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彼の片想い**
キスしたい。4
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「坂本くんって、美夜ちゃんとどうなってるの?」
心なしか不機嫌な様子でりこちゃんからカウンターを食らう。
「……どうって?」
こちらから、先ほどの意味ありげなつぶやきの続きを促そうと、向かいに座ってすぐの問いだった。
「付き合ってるなら、なんでみんなに隠してるの!?」
「………付き合ってないよ」
『今は、まだ』と、心の中で付け足す。
「付き合ってないの?でも……」
また『でも』だ。
その続きが、少しでも希望となる言葉なんじゃないかって思うと動悸がしてくる。
「美夜ちゃんは……」
そうりこちゃんが言いかけた時、全然嬉しくない闖入者が会話に入ってきた。
「拓眞ー、りこちゃんといい雰囲気醸し出しやがってー!やっと長年の思いが実るじゃん!」
けっこう酔いが回っている友人が、なだれ込むように隣に座って肩を抱いてくる。
男にされても嬉しくない。
「……未だに坂本くんが私を好きだなんて勘違いしてるの、五十嵐くんだけだよ」
りこちゃんの機嫌が急降下したのにも気づかずヘラヘラしている。
「りこちゃーん!そんなつれないこと言わずに拓眞のこと考えてやってよ!長年の片思いなんだから」
それを聞いてい、りこちゃんが我慢ならないと言った感じで立ち上がった。
「もしそうだったとしても、余計なお世話」
普段はふんわりとした感じのりこちゃんが、どう見ても怒っているのに……横の男は笑顔を崩さない。
「トイレ行ってくる。坂本くん、五十嵐くんの誤解ちゃんと解かないと、後悔することになるからね」
どんな報復が待っているのかと思わせるような、顔に似合わない恐ろしいセリフを吐いてさっさと行ってしまう。
「有志、飲み過ぎ。あと、何回も言ってるけど、僕が好きなのは別の子だから」
「またまたー!高校の時からの想いじゃんか!諦めんなよ!」
『高校の時から』
そのキーワードに美夜ちゃんの好きな人の話がよぎって、こちらの機嫌も悪くなる。
「そもそも、それが誤解なんだって」
美夜ちゃんを好きになったのは、実は高校の頃。
男子校だったから高校は別だったけど、美夜ちゃんの学校の最寄り駅が、乗り換え駅だった。
美夜ちゃんは覚えてないと思うけど、2回……いや、かろうじて、1回だけ。高校生の時、彼女と話したことがある。
偶然あった話す機会以来、気になって彼女を目で追っては、その日一日一喜一憂していたのが懐かしい。
混むのが嫌なのか、早めの登校をしていたらしい美夜ちゃん。
その姿を駅で見かけた日は頬が緩むのを抑えられなかったし、数日姿が見えない時は病気や事故なんかを心配した。
他校の知らない男子生徒からのそんな気持ちは、気持ち悪いだけだったかもしれないけど。
「いい加減理解してよね。僕の好きな人が、りこちゃんじゃないってこと」
有志は同じ高校だった。ちょっとした行き違いがあって、僕の好きな人がりこちゃんだと思い込んでる。
「あと、僕、二次会抜けるから」
高校生の美夜ちゃんを思い出したら、こんなところでゆっくり酒を飲むなんて勿体無く感じてしまう。
あの頃の美夜ちゃんには、すでに好きな人がいたかもしれないんだ。
そして、そいつを今も想ってる。
僕に散々鳴かされながら、心の奥では誰かに操を立てているかもしれない。
だめだ。先送りになんてできない。
今すぐ美夜ちゃんに会って、抱きしめて、抱き潰して、それが許されてるのが僕だけだと実感したい。
心なしか不機嫌な様子でりこちゃんからカウンターを食らう。
「……どうって?」
こちらから、先ほどの意味ありげなつぶやきの続きを促そうと、向かいに座ってすぐの問いだった。
「付き合ってるなら、なんでみんなに隠してるの!?」
「………付き合ってないよ」
『今は、まだ』と、心の中で付け足す。
「付き合ってないの?でも……」
また『でも』だ。
その続きが、少しでも希望となる言葉なんじゃないかって思うと動悸がしてくる。
「美夜ちゃんは……」
そうりこちゃんが言いかけた時、全然嬉しくない闖入者が会話に入ってきた。
「拓眞ー、りこちゃんといい雰囲気醸し出しやがってー!やっと長年の思いが実るじゃん!」
けっこう酔いが回っている友人が、なだれ込むように隣に座って肩を抱いてくる。
男にされても嬉しくない。
「……未だに坂本くんが私を好きだなんて勘違いしてるの、五十嵐くんだけだよ」
りこちゃんの機嫌が急降下したのにも気づかずヘラヘラしている。
「りこちゃーん!そんなつれないこと言わずに拓眞のこと考えてやってよ!長年の片思いなんだから」
それを聞いてい、りこちゃんが我慢ならないと言った感じで立ち上がった。
「もしそうだったとしても、余計なお世話」
普段はふんわりとした感じのりこちゃんが、どう見ても怒っているのに……横の男は笑顔を崩さない。
「トイレ行ってくる。坂本くん、五十嵐くんの誤解ちゃんと解かないと、後悔することになるからね」
どんな報復が待っているのかと思わせるような、顔に似合わない恐ろしいセリフを吐いてさっさと行ってしまう。
「有志、飲み過ぎ。あと、何回も言ってるけど、僕が好きなのは別の子だから」
「またまたー!高校の時からの想いじゃんか!諦めんなよ!」
『高校の時から』
そのキーワードに美夜ちゃんの好きな人の話がよぎって、こちらの機嫌も悪くなる。
「そもそも、それが誤解なんだって」
美夜ちゃんを好きになったのは、実は高校の頃。
男子校だったから高校は別だったけど、美夜ちゃんの学校の最寄り駅が、乗り換え駅だった。
美夜ちゃんは覚えてないと思うけど、2回……いや、かろうじて、1回だけ。高校生の時、彼女と話したことがある。
偶然あった話す機会以来、気になって彼女を目で追っては、その日一日一喜一憂していたのが懐かしい。
混むのが嫌なのか、早めの登校をしていたらしい美夜ちゃん。
その姿を駅で見かけた日は頬が緩むのを抑えられなかったし、数日姿が見えない時は病気や事故なんかを心配した。
他校の知らない男子生徒からのそんな気持ちは、気持ち悪いだけだったかもしれないけど。
「いい加減理解してよね。僕の好きな人が、りこちゃんじゃないってこと」
有志は同じ高校だった。ちょっとした行き違いがあって、僕の好きな人がりこちゃんだと思い込んでる。
「あと、僕、二次会抜けるから」
高校生の美夜ちゃんを思い出したら、こんなところでゆっくり酒を飲むなんて勿体無く感じてしまう。
あの頃の美夜ちゃんには、すでに好きな人がいたかもしれないんだ。
そして、そいつを今も想ってる。
僕に散々鳴かされながら、心の奥では誰かに操を立てているかもしれない。
だめだ。先送りになんてできない。
今すぐ美夜ちゃんに会って、抱きしめて、抱き潰して、それが許されてるのが僕だけだと実感したい。
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