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彼女の片想い******
絶対、ムリ。6
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彼女でもない私の家に、気を使って挨拶に来てくれた坂本くんには申し訳なく思いながらも……なんだか疲れちゃった。
最初はベッドに 腰掛けただけだったけど、結局上半身だけ横たえた。
本当は相手が坂本くんじゃなくっても、来客中に褒められた行動じゃないけれど。あまりにも非現実的な状況がそれを許した。
右耳をベッドにつけて横になった私の、乱れて頬にかかった髪を、晒された左耳にかけてくれた。
ちょうど夢かもしれないと思っていたから、坂本くんの指先の感触や温もりに、現に引き戻された。
部屋に椅子は勉強用しかないからか、坂本くんはちょっと辺りを見渡して、クッションを選んで直にカーペットに座る。
ちょっと遠いのが不満だったけど、目線を合わせてくれるために椅子は選択しなかったのかもしれない。
意地悪な時もあるけど、坂本くんは、やっぱり優しい。
それこそが、不毛な恋なのに、坂本くんをずっと想い続けてしまう大きな理由の1つだった。
自分の部屋で、ベッドに横になって、坂本くんと視線を合わせて。少しだけ落ち着く。
数日前に交わした、電子的な画面の小さな文字では確証がもてなくて。怖かったけれど、聞きたかったことを改めて声にした。
『また、坂本くんの部屋に行ってもいい?今度から……部屋まで送ってくれる?』って。
見開かれた目に、私が映ってる。りこちゃんじゃなくて、私が。
「……また、僕と過ごしてくれるなら、なんでもする」
坂本くん。『なんでもする』なんて、言っちゃダメだよ。
願ってしまいそうになる。坂本くんが、悲しむ事を。
『りこちゃんを、早く諦めてくれますように』とか『私を見てくれますように』とか。
好きな人の不幸を願わなければ、私の想いは叶えられないのだ。
私の願いは、いつも届かない。
坂本くんの瞳が揺らいだ気がしたけど、すぐにそらされた。
だけど、発せられた声は、見間違いじゃない事を知らしめるように涙に震えていて。もう一度、ゆっくりこちらを見た彼は、やっぱり泣いていた。
遅くまで引き止めた事。怖い思いをさせた事。守ってあげられなかった事。
そんな風に挙げ連ねて、私に謝罪しようとする。違うのに。
遅くまで、一緒に居たかったのは、本当は私なの。怖かったけど、それでも、またたくさんの時間を過ごしたいの。助けてくれて、嬉しかったの。
彼女の身代わりだからなのか、単に、女だからなのか。体をつなげる、少しは情が移った友人だからなのか。心配の数だけ届けられた猫の防犯ベルを、馬鹿正直に至る所につけて。
傲慢にならないように、勘違いしないように、ただの体だけの関係だって、自分に言い聞かせながらも、プラスチックの猫たちを見ては嬉しくて安心した。そして、その猫が助けてくれたの。
坂本くんにしか触れられたくないって思ったから、諦めずに頑張れた。
坂本くんにもらった猫を、毎日眺めていたから、とっさに使えた。
坂本くんが、ちゃんと助けてくれたの。
少し空いた距離がもどかしい。左手を差し出したら、右手でしっかりと繋ぎ止めてくれた。
二人とも、泣いていた。
「触られるのも。傷つけられるのも……坂本くんが、いいの」
私の目から溢れた涙は、ベッドに染みを広げているだろう。坂本くんの瞳を濡らす涙は、頬を伝って数滴顎から落ちた。
なんだか綺麗で、今は純粋に私のためを思って流してくれている涙が落ちるのがもったいないとさえ思った。
ぼんやりと見惚れていると、掠れた声で、でも、はっきりと坂本くんがいつもの問いを口にした。
「……キスして、いい?」
私だって、キス、したい。……私を好きな人と。
だからこそ苦しい、その言葉がいつもいたたまれない。最近では、少しだけ紛れる行動で、溜飲を下げようと、坂本くんを引き寄せた。
坂本くんが、いつもよりも傷ついた顔をした。
そして、私をズタズタに傷つける言葉を口にした。
「美夜ちゃんが、僕を好きじゃなくても……僕は、美夜ちゃんが好きだよ」
本当に欲しい言葉が、嘘だって知っている時、人は1番傷つくんだって知った。
傷つけられるなら坂本くんがいいけど。そうは言ったけど。その言葉は、私のものでしょう?
