜いた軍や冒険者が称えられ、そこら中でお祭り騒ぎ。朝の新聞の記事にはお祭りの目玉、英雄の誕生と記されている。

国中の至る所に張り紙が貼られ、忘れる事のできない顔が記載されていた

”あの魔獣を一刀両断した奇跡の一太刀を持つ英雄ヴィオラ”と記されている

その強さもさる事ながら男を誘惑するスタイルも兼ね備える女性、と張り紙には色っぽいヴィオラさんが映し出されている。魔法具のカメラと言う物で撮られているがこれは盗撮にならないのだろうか?

まあそんなことで朝から俺が泊まっている宿も宴状態だ。ヴィオラさんは今頃どこで何をしているのか知るよしもない。きっと複雑な心境だろう

「朝から騒がしいし、夜は本部に行かなきゃだし、いっそ夜まで寝ているか」

国中お祭り騒ぎの中、俺は一人ベッドの中で眠ることにした。夜まで八時間はある、睡眠には最高だな‥‥‥‥ZZZ




「———はあ‥‥‥よく寝たってこれ前にも同じセリフを言った気が‥‥まあいい——行くか、本部へ」

外はすっかり夜になり屋台の匂いやグルメの匂いが国中に漂う。重い身体を起こし寝起きの顔を水で洗い衣服に着替えて宿を後にする

行き先はあそこだ‥‥‥えっと俺が2年と半年前に山を二つにしてしまったところ。海側の山で境目になっている頂上に本部が設置してある

一応は人々に認識されないよう魔法で認識阻害を施してあるから安心

けど何気に遠いのが難点だ。まあ俺は転移があるから関係ないのでそこは省こう


◊◊◊


———と言うことで本部に転移した

そして目の前に君臨する本部について説明しよう!

この本部は地下5階、地上5階の建物である。軍の本部を少し真似た斬新なデザインを取り入れた。カーテンウォールは現代の主流でとても人気がある。組織の基地にしてはあまりにも豪華すぎる気がするが、いいだろう。

地下は開発課に研究課、そして広大な模擬訓練場まである。模擬訓練場は外にもあり、どちらを使用しても良く気分次第で変わるらしい

また地上一階はとても大きい扉にロビー、中なのに噴水があるし水の川‥‥‥水流?が足元に枝分かれのように流れている。これはエルフ大国を真似た造りを取り入れたもので、とても幻想的だ

2階からは主にデスクワークで1日の報告や資料をまとめている。3階は大食堂がありそこで毎日食事をしている。4階から5階は幹部や主力の寝室や自室があり屋上は大浴場が設けられている。もちろん露天風呂付きだっ

山頂の最上階から眺める景色は圧巻である。女性から頗る人気があり、朝風呂する者が殆どだ。疲れを癒やすバブにサウナ、岩盤浴まであり天国と称されている

———ん?配下はどこに住んでいるのか?
この本部は上から見ると六角形型に建てられ、中心に地上一階から最上階まで吹き抜けの設計をしている。そしてその隣に全く同じデザインの建物があり、そこが寮になっている。本部よりも少し小さめだがそれでもあり得ん程大きい

と言うか本部ではなくこれはもう超高級ホテルと改名した方が良いのではないかと思っている———

説明はこの辺で良いだろう、早速本部の中にお邪魔しようかっ!

一応マスクを着用して、どでかい扉の前に行くと両脇に門番らしき男が立ち鋭く睨んできた‥‥‥

そして俺は察する。絶対に面倒くさい事が起きると‥‥‥


「———おい少年!期様見ない顔だな。どうやってここに来た?ここが何処だか知ってのことか?」

‥‥‥で、ですよね~そりゃあそうなります。俺の存在は限られている人にしか知られてないし、これは自業自得だな‥‥‥

「よ、呼ばれたのできたんだが‥‥」

「———っな!?このガキ斬り伏せてくれるっ」

おいおい、いきなり剣に手を伸ばすんじゃない!ていうかなんて筋肉しているんだよ!誰だよこんな厳つい奴を門番にしたのは?!

はあ~こんな事が毎回続くならもういっそ正体明かしたくなるな‥‥‥


「———ねえ、侵入者らしいわよ」

「え、ええ!どうやってここに?!外は認識疎外の魔法で見える筈ないのに。しかも少年じゃない?!」

「おいおい、門番と少年がやりあうみてーだぞ。ついでに誰か死体を運んでやってくれっ!」

「おい、それよりも問題なのがどうやって侵入したかだろう?奴らの手先なら生かして返す訳に行くまい。拷問の準備に取り掛かろう———」

「なんだ?」「どうした?」「あれ見てよ」


おいおいおいおい、どんどんギャラリーが増えていっているじゃないか?!
拷問とか生かして返さないとか危険な言葉が飛び回っているな!

て言うかどんだけこのロビー?エントランス?広いんだよ! 

今ここに100人以上はいるだろう!?全員して俺のこと侵入者としか見てないよ。門番くんやってくれたな!

内心苛立っていると俺はある事に気づいて、門番の耳に目が釘付けになった

よーく見るとそれはピアスのようだが‥‥‥なんだそのピアスは?番号が書いてあるな‥‥ん~~555?

どう言うことだ?それによく見るとギャラリーにも同じピアスがあるな。ここからでは数字が見えないが‥‥

俺の予想が正しければこれは位のような物だろうな。そういえばヴァルネラが位を設け、やる気を出させるだかで三か月に一度組織全体で大会だか開くって言ってたな。そんであの数字はそん時の順位だろう。そもそも俺は組織の人数を把握していないので555がどれほど凄いかは分からない‥‥


「期様、そのまま動くなよ? 動いたら即刻斬るっ———おい!誰かこいつを縛れ!」


なんだかとんでもなく面倒くさくなってきたので大人しく縛られる事にした
結構きつめで少々痛いが配下がしっかり働いていると思うと嬉しい限りだ

状況が状況だけにしっくりこないが

「おい!555、556もう会議の時間が迫っている!そいつも一緒に連れて行け!」

「ちっ 仕方ねーな。あとの事はあの方々にお任せしよう‥‥ガキ、楽に死ねると思うなよ?今のうちに神にでも懺悔してなっ!」

「ああ、たっぷりと情報を吐いて痛ぶってから殺してやるっ!」

———うん、良い心がけだ。侵入者に対しての威圧は申し分ないな。こう言うのもなんだが侵入者の俺も会議に出席しても良いのか? 
もしかして皆の前で拷問されてあんなことやこんな事をされるんじゃないだろうか‥‥

と言うかギャラリーも急いで向かってるし、もしかして全員参加?え?

会議って主要メンバーだけじゃなかったの? 今年から変わったのか?

誰か説明を求む‥‥‥
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