掌中の珠のように

花影

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虜囚1

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凌辱のシーンはありませんが、それを窺わせる記述があります。苦手な方はご遠慮ください。


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「貴女も案外強情ですな」
 佐々本は固いベッドに裸身で縛り付けられている沙織を感情の無い目で見下ろす。
 高校生の子供がいるようには見えない沙織の美しい体は、まだまだ男の性欲を十分刺激するらしく、先程までガラムが執拗に甚振いたぶっていた。どうやら彼は元上司の妻である彼女に劣情を抱いているようだ。
 彼は国元に残ったままとなっていた彼女の戸籍を勝手に改ざんし、沙織を自分の妻としていた。娘の沙耶も養女とし、クーデターでサイラムの実権を握ったガジュ将軍の後継候補のいずれかに嫁がせる算段だった。自分で後継を狙う程国元での地位は高くない。日本で沙織が生き延びているという情報を知った彼が、己の明るい未来の為に企てた計略だった。
「……」
 広げて固定された股の間からは、彼女自身の蜜と男の精液が混ざってタラタラと流れ落ち、体のあちこちには昼夜なく続けられる拷問の跡が痣となって残っている。
 沙織には媚薬以外にも自白剤を始めとした複数の薬が用いられていた。この一週間の間にガラムだけでなく、複数の男達に蹂躙され続けた彼女の顔には濃く疲労の色がにじみ出ている。それでも薬によって己の理性と切り離されてしまった体は、更なる快感を求めるように秘所をヒクつかせて蜜をこぼしている。
「そろそろ教えていただけませんか? かの国の王宮にあるという王家の秘宝の在り処を……」
「……何の…事?」
 佐々本の質問に沙織は掠れる声で聞き返す。
「サイラム王家に伝わる宝の在り処ですよ」
「…知らない…わ……」
 これも幾度となく繰り返されてきた問答だった。佐々本は内心のいら立ちを隠しきれずに強く唇をかむ。金とコネを駆使し、強引に沙織を拉致して1週間経っている。それにも拘わらず、子供に逃げられた上に必要な情報を得る事も出来ない。
 当初の予定であれば、貨物船に偽装したこの船で既に日本を脱出していたはずだった。だが、その予定が狂い、彼は内心焦りを感じ始めていた。
「もっと強い薬はありませんか?」
 派手な色遣いのガウンを身にまとい、部屋の隅で一休みしていたガラムが口をはさむ。
「これ以上薬を強くしますと、発狂、もしくはショック死する可能性があります」
 佐々本は抑揚のない声で冷静に答える。
「構わん」
 焦っているのはガラムも同様であった。危険を冒して日本まできたにもかかわらず、成果が出なければ他の幹部を出し抜くどころか自分の命が危うい。
「……かしこまりました。研究途上でよろしければ、別の薬を用意いたします」
「使える物は何でも使え」
 短くガラムが命じると、佐々本は頭を下げて新薬の準備を部下に命じた。
 入れ違いに別の部下が彼の元へ報告にやってくる。
「子供の居場所がわかりました」
「どこだ?」
「それが……大倉様の別荘に運ばれた様です」
「何だと? 間違いないのか?」
 部下からの報告に佐々本は不機嫌そうに眉を顰める。
 20代で由緒ある名家の当主となり、グループ企業を引き継いで社長に就任。しかも名ばかりの経営者ではなく、傾きかけた会社を立て直した実績まで持っている義総の事を彼は嫌いであった。
 恵まれた容姿の所為か他人を引き付ける才能が有り、財界の集まりでは男女を問わず彼の周りには人が集まってくる。新参者でコネの少ない佐々本は何時もそれを苦々しく見ていた。
 彼は自分に無いものを全て持っている……要は単なるやっかみなのだが、それを認めるのも癪に障る。
「はい。身元不明の少女を保護していると警察に連絡がありました。記憶が混濁しているとの情報もありますが、確認したところ、あの子供に間違いありません」
「厄介だな」
 佐々本は顔を顰める。話を聞いていたガラムは不思議そうに横から口を挟んでくる。
「そんなに厄介な相手か?」
「ご存知ありませんか?」
「知らんな」
「表向きには現在、一企業の役員にすぎませんが、各国の首脳と親交があり、特に米国の上層部に強い繋がりを持っていると噂されています。日本だけでなく、欧米の財界でも一目置かれる存在です」
「なるほど」
 本当に分かったのか不明だが、彼はその説明で納得した様である。
「だが、民間人である事には変わりあるまい?」
「御意」
「金で味方につける事は可能か?」
「正直、難しいかと……。逆に我々の動きを諸外国に流される可能性があります」
 義総の事が嫌いな佐々本は、内心の苛立ちを抑えて丁寧に答える。
「分かった。子供を取り返すのを優先しろ。子供を盾に取ればあの女も口を割るだろう」
 ガラムの意見に佐々本も賛同する。
「わかりました。薬の使用は如何いたしますか?」
「並行して行え。但し、まだ死なせるな」
「かしこまりました」
「子供の奪還方法は任せる」
 面倒な事を全て佐々本に丸投げすると、休むのか部屋から出て行ってしまう。
「お任せください」
 佐々本は内心舌打ちをしながらガラムを見送ると、部屋の隅に控えていた体格のいい裸の男達を呼び寄せる。
「もう少し可愛がってやれ」
 そう命令すると、佐々本も対策を練る為にその部屋を後にする。男達は上司に頭を下げると、沙織を蹂躙するために彼女に近づいていく。
「…ジ……ン……」
 小さく夫の名を呟き、彼女は涙を一筋こぼした。


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書いていて自分でも苦しいシーンです。
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