坂本くんが、りこちゃんを好きでも。私は、坂本くんが、好きだよ。
そう思うなら、騙されたふりをしてればいい。でも、どんどん欲張りになってきた身体中が叫ぶの。
素知らぬフリで、横に並ぶなんて。絶対、ムリ。
だから、言ってやったの。
「……うそつき」
最初はベッドに 腰掛けただけだったけど、結局上半身だけ横たえた。
本当は相手が坂本くんじゃなくっても、来客中に褒められた行動じゃないけれど。あまりにも非現実的な状況がそれを許した。
右耳をベッドにつけて横になった私の、乱れて頬にかかった髪を、晒された左耳にかけてくれた。
ちょうど夢かもしれないと思っていたから、坂本くんの指先の感触や温もりに、現に引き戻された。
部屋に椅子は勉強用しかないからか、坂本くんはちょっと辺りを見渡して、クッションを選んで直にカーペットに座る。
ちょっと遠いのが不満だったけど、目線を合わせてくれるために椅子は選択しなかったのかもしれない。
意地悪な時もあるけど、坂本くんは、やっぱり優しい。
それこそが、不毛な恋なのに、坂本くんをずっと想い続けてしまう大きな理由の1つだった。
自分の部屋で、ベッドに横になって、坂本くんと視線を合わせて。少しだけ落ち着く。
数日前に交わした、電子的な画面の小さな文字では確証がもてなくて。怖かったけれど、聞きたかったことを改めて声にした。
『また、坂本くんの部屋に行ってもいい?今度から……部屋まで送ってくれる?』って。
見開かれた目に、私が映ってる。りこちゃんじゃなくて、私が。
「……また、僕と過ごしてくれるなら、なんでもする」
坂本くん。『なんでもする』なんて、言っちゃダメだよ。
願ってしまいそうになる。坂本くんが、悲しむ事を。
『りこちゃんを、早く諦めてくれますように』とか『私を見てくれますように』とか。
好きな人の不幸を願わなければ、私の想いは叶えられないのだ。
私の願いは、いつも届かない。
坂本くんの瞳が揺らいだ気がしたけど、すぐにそらされた。
だけど、発せられた声は、見間違いじゃない事を知らしめるように涙に震えていて。もう一度、ゆっくりこちらを見た彼は、やっぱり泣いていた。
遅くまで引き止めた事。怖い思いをさせた事。守ってあげられなかった事。
そんな風に挙げ連ねて、私に謝罪しようとする。違うのに。
遅くまで、一緒に居たかったのは、本当は私なの。怖かったけど、それでも、またたくさんの時間を過ごしたいの。助けてくれて、嬉しかったの。
彼女の身代わりだからなのか、単に、女だからなのか。体をつなげる、少しは情が移った友人だからなのか。心配の数だけ届けられた猫の防犯ベルを、馬鹿正直に至る所につけて。
傲慢にならないように、勘違いしないように、ただの体だけの関係だって、自分に言い聞かせながらも、プラスチックの猫たちを見ては嬉しくて安心した。そして、その猫が助けてくれたの。
坂本くんにしか触れられたくないって思ったから、諦めずに頑張れた。
坂本くんにもらった猫を、毎日眺めていたから、とっさに使えた。
坂本くんが、ちゃんと助けてくれたの。
少し空いた距離がもどかしい。左手を差し出したら、右手でしっかりと繋ぎ止めてくれた。
二人とも、泣いていた。
「触られるのも。傷つけられるのも……坂本くんが、いいの」
私の目から溢れた涙は、ベッドに染みを広げているだろう。坂本くんの瞳を濡らす涙は、頬を伝って数滴顎から落ちた。
なんだか綺麗で、今は純粋に私のためを思って流してくれている涙が落ちるのがもったいないとさえ思った。
ぼんやりと見惚れていると、掠れた声で、でも、はっきりと坂本くんがいつもの問いを口にした。
「……キスして、いい?」
私だって、キス、したい。……私を好きな人と。
だからこそ苦しい、その言葉がいつもいたたまれない。最近では、少しだけ紛れる行動で、溜飲を下げようと、坂本くんを引き寄せた。
坂本くんが、いつもよりも傷ついた顔をした。
そして、私をズタズタに傷つける言葉を口にした。
「美夜ちゃんが、僕を好きじゃなくても……僕は、美夜ちゃんが好きだよ」
本当に欲しい言葉が、嘘だって知っている時、人は1番傷つくんだって知った。
傷つけられるなら坂本くんがいいけど。そうは言ったけど。その言葉は、私のものでしょう?
坂本くんが、りこちゃんを好きでも。私は、坂本くんが、好きだよ。
そう思うなら、騙されたふりをしてればいい。でも、どんどん欲張りになってきた身体中が叫ぶの。
素知らぬフリで、横に並ぶなんて。絶対、ムリ。
だから、言ってやったの。
「……うそつき」
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