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彼の片想い****
となりにいさせて。4
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喫茶店のモーニングも、惰眠を貪った後の遅いランチもだめ。
僕が腕を振るう自炊メシは……ちょっとだけ関心を引いたみたいだけど、でもやっぱり、だめ。
『絶対に帰る』といってきかない。だけど、こんな無防備な姿で帰せるわけがない。
ただでさえ朝を一緒に迎えたいのだし。
「今日は泊まって行って。あと、これからずっと美夜って呼ぶから、美夜ちゃ……美夜は僕のこと拓眞って呼んでね」
大人しく頷いてくれたらいいのに。
「だから、もうちょっとしたら帰るの!坂本くん、わがままばっかり言わないで……」
されるがままに抱きすくめられつつ、珍しく強めに抗議された。だけど、内容がいただけない。
いつまでも泊まっていかない。
かと言って送らせない。キスもさせない。
部屋にも入れてくれない。
乱れてがまんできない時しか名前を呼ばない。
なのに僕が抱く時には名前を呼ばせない。
顔を見ながら抱かせてくれない。
そして、美夜ちゃんを思い続ける憐れな僕のものには、絶対になってくれない。
でも、僕を魅了して、離してはくれない。
……美夜ちゃんの方が、絶対わがままだと思う。
「もし、その好きな男に抱かれてる気になりたいなら、そうはさせない。これからは美夜って呼ぶし、誰と繋がってるのかを見せつけて、身体中に刻みつける」
そう宣言して、これからは手加減なんかしないと決意する。美夜ちゃんが離れそうになっても、解放なんかしてやらない。
男心を弄んで、無傷で逃げるなんて無理だよ。
腕に閉じ込めた華奢な体が震えて、涙声で『だって……』と不満をもらす。
でもその先は沈黙。しばらくの静寂に、ヒュッと息を飲む音が混ざった。
「……急に、名前で呼び合ったら、変に思われるし」
やっと絞り出したのは、嘘ではないけど、きっと全部でもない。
「……わかった。じゃあ、二人の時だけ」
美夜ちゃんが、理由をそうしておきたいのなら、しばらくそれに付き合おう。
「それ以上は譲らない。この部屋では美夜って呼ぶから。拓眞って呼んで。この部屋に、もう来ないなんて選択肢もないから」
これだけ強気に出れば、きっと。
「……拓眞、くん、でも……いい?」
よし!押し切った!
まんまと名前で呼ぶことを了承させたせいで、声弾んでしまわないように気をつけて返事をした。
少し居心地悪そうに身じろぎして、その後に続いた美夜ちゃんの言葉には理性が持たなかったけど。
「あと、ね。た、拓眞くんを、その……誰かの代わりにしたことなんて、ない、から。……私は」
聞き間違いかと思った。都合のいい夢かもとも。
一瞬で苦しくなって、気づいたら壊してしまいそうなくらい抱きしめていた。
嬉しいを通り越して、感動すらして。
夢ならさめて欲しくなくて。
震える声で美夜ちゃんが『私は』なんていうから、僕だって伝えたかった。
美夜ちゃんと一緒で、誰の代わりにもしたことないって。
美夜ちゃんと違って、僕の胸の中には君以外いないって。
「僕も、ない。抱きたいのは、美夜……だけだ」
だから。
朝を一緒に迎えて。
外で手をつないで。
僕を好きになって。
キスを……好きな人にしか許さないという唇を僕に明け渡して。
言いたかったけど、どれも出てこなくて。1番可能性のありそうな懇願を情けなく声に乗せた。
「美夜って呼ばせて……」
案の定『……ダメ。……絶対』って。
名前で呼んでくれる気があるのだから、とりあえずの拒否だろう。人の気もしらないで。
美夜ちゃんが、僕の気持ちを考えずにいつも通りの言葉を告げるなら、こちらだってそうしよう。否定の言葉には毎回傷つくけどめげない。
ダメ。イヤ。ヤダ。……しかも『絶対』と、そう言われるとわかっていたけど、体を離して、見つめて、あごをすくい取る。
ゆっくりと、顔を近づけて、視線を絡めて。
「キス、したい」
