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第三章 覚醒

【二十七】出生(左京)

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『おや?左京、もう起きておったのか?』

眠れと言われていたものの、結局横になって考え事をしていただけの俺は、師匠の気配に気づいて体を起こして出迎えた。

「お帰りなさいませ、
どちらに行かれていたのですか?」

『おぉ、味方は多いほうがいいと思ってな、ワシの師匠に話をつけてきたところじゃ。それでこれからどうするか…ワシはお主の右京を封印することが先決ではないかと思っておる。その為には恐山に行かなくてはならなくてな、お主を連れて行きたいが途中で右京が出てきたら厄介なことになるし…お主には佐助の元へと行って、情報を流してもらいたい。勿論できる範囲で構わぬし、基本は佐助の忠実な部下として振舞ってもらってかまわぬ。半年に一度、満月の夜、ワシの墓にきてくれるか?そこに掴んだ情報を文に記して残してくれたら回収することにする。』

「わかりました、国復興の為に全力を尽くします。どうか、ご無理をされませぬよう。」

右京の存在は確かに厄介だ。
月に一度しか出てこないとはいえ、佐助殿がいればいとも容易く出てきてしまう…。右京が消えない限り俺はいつか、乗っ取られてしまうのではないかという恐怖に支配され、またいつ佐助殿の言葉に惑わされるかもしれない…。

『左京よ、別れる前に…今からお主の出生について話しておこうと思う。聞く覚悟はあるか?』

出生の秘密?何故に今その話をするのだろうか。今回の件に俺の出生の秘密が関わっているのか?俺は黙って頷くと、師匠の言葉を待った。

『お主は…暁国領主の血を引く者。お主の父と母は、お主が仕えておったこの城の領主夫妻。灘姫はお主の姉ということじゃな。』

師匠は何を言っているのだ?予想もしていなかった言葉の数々に俺は言葉を失い、体から血の気が引いていくのを感じた。俺が領主の子供…?俺は…自分の家族を殺し、姉を誘拐し国を滅ぼしたというのか…?何故、どうして…やっと心が落ち着いてきたところにこんな話を聞かされて、俺は佐助殿のところに行って正常な判断ができるのか…?

俺の様子を判断するように、こちらを見つめている才蔵師匠…。返す言葉が見つからないまま時間だけが経っていく。

『何故、このような状況の時にこんな話をするのか…と混乱しておるじゃろう。実はな…昨日、奥方様がこの話を右京にしてしもうたのじゃ…そして、奥方様は佐助とも繋がっており昨晩の騒動から生き延びておる。もしかすると、佐助のところで奥方様に会うこともあるかもしれぬからな。知らせぬ訳にもいかなかったのじゃ…左京よ、お主は何も悪くは無い!自分を責めることは少しもない!それだけは心に留めておいてくれるか?ワシはいつでも、何があってもお主の味方、それだけは覚えておいてくれ。』

俺の知らぬところでそんなことが…
事態は思ったよりも複雑で深刻。
これから俺はどうなっていくのだろうか…
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