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こっちのほうが良くないか?

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 休憩を挟みダンジョンへ向かっていく。天気もいいし……はぁーダンジョンか……

「トシ様!トシ様!ストップ!ストップです!」
「ロエ?どした?」
「あそこです!あの先が依頼の!」
「依頼?……木の根っこか!」
「ねぇトシ様?忘れてた?テコは覚えてたよー?」

 あれ?テコは仲間だと思っていたのに……

「方向感覚がおかしいのと物忘れは一緒ではないですよー?」
「心を読むなよ……」
「トシ様は顔に出やすいですねー」
「男の無表情キャラがモテるのは本の中だけだ!」

 前に表情がほどんど変わらない知り合いがいたがモテたと聞いたことはない!

「一概には言えませんよ?」
「無表情キャラの男がモテるのか?リアルで?たかし君はモテた記憶ないぞ?」
「たかし君?魔族領の男性人気投票3年連続1位の方は全然表情変わらない方ですねー」
「……え?人気投票?そんなことしてんのか?」
「サリア、リュノー、エマルどこでもやってませんか?」
「……まじでか?」

 人気投票だと……

「無表情の殿方が見せる少しの感情……ギャップに女性陣は骨抜きにされていましたね」
「……ふーん」
「あれ?トシ様?」
「ん?」
「……無表情の練習ですか?トシ様は普段通りの方が魅力的ですよ?」
「無表情とか無理だ、ニヤニヤしちゃうな」
「トシ様はそのままがいいです!」
「二人共……」
「あ!これです!この木の根っこです!」

 一瞬で無表情キャラは崩壊してしまった……二人を降ろし木を引っこ抜き収納する。

「あの……根っこですよ?」
「根っこ少し渡して超部屋に植えればいつでも薬の材料取れるかなーって」
「「……」」

 ダンジョンに向かうために再度二人を……なんだなんだ?

「テコ……ねぇ!テコってば!」
「……」
「無視しないで!変わって!ロエも前がいい!お姫様抱っこがいいの!」
「一人称が素になってるよ?」
「……私も前がいいの!」
「遅いよ……ロエは帰りでしょ?」
「だな、最初に決めたんだからロエは帰りに前だな」
「……はい……」

 ルナか誰かに慣れるまでは後ろの方がいいとでも言われたのかな?すでにスピードに慣れた二人は場所の取り合いを始めたが最初に決めたんだし行きはテコが前だな。

「魔の森が見えてきたので左に曲がってくださーい!」
「道ないぞー?」
「はいー!あっちに木がいっぱいある所のはずですー!」
「ほーい」

 ロエは常に叫んでいる。叫ばないと風圧で声が届かない……今更だけど念話でよかったな。

「到着!」
「本当に2時間かからずに……」
「休憩しなかったら1時間よ……」
「中で休憩できるかわからないし軽く食ってからダンジョンだな」
「「はーい」」

 テコは当然だがロエも慣れた手つきで食事の準備を進めていく。さくっと食事が終わり……

「このままここで寝たいなー」
「いい天気だねー」
「二人とも!寝ちゃダメです!」
「「えー」」
「えーではないです!」
「口調がピンみたいだな……です!って」
「呼んだです?」
「呼んでないけどいい天気だから一緒に日向ぼっこするかー」
「するですー!」
「だからダメです!」
「ですですー」
「テコ!」


 テコがからかうとロエはみるみる赤く……
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