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伝えたいこと

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 屋敷の設備を確認しに行ったみんなを見送り地下室に一人残る。

「えっと……お待たせしました」
「……すまんの……」
「自分にだけ話しかけてきたって事はなにかあるのですか?」
「畏まらんでいい、わしはすでに死んでおる」
「やはり先代の大魔王でロエの祖父……であってますか?」
「そうだ、ロエの祖父……ギジルとでも呼んでくれ」
「自分はトシといいます」

 コアを上書きした時に聞こえた声、コアから語り掛けられる……でもみんなには聞こえてなかった。

「トシと言ったな、孫を頼む」
「ロエの事は大切にします」
「ロエもそうだが……リーベルを助けてやってくれ」
「リーベルを?」
「隔世遺伝と言うのは知っておるか?」
「……何世代も前の先祖の特徴が現れるんでしたっけ?」
「リーベルはわしの孫で間違いないのだ……だがリーベルに現れた魔王印は……一族の印とは似ても似つかない物、過去の文献にもない……それを形が似ていると無理矢理に!」
「……」

 ロエとリーベル、本当は両親が同じ?父親が先代の息子だったはずだから……魔押印のせいで違うって事になってしまっているってことか?

「わしはこのコアに意識を移す事に成功したが、それも長くない」
「……」
「あれからどれほど時間が経過したのかはわからないが、ロエの姿を見るに数年は経過しているのであろう?いつまでも男と偽るのも難しいはずだ」
「城で守られているのではないのですか?」
「女とバレたら……道具として扱われる」
「……魔王印と関係が?」
「……そうじゃ……わしはリーベルに魔王印が現れてから死ぬまでの間……手を尽くして調べたが時間が足りなかった……」
「……」
「それでも……少し判明したこともある……リーベルは女神ソレの生まれ変わりかもしれん!」

 え?違いますよ?ソレ婆ちゃん死んでませんし……

「リーベルの中に魔力とは別の力をわずかに感じた……あれは魔族にはあり得ない力だ!」
「自分にできるかわかりませんが……変な男から守ればいいんですか?」
「どうした急に?態度が変わったな」

 緊張感が一気に抜けてしまった。

「えー……言おうか迷ったんですが女神ソレは生きてます」
「……なんじゃと!?」
「数か月前に会っているので間違いないです」
「……あとは……任せた……」
「まて!まだ消えんな!」
「……」

 やはり確信できない事にキメ顔は危ない、残留思念が消えてなくなりそうだ。

「リーベルが納得した相手ならなにもしなくていいんですよね?」
「……いやじゃ……本当はロエも誰にも渡したくない」
「……爺さん……ならどうしろと?!」
「わしの声が届いたのはお主しかおらん……嫌じゃが……お主なら……ギリギリ……任せられる」

 怨念か?孫を思うがあまりコアに取りついた怨念なのか!?

「わしは息子が3人おった……だが本当は娘が欲しかった……」

 昔語りが始まった……長い……長すぎる……消えるギリギリを保ってたんじゃないのか?早くしないとみんな来てしまう。

「ちゃんと聞いておるのか?」
「孫が可愛いって事は伝わったぞ、後は任せろ!」
「……ああ……任せたぞ」


 言いたい事を言いまくり、先代大魔王ジギルの残留思念は消えて逝った……
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