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彼女の片想い****
絶対、ヤダ。3
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「じゃあ、また……」
なんとか坂本くんの腕から抜け出そうと、今日の終わりを告げる言葉を紡ぐ。
それなのに、ぎゅって拘束がさらにキツくなった。
そして、私を一番困らせるあの一言を耳元でささやいた。
「キス、したい」
さっき、ベッドでそう請われた時、拒みきれなくて瞳を閉じた。
坂本くんが顔をかたむけて、近づいて来るのを待つ間に、もうこれから口づけを拒むことはできないと覚悟した。
なのに。
近づいた彼の唇は……かぷって鼻の頭を甘噛みしたのだ。
乙女の覚悟を弄ぶ、極悪非道の坂本くんめ。
もう絶対、流されて目を閉じたりしないと決めた。
だから。
身じろぎして、坂本くんの頬にそっと唇を寄せた。
ビクって体を震わせた彼の腕の力が緩んだ隙に、その束縛から逃げ出す。
有効な対応策を発見してほくそ笑む。
「次はもっと早く帰らせてね。……拓眞くん」
そう言って、未だ放心中の坂本くんを置き去りに部屋を後にした。
時間はなんと早朝4時。吐く息が白い。
新聞配達のバイクの音が、1本奥の路地から聞こえた。
いつもみたいに急ぎ足で家路を急いだ。……つもり。
一人きりで怖いってこともあるけど、火照った体を鎮めて、特別な女の子になった気になってる傲慢な心を諌めて、打ちひしがれた自分を慰めるのに忙しい。
時間にして20分弱の道のりを、日に日に厚くなっていくコートの前をかき寄せて歩く。
坂本くんの声を、匂いを、指を。近づいては離れる鎖骨を、ずっと合わせられた視線を、触れそうな唇の形を。
打ち消すように、いつもよりさらに早足で閑静な通路をひたすら進んだ。
身体中が痛かったから、早足になっていたかは怪しいけれど。
自分が入居している建物にたどり着く。
4階建ての、その3階。両親も、兄も、なぜか坂本くんも、オートロックじゃないことに難色を示したけど、そこまで贅沢は言ってられない。
お家賃が高いならバイトをしようかと思っていたのに、それなら仕送りを増やすと言われてしまったのでオートロックはいらないと突っぱねた。
特に、二世帯住宅を建てたせいで私が家を出たことが、兄の気を咎めさせたらしく、両親とは別に援助を申し出られて固辞するのは大変だった。
なんとか長期休暇のアルバイトだけ許してもらって、2階よりは安心だからと説得してここに決めた。
坂本くんの知り合いの不動産屋さんで、色々融通を利かせてくれたので、家賃もちょっとだけお得。
本当はそこまで甘えるつもりはなかったのだけど、なぜか私よりも真剣に物件を選ぶ彼に。
友達に不動産屋さんを紹介してもらうなんて、あり得ることかと納得することにした。
オートロックがダメならと、坂本くんがやたらにここを推してきて、なんとなく決めたのだけど。
夜を共に過ごすたびに『どうせ近いんだから朝着替えに帰ったら』なんて誘惑を繰り出す。
休みの日にせっかく近くに住んでるんだからとカフェに誘ったりもする。
会うお誘いや、長く過ごす時間のおねだりが増えて、そんなに1回でも多く、その……シタイのかな?って思うと、うれしくて淋しくて、怖い。
体だけでも求めてくれるのがうれしくて。
ただの代わりだってわかってるから淋しくて。
用済みになった時が怖い。
もし、りこちゃんと坂本くんがお付き合いなんて始めてしまったら?
お休みの日のカフェで2人に会ったり、近くのスーパーで買い物してるのを見かけたりするんだろうか。
そんなことを考えながら、エレベーターが降りて来るのを待った。
それだけで、涙がにじむ弱い自分がとっても嫌だった。
なんとか坂本くんの腕から抜け出そうと、今日の終わりを告げる言葉を紡ぐ。
それなのに、ぎゅって拘束がさらにキツくなった。
そして、私を一番困らせるあの一言を耳元でささやいた。
「キス、したい」
さっき、ベッドでそう請われた時、拒みきれなくて瞳を閉じた。
坂本くんが顔をかたむけて、近づいて来るのを待つ間に、もうこれから口づけを拒むことはできないと覚悟した。
なのに。
近づいた彼の唇は……かぷって鼻の頭を甘噛みしたのだ。
乙女の覚悟を弄ぶ、極悪非道の坂本くんめ。
もう絶対、流されて目を閉じたりしないと決めた。
だから。
身じろぎして、坂本くんの頬にそっと唇を寄せた。
ビクって体を震わせた彼の腕の力が緩んだ隙に、その束縛から逃げ出す。
有効な対応策を発見してほくそ笑む。
「次はもっと早く帰らせてね。……拓眞くん」
そう言って、未だ放心中の坂本くんを置き去りに部屋を後にした。
時間はなんと早朝4時。吐く息が白い。
新聞配達のバイクの音が、1本奥の路地から聞こえた。
いつもみたいに急ぎ足で家路を急いだ。……つもり。
一人きりで怖いってこともあるけど、火照った体を鎮めて、特別な女の子になった気になってる傲慢な心を諌めて、打ちひしがれた自分を慰めるのに忙しい。
時間にして20分弱の道のりを、日に日に厚くなっていくコートの前をかき寄せて歩く。
坂本くんの声を、匂いを、指を。近づいては離れる鎖骨を、ずっと合わせられた視線を、触れそうな唇の形を。
打ち消すように、いつもよりさらに早足で閑静な通路をひたすら進んだ。
身体中が痛かったから、早足になっていたかは怪しいけれど。
自分が入居している建物にたどり着く。
4階建ての、その3階。両親も、兄も、なぜか坂本くんも、オートロックじゃないことに難色を示したけど、そこまで贅沢は言ってられない。
お家賃が高いならバイトをしようかと思っていたのに、それなら仕送りを増やすと言われてしまったのでオートロックはいらないと突っぱねた。
特に、二世帯住宅を建てたせいで私が家を出たことが、兄の気を咎めさせたらしく、両親とは別に援助を申し出られて固辞するのは大変だった。
なんとか長期休暇のアルバイトだけ許してもらって、2階よりは安心だからと説得してここに決めた。
坂本くんの知り合いの不動産屋さんで、色々融通を利かせてくれたので、家賃もちょっとだけお得。
本当はそこまで甘えるつもりはなかったのだけど、なぜか私よりも真剣に物件を選ぶ彼に。
友達に不動産屋さんを紹介してもらうなんて、あり得ることかと納得することにした。
オートロックがダメならと、坂本くんがやたらにここを推してきて、なんとなく決めたのだけど。
夜を共に過ごすたびに『どうせ近いんだから朝着替えに帰ったら』なんて誘惑を繰り出す。
休みの日にせっかく近くに住んでるんだからとカフェに誘ったりもする。
会うお誘いや、長く過ごす時間のおねだりが増えて、そんなに1回でも多く、その……シタイのかな?って思うと、うれしくて淋しくて、怖い。
体だけでも求めてくれるのがうれしくて。
ただの代わりだってわかってるから淋しくて。
用済みになった時が怖い。
もし、りこちゃんと坂本くんがお付き合いなんて始めてしまったら?
お休みの日のカフェで2人に会ったり、近くのスーパーで買い物してるのを見かけたりするんだろうか。
そんなことを考えながら、エレベーターが降りて来るのを待った。
それだけで、涙がにじむ弱い自分がとっても嫌だった。
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