小さな古着店
そこは小さな古着店だった。
閑散としている店に、風呂敷包を抱えた青年が入る。
そこからはじまる青年と店主の少女の、温かくて少し不思議なお話。
オムニバス形式の不定期連載になる予定です。
(小説家になろうサイトにも同じ話を公開しています)
閑散としている店に、風呂敷包を抱えた青年が入る。
そこからはじまる青年と店主の少女の、温かくて少し不思議なお話。
オムニバス形式の不定期連載になる予定です。
(小説家になろうサイトにも同じ話を公開しています)
あなたにおすすめの小説
夫が私の移植用心臓を運ぶヘリを愛人の犬に回したので、目覚めた私は彼を知らないふりをした
熾星 宗一郎がシャツの三つ目のボタンを留めたときには、私はもうスマートフォンで銀行アプリを開いていた。
ベッドの脇には女物のワンピースと彼のベルトが散らばっている。神崎美月はホテルのバスローブをまとい、浴室の入り口に立っていた。鎖骨には意味ありげな赤い痕。まるで私に見せつけるために、そこに立っているようだった。
カーテンは完全には閉じられていない。朝の光が絨毯に差し込み、部屋の惨状を残酷なほど鮮明に照らしていた。
初めてこんな場面に出くわしたとき、私は部屋のグラスを叩き割り、宗一郎の胸ぐらをつかんで理由を問い詰めた。
あのときの彼はベッドヘッドにもたれて煙草を吸い、ズボンすらまともに穿かないまま、淡々と言った。
「部屋が暗くて、お前と間違えた」
その後、同じような「人違い」は二度起きた。
それをきっかけに、私たちは書面で取り決めを交わした。不貞行為が一度発覚するたび、離婚成立前の解決金として、彼は私に五百万円を支払う。
「振り込んで」
どうぞ、これからも王女殿下を優先なさってください
わらびもち伯爵令嬢のエリーゼには幼い頃から婚約者がいた。
相手は伯爵家の嫡男であり、王女殿下の護衛騎士であるアルベルト。
彼はいつだって王女が最優先。
「王女がお呼びだから」と、約束は何度も破られ、エリーゼは後回しにされ続ける。
政略とはいえ、この婚約に意味はあるのだろうか。
王女を優先し続けた婚約者に心を閉ざしていくエリーゼ。
失って初めて気づいても、もう遅い――。
後宮に棲むは、人か、あやかしか
由香後宮で消える妃たち。
それは、あやかしの仕業か――人の罪か。
怪異の声を聞く下級女官・鈴華と、怪異を否定する監察官・凌玄。
二人が辿り着いたのは、“怪物”を必要とした人間たちの真実だった。
奪われた名、歪められた記録、そして灯籠に宿るあやかしの沈黙。
――後宮に棲むのは、本当に人ならざるものなのか。
光と闇が交差する、哀切の後宮あやかし譚。
王妃教育を辞退したら「困る」と国王陛下が直接迎えに来ました ~婚約破棄された私に、王太子ではなく国王陛下が求婚してきます〜
由香【全一話完結】
王太子の心変わりによって婚約を破棄された侯爵令嬢リリアーナ。
十年以上受け続けた王妃教育も辞退し、ようやく自由になれると思っていた。
ところが数日後、侯爵家を訪れたのは国王陛下本人。
「王妃教育を辞退されると困る。私の妃になってほしい」
努力を踏みにじった王太子はすべてを失い、選ばれたのは誠実に生きてきた彼女だった。
これは、年上国王に溺愛されながら、世界一幸せな王妃になるまでの逆転ラブストーリー。
妹ばかり愛した家族へ。私が王太子妃になった日、皆さんは謝りました。けれど、もう遅いのです
由香【全一話完結】
幼い頃から妹の引き立て役として生き、婚約者まで奪われて家を追放された侯爵令嬢エレナ。
傷ついた彼女が助けた青年は、身分を隠した王太子だった。
一年後、王太子妃となったエレナの前に現れたのは、今さら「家族だから」と擦り寄ってくる両親と妹。
けれど彼女は、もう二度と振り返らない。
夫が運命の番と出会いました
重田いの幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
上手に騙してくださらなかった伯爵様へ
しきど アイルザート・ルテシオ伯爵は十七歳で家督を継いだ方だ。
文武両道、容姿端麗、人柄も良く領民の誰からも愛される方だった。そんな若き英雄の婚約者に選ばれたメリッサ・オードバーン子爵令嬢は、自身を果報者と信じて疑っていなかった。
彼が屋敷のメイドと関係を持っていると知る事になる、その時までは。
貴族に愛人がいる事など珍しくもない。そんな事は分かっているつもりだった。分かっていてそれでも、許せなかった。
メリッサにとってアイルザートは、本心から愛した人だったから。
“いらない婚約者”なので、消えました。もう遅いです。
あめとおと
婚約者である王子から、静かに告げられた言葉。
――「君は、もう必要ない」
感情をぶつけることもなく、彼女はただ頷いた。
すべては、予定通りだったから。
彼女が選んだのは、“自分の記憶を世界から消す魔法”。
代償は、自身という存在そのもの。
名前も、記憶も、誰の心にも残らない。
まるで最初からいなかったかのように。
そして彼女は、消えた。
残された人々は、何かが欠けていることに気づく。
埋まらない違和感、回らない日常。
それでも――誰一人、思い出せない。
遅すぎた後悔と、届かない想い。
すべてを失って、ようやく知る。
“いらない存在”など、どこにもいなかったのだと。
これは、ひとりの少女が消えたあとに、
世界がその価値に気づく物語。
そして――彼女だけが、静かに救われる物語。