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第1章 転生幼女は防御特化を試みる
第17話 リリナ・エネームの独り言
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アリエ嬢。あの人のことが、忘れられない。
彼女は、すごく勇敢な方だった。そしてすごく美しい方だった。
盾一つだけで、あんな魔物に立ち向かうだなんて。
だってアレは、ただのブラックフェンリルじゃない。
普通に生まれるような個体ではない、常軌を逸した個体だった。
「…………」
私は、彼女が来る寸前で、諦めていた。
討伐をすること。生きること。全てのこと。
だけどもしかしたら、それで楽になるかもしれない。
そう思った時に、アリエ嬢がブラックフェンリルを吹き飛ばしてくれた。
彼女のその横顔に、まるで吸い込まれるように目を奪われた。
だから私も、もう少しだけ頑張ってみようって思えたんだ。
私は彼女が作った傷跡に『魔法剣』で一撃を入れた。
撃退はほとんど彼女の手柄なのに、彼女はリリナ嬢の、私の手柄だと言った。
普通、あんな魔物を倒した、なんて物凄い功績になるのに。
つまり彼女には、私と同様に何かしらの事情がある、ということなのかもしれない。
ここで私が『あれはアリエ嬢の手柄です』といえば、何か不都合が生じる可能性があった。
だから私は、それを私の手柄として今、家に持ち帰っている最中だった。
父上は、私の功績にどのような反応を示すだろうか。
褒めてくれると、いいな。
今日はいつもより幸せな気分だった。
アリエ嬢にまた会いたい。
会って今度こそ、伝えられなかった言葉を伝えたい。
嫌なことを今ばかりは忘れて、私はアリエ嬢に思いを馳せる。
運命のお相手なんて、少し大袈裟なことを口走ったけれど、誰にも聞かれていないかな。
特にエレノミの方々には聞かれてないといいけど……。
でも、本当のことだから。
私を助けてくれる人なんて、あの人しかいなかったから。
彼女は、すごく勇敢な方だった。そしてすごく美しい方だった。
盾一つだけで、あんな魔物に立ち向かうだなんて。
だってアレは、ただのブラックフェンリルじゃない。
普通に生まれるような個体ではない、常軌を逸した個体だった。
「…………」
私は、彼女が来る寸前で、諦めていた。
討伐をすること。生きること。全てのこと。
だけどもしかしたら、それで楽になるかもしれない。
そう思った時に、アリエ嬢がブラックフェンリルを吹き飛ばしてくれた。
彼女のその横顔に、まるで吸い込まれるように目を奪われた。
だから私も、もう少しだけ頑張ってみようって思えたんだ。
私は彼女が作った傷跡に『魔法剣』で一撃を入れた。
撃退はほとんど彼女の手柄なのに、彼女はリリナ嬢の、私の手柄だと言った。
普通、あんな魔物を倒した、なんて物凄い功績になるのに。
つまり彼女には、私と同様に何かしらの事情がある、ということなのかもしれない。
ここで私が『あれはアリエ嬢の手柄です』といえば、何か不都合が生じる可能性があった。
だから私は、それを私の手柄として今、家に持ち帰っている最中だった。
父上は、私の功績にどのような反応を示すだろうか。
褒めてくれると、いいな。
今日はいつもより幸せな気分だった。
アリエ嬢にまた会いたい。
会って今度こそ、伝えられなかった言葉を伝えたい。
嫌なことを今ばかりは忘れて、私はアリエ嬢に思いを馳せる。
運命のお相手なんて、少し大袈裟なことを口走ったけれど、誰にも聞かれていないかな。
特にエレノミの方々には聞かれてないといいけど……。
でも、本当のことだから。
私を助けてくれる人なんて、あの人しかいなかったから。
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