魔闘少女プディカベリー 〜淫欲なる戦い〜

おっぱいもみもみ怪人

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第15話 鈴雲の家へ遊びに行く青年

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 泣き疲れた鈴雲りりたんは朝食にも手を付けず、黙って下を向いていた。
 何かを話そうと思っても、上手く言葉が出ない。

 複雑な思いが絡み合い、幼い少女の心を苦しめていた……

 「お名前はー…… りりちゃん…… で、良かったかしら?」

 母は名前を訊くが、鈴雲は何も答えない。
 代わりに正秀は答える。

 「鈴音鈴雲すずねりりたんだぜ、母さん。たしか…… えっと、すずくもと書くって昨日聞いたんだ」

 「そう。可愛くていい名前ね」

 「…………」

 俯いたままの鈴雲は何も言わない。

 母は少し待ってから少女の肩に手を乗せ……

 「悩みごとがあるなら話してごらんなさい。私でも力になれることが有るなら、協力するわ。ね?」

 そう優しく言った。

 すると、鈴雲はゆっくりと顔を上げ、ようやく口を開く。

 「あの……」

 「ん? 何かしら?」

 「帰ります」

 「え……? もう帰るの?」

 母は驚いた。
 さっきまで子供の様に泣きじゃくっていたのに、今は冷静な顔つきで表情も読み取れない。
 少し不安になった。

 「鈴ちゃん…… せめて飯でも食って行ったらどうだ?」

 「そうそう、ガキが遠慮するもんじゃないわよ」

 正秀の提案に姉も同意したが……

 「いえ。それでは」

 と、鈴雲は立ち上がった。
 泣き止んで冷静になると、この幸せそうな家族が嫌いになった。
 否、嫌いになろうと、嫌われようと思った。

 ここには、自分の様な人間が居るべきではない様に思えたから……

 「待って鈴ちゃん。そんなに焦らなくても、もう少しゆっくりして行ったらどう?」

 「母さん。鈴ちゃんは帰るってさ」

 「正ちゃん……」

 「よし! じゃ、行こうぜ」

 「は?」

 鈴雲は一瞬、意味がわからなかった。

 「帰るんだろ?」

 「帰りますが……」

 「おう」

 何の返事かわからないが、正秀は鈴雲の手を取ると玄関へ向かい始めた。

 「ちょ、ちょっと、何ですか……?」

 「家まで送ってやるんだぜ」

 「結構です……」

 「おう」

 「おう ……ではなくて」

 理解しているか不明だが、元気な正秀は強引に引っ張って外へと連れ出すのだった。
 そんな息子の行動を母は微笑みながら見送った。

 ……………
 ………
 …

 「意外と近所なんだな」

 「そうです。だからいい加減、手を離してはもらえませんか?」

 コンビニ隣の玄関から出ると、二人は仲良く? 手を繋いで歩いていた。
 鈴雲の家は百メートルもない先の一軒家だと正秀は教えてもらった。

 「いいじゃないか。送って行くぜ」

 「さっきから遠慮してるのですが」

 「そう遠慮するなよ。女の子一人じゃ危ないだろ?」

 「いつもかよっているコンビニなのですが…… それにもう朝ですよ。何も危なくありませんよね?」

 と、その時だった……
 奇妙な声が聴こえてきた。

 「うりゃー! はっ! とうっ! ぬぉぉぉっ、これで俺様最強だぁぁぁ!」

 「な、なんだ?」

 変な声はビルの谷間にある、薄暗い神社の方から聞こえる。
 見ると黒い服を着た青年が、日本刀を鞘から出し入れしながら叫んでいた。

 「……正秀さんのお友達ですか?」

 「そんな訳ないって。どう見ても変質者だろ……」

 「ですね。どうも中二病をこじらせてるみたいです」

 「お、おう。だな」

 「仕方ありません。今回だけは特別に私を家まで送らさせてあげますよ」

 「お? そうか? やっぱ危ない奴は昼夜関係無しにどこにでも居るからな。うん。それがいい」

 「はぁ…… ほんと変な人ですね」

 「ああ、変な奴だな」

 「正秀さんのことですよ……」

 「え?」

 正秀には何のことだかわからなかったが、送らせてくれるというのなら、それで問題なかった。
 正義感があふれる彼の性格上、理由は知らなくとも、辛そうな少女を放っておくなどできなかった。

