虚無の統括者 〜両親を殺された俺は復讐の為、最強の配下と組織の主になる〜

二章 会談と予兆

予兆

———私はこの一室の隅にずっと立っていた。この会談が終わるのを待ちながら隅でひたすら見守っていた

話を聞いていれば、王達は協力し合う道を選んだ様子。書面にサインを綴り終えると全員のサインが書かれた書面をこちらに提示してきた。そして魔王ルシフェルの口から発せられる調停者《アルビト》という名

世界を正しく裁き、審判を下す3人

その3人の一人である私“デリカート・ドゥエが書面を受け取った

なぜ私が全階級制定協会のトップ3人で調停者《アルビト》と呼ばれているのか？

簡単です、私が成りすましているから。私が成りすましている本物はどこかでぐっすり寝ているはずです

これはネロ様の命で潜入しています

『———この五種族会談において必ず俺らの勢力が上がるはずだ。そこで各国の王達はどのように対処するのか情報を探れ』と言われたので、まず目に付けたのが調停者と言われる存在達‥‥‥

彼らは中立の立場に位置し、常に世界の均衡を正している。国同士の戦争や紛争には介入せず、行く末を監視する立場であるが戦争に関係の無い他国に被害が及んだ際や厄災が降り注いだ際などにその力を行使する

彼ら調停者《アルビト》は、各国の王達が選出した裏の番人であり、SSSランクとSSランクの狭間の存在でもある。故にその力は各国の最終兵器であるSSSランクにさえ届くと言われ、行き過ぎた情勢を正す番人

そんな彼らの一人がこのデリカート・ドゥエに隙を見せ、眠りに落ちている事など誰も知らない‥‥‥

私はこの調停者の一人を眠りにつかせた事は暗殺できたことに等しく、私はもうその次元まできている。ネロ様に近づいている何よりの証拠


そして受け取った書面をもう一人の調停者に渡し、私は一歩後ろに下がる‥‥‥


「「「———っ？！」」」


その突如、大地が左右に大きく揺さぶられ巨大な地震が起こった

「な、なんだ！この揺れは！？」

「くっ！王達をお守りしろ！！」

「おい！揺れが大きくなっていくぞ！　とにかく避難しろ！」


揺れが増していき左右に揺さぶられ立つことがやっとの状態
その中でも懸命に自国の王を守る護衛達は王を囲い速やかに避難を開始する

現在いる場所は魔王城の一室。幸いにもここは最上階であったため全員が屋上へと避難する。屋上へと避難した王達と護衛達は一箇所に集まり、魔法を唱え周りを防御魔法で固め始めた。防御魔法の内側では王達が各々不安の声を上げ出す

「一体何が起ころうとしているの！？」

「わかりません。突如として地震が生じるなど私の予知が反応しないなんてっ」

「この魔王城は頑丈だ。地が割れようとも崩れない建物だが、この揺れは自然のもではないな。何かがおかしい」

「ええ、精霊達ですら感知できない地震‥‥大地が悲鳴を上げています」

「———ん？‥‥なんだあれは？！」

そして最後に声を出した獣王ストレニアの視線が捉える物

それは湖の方向に向けられ、魔族領の広大な森からその姿を現した

その存在は王達を驚愕させ、護衛である選ばれし者セレツィオナートにSSランク等を震撼させる。そしてこの場に居合す全員が、その存在を認識し一同にある言葉を揃えて心の底から絞り出す

それは書物や英雄譚に記される伝説の魔獣の姿



「「「———厄災の魔獣———」」」