覚悟して願望を紡いだけど、なぜかいつもの拒絶がなくて……初めて、美夜ちゃんが何も言わずに瞳を閉じた。
僕が腕を振るう自炊メシは……ちょっとだけ関心を引いたみたいだけど、でもやっぱり、だめ。
『絶対に帰る』といってきかない。だけど、こんな無防備な姿で帰せるわけがない。
ただでさえ朝を一緒に迎えたいのだし。
「今日は泊まって行って。あと、これからずっと美夜って呼ぶから、美夜ちゃ……美夜は僕のこと拓眞って呼んでね」
大人しく頷いてくれたらいいのに。
「だから、もうちょっとしたら帰るの!坂本くん、わがままばっかり言わないで……」
されるがままに抱きすくめられつつ、珍しく強めに抗議された。だけど、内容がいただけない。
いつまでも泊まっていかない。
かと言って送らせない。キスもさせない。
部屋にも入れてくれない。
乱れてがまんできない時しか名前を呼ばない。
なのに僕が抱く時には名前を呼ばせない。
顔を見ながら抱かせてくれない。
そして、美夜ちゃんを思い続ける憐れな僕のものには、絶対になってくれない。
でも、僕を魅了して、離してはくれない。
……美夜ちゃんの方が、絶対わがままだと思う。
「もし、その好きな男に抱かれてる気になりたいなら、そうはさせない。これからは美夜って呼ぶし、誰と繋がってるのかを見せつけて、身体中に刻みつける」
そう宣言して、これからは手加減なんかしないと決意する。美夜ちゃんが離れそうになっても、解放なんかしてやらない。
男心を弄んで、無傷で逃げるなんて無理だよ。
腕に閉じ込めた華奢な体が震えて、涙声で『だって……』と不満をもらす。
でもその先は沈黙。しばらくの静寂に、ヒュッと息を飲む音が混ざった。
「……急に、名前で呼び合ったら、変に思われるし」
やっと絞り出したのは、嘘ではないけど、きっと全部でもない。
「……わかった。じゃあ、二人の時だけ」
美夜ちゃんが、理由をそうしておきたいのなら、しばらくそれに付き合おう。
「それ以上は譲らない。この部屋では美夜って呼ぶから。拓眞って呼んで。この部屋に、もう来ないなんて選択肢もないから」
これだけ強気に出れば、きっと。
「……拓眞、くん、でも……いい?」
よし!押し切った!
まんまと名前で呼ぶことを了承させたせいで、声弾んでしまわないように気をつけて返事をした。
少し居心地悪そうに身じろぎして、その後に続いた美夜ちゃんの言葉には理性が持たなかったけど。
「あと、ね。た、拓眞くんを、その……誰かの代わりにしたことなんて、ない、から。……私は」
聞き間違いかと思った。都合のいい夢かもとも。
一瞬で苦しくなって、気づいたら壊してしまいそうなくらい抱きしめていた。
嬉しいを通り越して、感動すらして。
夢ならさめて欲しくなくて。
震える声で美夜ちゃんが『私は』なんていうから、僕だって伝えたかった。
美夜ちゃんと一緒で、誰の代わりにもしたことないって。
美夜ちゃんと違って、僕の胸の中には君以外いないって。
「僕も、ない。抱きたいのは、美夜……だけだ」
だから。
朝を一緒に迎えて。
外で手をつないで。
僕を好きになって。
キスを……好きな人にしか許さないという唇を僕に明け渡して。
言いたかったけど、どれも出てこなくて。1番可能性のありそうな懇願を情けなく声に乗せた。
「美夜って呼ばせて……」
案の定『……ダメ。……絶対』って。
名前で呼んでくれる気があるのだから、とりあえずの拒否だろう。人の気もしらないで。
美夜ちゃんが、僕の気持ちを考えずにいつも通りの言葉を告げるなら、こちらだってそうしよう。否定の言葉には毎回傷つくけどめげない。
ダメ。イヤ。ヤダ。……しかも『絶対』と、そう言われるとわかっていたけど、体を離して、見つめて、あごをすくい取る。
ゆっくりと、顔を近づけて、視線を絡めて。
「キス、したい」
覚悟して願望を紡いだけど、なぜかいつもの拒絶がなくて……初めて、美夜ちゃんが何も言わずに瞳を閉じた。
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