掌中の珠のように

花影

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愛玩6

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「ベッドへ行こう」
 初めて知った絶頂でまだぐったりしている沙耶の額に義総は口づけると、彼女をそっと抱き上げてキングサイズのベッドに連れて行く。
 彼女の体を優しく横たえると、彼も彼女の蜜で濡れてしまったバスローブを脱いで裸になった。
「あ……」
 鍛え上げられた体だけでなく、股間でそそり立っているものが目に入り、沙耶は少し怯えたように後ずさりする。だが、すぐに義総が彼女を捕まえて上に伸し掛かり、唇を重ねる。
「ん……」
 体が密着し、沙耶の腰の辺りにあたっている熱くて硬くなったものが生々しく感じる。その存在を意識しないように体の位置をずらそうとするが、義総は更に体を密着させて自分の屹立を彼女の体に擦りつけてくる。
 沙耶は自分の体に押し付けられるたびに、義総の欲望が熱と質量を増していくのを感じ取るが、ただ彼の体の下で脅えている事しかできない。
「入れるぞ」
 次第に我慢できなくなってきたのか、義総は体を起こすと沙耶の膝を割り、自分の屹立を彼女の秘所にあてがう。
「あ……」
 沙耶は怖くなって腰を引こうとするが、義総がそれを許すはずもなく、彼女の体を引き寄せて抑え込んだ。
「覚悟はできているのだろう?」
 欲情した目で見つめられて沙耶が怯んだ隙に、義総は己自信を溢れ出ている蜜で馴染ませると彼女の中に押し込んだ。
「んんっ!」
 義総の長大なものがズブリと音を立てて沙耶の中へと入っていく。あまりの痛みに彼女は彼の体を押し退けようとする。
「い…やぁ……」
「暴れるな。体の力を抜け」
 命じられてもどうしていいか分からずに沙耶は首を振り続ける。義総はなおも自分を押し退けようとする彼女の手を捕まえて押さえつけると、再び奥へと腰を進める。
 沙耶は痛みと恐怖で涙を流し、譫言うわごとのように「痛い……痛い……」と繰り返す。それでも義総は躊躇せずに己自身で沙耶の体を一番奥まで貫いた。
「う…ぁぁ……」
 もはや悲鳴が言葉にならない。
 滾る義総の欲望はあまりにも大きすぎ、初めて男を受け入れる沙耶の秘所は代わりに悲鳴を上げるように処女の血を流した。
「狭いな……」
 繋がったままの状態で義総はしばらく沙耶の乳房に顔を埋めていたが、やがてゆっくりと腰を動かし始める。彼女の顔が苦痛に歪むと、彼はそれを紛らわせようと彼女の胸の突起を弄り始める。
「ひぃっ……ひっ、あっ!」
 耐え切れずに上がる声に触発されたのか、だんだんと腰の動きが速くなってくる。グチュグチュと厭らしい水音を立てる度に、繋がっている部分から沙耶の蜜と破瓜の血が混ざりあったものが流れ出している。
「いやぁ……」
 縋るものを求めて宙を彷徨っていた沙耶の手が、汗ばんだ義総の肩を掴む。気付けば痛みを紛らわせようと、爪が食い込むほど強く握っていた。
「ああ、沙耶……」
 義総は乳房から手を離し、彼女の足を抱え込んで更に奥まで激しく突き始める。
「あぁうっ!」
「ああ…いいぞ……」
 何がいいのか沙耶には分からない。だが、義総が腰を動かす度に痛みとは別の何かが体の奥の方で燻り始めている。彼に突かれれば突かれる程、その燻りは段々と強くなり、彼女は耐え切れなくなって声を上げる。
「あっ、あっ、あっ…あぁっ!」
 思考が停止して頭の中が真っ白になった。
 一際大きく突かれて沙耶の体が大きく仰け反ると同時に義総は低く呻いて彼女の中に精を放った。
「はぁ……はぁ……」
 初めての体験に沙耶は体が震えた。
 義総が彼女を抱きしめ、口づけてから入ったままになっていた己自身をズルリと引き抜く。沙耶は何かを耳元で囁かれた気がしたが、中で放たれた義総の白濁が流れ出る感触が気持ち悪いと思いながら全身の力が抜けていき、そのまま意識が遠のいていった。



 翌朝、本宅から戻った綾乃は沙耶の様子を見に彼女の部屋へ行って驚いた。部屋に沙耶の姿は無く、ベッドも使った形跡がない。別荘中を探してみたがどこにもその姿は無く、アレクサンダーがリビングで長々と寝そべっているだけだった。
 そこへ車を片付けてきた青柳がやってきて、昨夜、沙耶にブランデーと氷を届けるのを頼んだ経緯を伝える。綾乃はもしやと思いながら義総の寝室に足を向け、軽くノックをして部屋に入った。
「!」
 一歩足を踏み入れた綾乃は思わず固まった。
 ローテーブルに半分以上空になったブランデーの瓶と飲みかけのグラスが放置されているのは何時もの事だが、床には義総のバスローブと沙耶の部屋着だったものの残骸が散乱し、ごみ箱には変色したタオルが投げ込んであった。何が起こったかは一目瞭然である。
 慌ててスクリーンの陰を覗き込めば、ベッドで義総が沙耶に腕枕をして眠っている。長く彼に仕えているが、他人がいると眠れない彼がこうして女性と熟睡している姿を見るのは始めてだった。
「…綾乃?」
 綾乃の気配に気づいて義総が目を覚ました。腕の中にいる少女を気遣ってそっと腕を抜き、だるそうに体を起こす。
「義総様…」
 どう聞いていいか分からずに綾乃は口籠る。
「しばらく籠る。食事は適当に持って来てくれ」
 義総は平然とそれだけ言うと、手を振って綾乃に下がるように命じる。彼女は何か言いたかったが、眠っている…正しくは失神している沙耶の額に軽く口づけし、優しく抱き寄せる義総の姿を見ているとその気も失せた。その場は仕方なく頭を下げて部屋を退出した。


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とばっちりは青柳君が受けました。
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