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★ミナミくんと虎の店長さんのご縁。

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 かろうじて生温い湯が出たシャワーを、南は呉凱と一緒に急いで浴びた。なぜか呉凱は南から一時も手を離そうとせず、服を脱ぐのも汗を流すのも髪を洗うのも全部呉凱がやってくれた。

「ん……っ」

 滑らかな毛皮に覆われた呉凱の大きくて分厚い手のひらが南の身体のあらゆる場所を撫でては擦り、洗っていく。その手は時折戯れるように南の胸を揉みしだき、乳首を弄っては下へと滑り降りていく。そして南の股間を覆うと、早くも勃ち上がりかけたペニスをゆるゆると扱いてはさらに奥の後腔をも愛撫した。

「あ、そこ、ふ、あ……っ、きもち、いい……っ」

 一週間ぶりに呉凱に触れられたソコはみっともないほど歓喜にうち震えながら呉凱の太い指を咥え込む。その間も上から覆いかぶさってくる呉凱の口が南の顔をこすり、舌を口の中でぬくぬくと出し挿れされた。

(これ、まるで、ベロでくちんなか、突かれてるみたいだ……)

 明らかに性交を思わせるその動きにますます性器に血が集まり、硬くなっていく。口内に挿れられた呉凱の舌を懸命に追いかけながら我慢できずに呉凱の手にペニスをこすりつけると、呉凱が喉の奥で低く笑うのが聞こえた。

「あ、ゆび、ナカ、きもちいい、うーかい、さ……っ、もっと……っ」
「ちょっと待ってな」

 どうやらこっちに来る時に山羊の先生がくれた大きな軟膏も一緒に持ってきていたらしい。緑色の缶を開けて指に掬い取り、南を壁に向かって立たせる。南がシャワーのパイプに手を掛けると、後ろから尻を掴んで軟膏を塗りつけ、ちゅくちゅくと指で後腔を嬲り始めた。

「あう、ん、あ、ソコ、ソコ……あうんっ!」

 一本、二本と指を増やされながら、ひくひくと物欲しげに蠢く媚肉を掻きまわされる。その間も呉凱はもう片方の手ですくい上げるように胸を持ち上げ、指先で乳輪の際を引っ掻いた。

「ひうっ!」

 呉凱に散々開発されて恐ろしく敏感になったナカの膨らみをぐり、と捏ねられて思わず悲鳴が漏れる。それと同時にざらざらとした呉凱の肉厚な舌でうなじを舐められ、火傷の痛みとは別の、ぞくぞくと腹の底から這い上がって来るような感覚に背筋を逸らした。

チッ! せっかく噛み痕が消えたっていうのによ」

 腹立たし気な呉凱の声が狭いシャワールームに響く。彼の抑えきれぬ苛立ちを肌で感じて、南は密かに身体を震わせた。
 こんな時、呉凱はやはり人間とは違う獣に連なる種族なのだと思い知らされる。だがなぜか恐怖は感じない。それどころかいかにも肉食らしい鋭く太い牙が自分のうなじに深々と食い込むところを想像しては、熱く濡れたため息が零れ落ちた。

「どうした? 急に締め付けやがって」

 ナカに潜り込んだ二本の指で揶揄うように奥を引っ掻かれる。ビクン! と跳ねた南の身体を分厚い胸で壁に押し付けて呉凱がまた笑った。

「……うーかいさんの、なら、きえてほしくない、な」

 きゅん、と呉凱の指を甘く締め付ける自分の後腔を嫌というほど意識しながら、南はぼんやりと呟く。するとツン、と硬く尖った乳首を弄んでいた手が南の腹に周り、ぐい、と持ち上げられた。そして耳孔に呉凱の低く擦れた声を吹き込まれてまた下腹がさざめく。

「なんだよ、お前は俺に噛みつかれてぇのか?」
「……うん……おれ、うーかいさんに、ぜんぶ、たべられちゃいたい、なぁ……」
「へぇ、そうかよ」
「……あっ」

 その言葉と同時に、尻の谷間にひどく熱くて硬くて太いモノがゴリ、と擦りつけられる。そのまま尻肉で挟むようにしてぬるぬると扱かれて、南はたまらずシャワーのパイプにしがみついた。