 ……………
 ………
 …

 そこは白い壁で二階建ての建売住宅であろう家であった。
 申し訳程度の庭は雑草で荒れ果て、表から見える窓は全てシャッターで閉ざされていた。

 人の住んでいる気配が感じられない……

 「ここです」

 「へー、ここが鈴ちゃんの家かぁ」

 「どうぞ」

 「お? 入れてくれるのか?」

 「はい」

 予想外であった。
 何となく嫌われている感じがしていたのに、昨日会ったばかりの男を家に上げてくれるとは思いも寄らなかった。

 中へ入ると静寂に包まれる。

 (何だか埃っぽいな……)

 防音壁なのもあるだろうが、何よりも動いている物が無い。
 生活感がまったく感じられず、埃の溜まった廊下に少女のものであろう、階段へと続く足跡だけが僅かに住人の面影を映していた。

 「おじゃましまーす……」

 「誰も居ませんから、気にせず上がって下さい」

 「おう……」

 「私の部屋は二階です」

 「えっと、お父さんやお母さんは仕事なのか?」

 「はい、海外で働いています。なので私一人で暮らしてます」

 「へ、へー……」

 鈴雲に連れられて二階へ上がると、異様な雰囲気が漂っている。
 一つだけ半開きなっているドアは、その周りの壁紙と一緒にボロボロになっていた。

 「ここが私の部屋です」

 鈴雲は何かで引っ掻いた様な跡があるドアの前に立つと言った。
 ドアノブも取れて、廊下で転がっている。

 「入っていいのか?」

 「はい」

 ニコリと笑いながら返事をする鈴雲の目は笑っていなかった。

 (なんだこりゃ!?)

 部屋に入ると一斉にカサカサと虫の這う音が聴こえてくると同時に、異臭が鼻をつく。
 正秀は我が目を疑った。
 この部屋だけ完全にゴミ屋敷である。
 とてもじゃないが、年頃の少女の部屋とは思えない惨状だ。

 「どうかしましたか? 私の部屋ですよ?」

 「お、おう……」

 「お茶くらい出した方がいいですよね? 確かにその辺に、まだ飲めるコーラがあったと思いますが。気を付けないと、たまにおしっこの入ったペットボトルを飲んじゃうんですよ。あははは」

 「…………」

 「そこのカップラーメンはこの前こぼしてしまいまして…… そうそう、知ってます? カップラーメンってひっくり返しても、乾いた後にもう一度お湯に入れると復活するんです。これが意外と美味しいんですよね」

 「…………」

 「あ。帰りたいならどうぞ。送ってくれて有り難う御座いました」

 正秀は黙って奥へと進むと辛うじて居住スペースの有るベッドへと腰掛けた。
 布団は染みだらけで、湿った感触が手に伝わる。

 「帰らないんですか? これが私の生活ですよ? こんなトコに居てもしょうがないですよ? 早く帰ってお風呂に入った方がいいですよ?」

 「…………」

 「私みたいな惨めな人間を相手にする必要はありませんよ…… 私のことはさっさと忘れて出て行って下さいよっ!!」

 鈴雲は叫んでしまった。
 この部屋を見れば、すぐに自分のことは嫌いになって二度と会うことも無いだろうと思っていた。
 それなのに、正秀は何かを考える様に静かに座っているだけだ。

 「なあ」

 「な、何ですか……」

 「鈴ちゃん。好きな人が居るって言ってたよな?」

 「え? あ…… 隣の兄様にいさまのこと…… ですか」

 「告白とかしないのか?」

 「はあ? 何を言ってるんですか…… 私を好きになる人が居る訳ありませんよ。ただ、子供の頃に一緒に遊んでもらって…… 兄様だけが私を人として見ていてくれたんです。だから…… それだけです。私が想いを寄せることができるのは兄様しか知らないのです」

 「へー。鈴ちゃんみたいな可愛いに好きって言われたら、誰でも嬉しいと思うけどな」

 「な、なな、何を…… 正秀さんは、さっきから何を訳の分からないことばかり言ってるんですかっ」

 「鈴ちゃん。今日の予定は無いよな?」

 「は? 突然どうしました? まあ、毎日予定は皆無ですが……」

 「よし! 俺が今からこの部屋を片付けてやるぜ! 任せなっ!」

 「はあああああ!?」

 「まずはこっからだなっ。鈴雲は遊んでててもいいぜ」

 言うが早いか? 正秀は立ち上がると、唐突にゴミを拾いだした。

 あまりに予想外の行動に鈴雲は戸惑うばかりだ。

 床には汚れたパンティも散らばっているが、お構いなしに摘み上げている。

 なぜだか、急に恥ずかしさが込み上げてきた。

 正秀の意味不明な行動にどうしていいのか分からない。

 「ぎやぁぁぁぁぁ!?」

 もう、奇声を上げることしかできないのであった。
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