「う、うーかい、さん……っ、うーかいさんの、ほしい、……っ」
「俺の何が欲しいんだ?」
「うーかいさん、の」

 南は後ろに手を回して片手では余るほどに太いソレをそっと握る。

「うーかいさんの、コレで、おれのなか、いっぱいにして、ほしい……ぃ……」

 本当は口いっぱいに舐めてしゃぶりたいが、それよりも早くこの猛々しい凶器で腹の中いっぱいに埋め尽くして欲しかった。
 南はカリ首を指で挟みながら親指で先端の小さな穴をくちくちと擦る。

「うーかいさん……っ、はやく、うーかい、さん……っ」
「あー、くそっ。お前ほんとカワイイな」
「っふ、んんっ!」

 呉凱の指が引き抜かれ、両手で腰を掴まれる。ぬぷ、と押し当てられた亀頭で入口をちゅくちゅくと開かされて南は再びパイプにしがみつき、尻を突き出すようにして『挿れて欲しい』と懇願した。

「あうんっ!」

 ぬぐっ、と一気に亀頭をねじ込まれ、一瞬南の息が止まる。思わず逃げそうになる腰をがっちりと掴まれて、呉凱のモノが狭い隘路をこじ開けるようにして奥へ奥へと入ってきた。

「あ、あ、あ」
「ミナミ……っ、もっと奥まで、いいか……っ?」
「い、いいよ、だいじょ、ぶ」
「苦しかったら言え」
「ひうんっ!!」

 ぐっぷりと奥までハメられて、南は懸命に浅い呼吸を繰り返す。すると呉凱が後ろから南の身体を抱きかかえ、耳元で言った。

「大丈夫だ。しばらくこのままでいるから」
「い、いいよ、うごいて、うーかいさんも、つらい、でしょ」
「ああ、後でな」

 そう言って南のこめかみや頬や肩に口を押し付けてはペロペロと舐めてくれる。温かい、ざらついた舌が肌に触れるたびに下腹がひくついて、呉凱の膨れ上がった亀頭をきゅうきゅうと切なく締め付けた。
 
「うーかいさん……っ、はやく、おれ、も、ダメ……っ」

 我慢できずに欲しがれば、ようやく呉凱がゆっくりと動き出す。身体ごと下から持ち上げるようにゆるゆると突かれて南はたまらずに喘いだ。

「あっ、んっつ、あ、イイ、うーかいさん、もっと、んぐっ」
「ミナミ、ミナミ」

 段々と早く大きくなっていくグラインドに合わせて、ぱちゅん、ぐちゅんと濡れた音が狭いシャワールームに響く。

「ひっ、あっ、あっ、もっと、もっとほしい……っ、うーかい、さん……っ」

 南がねだれば呉凱の動きはさらに激しくなっていく。

「あっ! あっ! すご……っ、あんっ!」
「ああ、クソッ、お前んナカ、うねうね絡みついてきて、すげぇ、きもちいいな……っ」
「ほ、ほんと……っ? うれしい、いっぱい、いっぱいきもちよく、なって、うーかいさ……んっ」

 後ろからハッ、ハッ、と呉凱の荒い息遣いが聞こえてくる。それと一緒にぐるるる、と低い唸り声が響いてきて、南は呉凱の男根で貫かれたまま本当に頭から全部食べられてしまいたい、と思った。

「ひっ! あっ! っソ、ソコ、やだ、深……っ、……っひうッ!?」

 最奥をぬちぬちと突いていた亀頭がついにぐぷっ、と結腸口をこじ開けて入って来る。

「あっ! ソコ、あ、こわ、こわい、あんっ、んぐっ!」

 今まで何人もの客と寝てきたが、ここまで入って来るのは呉凱一人だけだ。南が知っている絶頂を上塗りするかのような衝撃に、南は涙を零しながら身悶える。

「うっ! イく、イっちゃう、あう、んんっ!」
「いいぜ、イけよ、腹いっぱいに出してやる……っ」
「あっ、ひっ、ん、んぐ、っ、~~~~~~~っっ!!」

 抱き込まれた腕にぐっ、と力が入り、一番奥に呉凱の熱が叩きつけられるのを感じた。その途端、腹の奥底からこみ上げてきた絶頂に南のモノからも、どぷっ、と精液が溢れ出る。息ができないほど激しい快感に指一本動かせずにいる間も、呉凱はまだドクドクと濃いザーメンを注ぎ込みながら最奥を抉るように突き続けてきて、南は獣人の交尾の激しさに完全に酔わされた。
 呉凱の力強い手が南の首を掴み、ヒリヒリと痛むうなじに鋭い牙が当てられる。ゆっくりと、確実に肌を貫くその感触に南はビクビクとナカを痙攣させながら、再びイった。



     ★   ★   ★



 二度の連続アクメの後にガクッと力の抜けたミナミの身体を片腕で支える。

(こいつ、二回目は俺に噛まれてイったのか)

 相変わらずとんでもねぇヤツだ、と思いながら呉凱はミナミの剥き出しになったうなじをぞろり、と舐めては甘噛みする。

「……ぬくの、や、だ……」

 ミナミをベッドで休ませるためにペニスを抜いて抱え直そうとした時、気を失っていたと思っていたミナミが擦れた声で呟いた。

「……うーかい、さ……ん、ぬくの、いやだ……ぁ……」
「わかったわかった、ちょっとだけ待て」

 呉凱はまったく力が入らないらしいミナミからずるり、と男根を抜く。すると縁の赤らんだミナミの後腔と自分のモノを繋ぐように、どろり、と大量の精液がこぼれ落ちるのを見て、獣の本性剥き出しにして目を細めた。

「うーかい、さ、ん……」
「ああ、すぐに挿れてやる」

 呉凱はミナミの身体を抱き上げ、両足を自分の腰に回させると尻を掴んでもう一度ゆっくりと奥まで挿入してやった。

「…………っふ…………う……っ」

 ぐったりと呉凱にもたれたまま、ミナミがかすかに喘ぐ。そのまま根元まで収めてから軟膏の缶を取り、シャワーのコックを止めたのを確認して部屋に戻った。
 歩く度に呉凱のモノがイイところに当たるのか、肩口に埋まったミナミの口から「あっ、あっ」という小さな声が漏れる。
 ミナミを抱えたままベッドに乗り上げ、ヘッドボードにもたれて一息ついた。そして呉凱に抱きつくようにして顔を埋めているミナミのうなじをタオルで拭いてもう一度よく見る。

(クソ……ッ、あの狗野郎が)

 火傷の痕を見てまた狂暴な気分が蘇ってくるが、その横についた己の噛み痕を見て自らの衝動をなだめる。
 呉凱は傷に当たらぬように耳の後ろのあたりに口を押し付けてから、できるだけ優しく消毒薬と軟膏を塗り、ガーゼを当ててやった。そして傍らの随分と古い綿毛布が辛うじて洗濯してあるのを確認すると、それでミナミの身体を覆ってぎゅっと抱きしめた。

 危うく、この突拍子もなくて、でも生真面目で、妙なところで自信なさげなのにやたらと大胆になるニンゲンを永遠に失うところだった。今間違いなく生きて自分の腕の中にいることを確認してとてつもない安堵を覚える。

 煙草が吸いたい、と思いながら呉凱はあの男が言った言葉を頭の中で繰り返す。

――――この世は環だ。この世の全ての理は繋がっている。てめぇの因果は回りまわって、てめぇに返るのさ。

(そう、この世は環だ。過去と現在。原因と結果。環がこの世界を作り、円となる)

 『円』 は縁。『環』 は款。
 人と人との繋がりを現すその言葉を、呉凱は心に繰り返す。

 呉凱はかつて、誰が相手でも深い付き合いをするつもりは毛頭なかった。いつでも自分が行きたい場所に行き、生きたいように生きるためには必要最低限の荷物しか負いたくなかった。でもこれからは違う。

 呉凱が今までも密かに気に入っていた『縁』という言葉は、この先さらに特別な意味を持つようになるだろう。
 偶然の縁が呉凱とミナミを巡り合わせ、こうして結びつけた。そのことに呉凱はたまらなく何かに感謝したくなった。

 いつの間にか眠ってしまったミナミをさらに強く抱き寄せて自分の身体で温めてやる。ついでに尻尾も巻きつけてやるとくすぐったかったのか、ミナミが目を閉じたまま小さく笑った。

「……ってか、これはもう抜いていいのか?」

 安心しきって眠り込んだミナミが答えるわけもなく、仕方なく呉凱はそのままずるずると身体をずらして寝そべると、上にミナミを乗せたままようやく眠りについた。
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