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前編
13夢
しおりを挟む僕は父様の馬に乗せられたが、ジルは何も口出ししなかった。暫く沈黙が続き、最初に口を開いたのはジルだった。
「ショーンさん。もう、隠せないと思いますよ。その為に後ろに乗せたのでしょう?」
ジルが言っているのは明らかに僕の事だった。
「ああ、そうだな。ハル聞いてくれるか?」
「う、うん」
ちょっと上擦った声になってしまったけど、これは大事な事だ。
「私はハルの父親だが、それ以前にハルを恋愛感情で見ている。気づいていたと思うが、フードは誰にも見せたくないと言う独占欲からだ」
見せたくないのは知ってたけど、まさか恋愛感情がある上に独占欲だとは思ってなかったよ!
「私はハルに知られなければそのままでいようと思っていたが、さっきあいつにバラされてしまったからな。しかし、ジル殿下とハルの婚約の事も話さなくてはならなかったからちょうどいい」
は?え?イマナンテ?
「婚約って?……誰と、誰が?」
「私とハルがだよ」
えーー!てかジルはいきなり入ってきて、満面の笑みで言うなー!!
「父様なんで僕が……」
「私がハルを好きだとバレたからだよ。ハルに気づかれるまで、黙っているのを条件に婚約、もし、バレたら私とハルが肉体関係を持ってもいい事を条件に結婚だ。もうバレてしまっては私も抑えがきかないからな」
ナニソレ。てか僕は父様とやるの決定なの?てかジルと結婚したらジルともやるの?えーー。
「と、父様?僕は男……」
「ああ、知ってる。しかし、この国は同性婚が許されているのは前に話したよな?」
「確かに聞いた。でも、ジルは!?ジルと僕が結婚しても子供産めない!それか僕は愛人扱いなの?そんな結婚は嫌だ!」
「ハルに話していなかったのですか?」
ジルは驚いていた様に父様に聞いた。
「ああ。婚約の事を伝えてからと、コーデリアに言われてたからな」
「それなら仕方ないですね。……ハル、この国では同性婚が許されているからこそ、男同士でも子が産める薬がある。それに、私はハル以外を愛する気は無いよ」
え。子供できるの?てか、愛って……うっ。一気に恥ずかしく。
「顔を赤くして可愛いねハルは。今にでも襲いたい気分になるよ」
僕は赤くなった顔が一気に青ざめた。
「あははっ……そんなに固くならなくても今は襲わないよ。今はね」
今はって強調されたよ。
「ハルは成人したらジル殿下と結婚する。その時正式に好評されるが、アイザット家と、王家、それに関わる者はもう知らせてあるからな。心配する事はない」
いやいや、父様心配もなにも、まず父様の事は知っているのかい?特に母様は。
「父様、母様は父様の事知ってるの?」
「?ああ、随分前に知ってるぞ。私が打ち明けた時にはもう既に知っていたしな。それにやたら喜んでいたぞ」
母様、もしや貴方は腐っているのか。
「まあ、そんな訳だから、騎士団に戻って一息ついたら……」
父様、今ニヤって。しかもジルはジルでーーー
「ショーンさん、ハルの処女は私に譲って下さいね」
なんて言っている。なに?僕今日掘られるの!?やだやだやだ!絶対に痛いに決まってる!
「ああ、分かってる」
父様はジルに対して今は砕けた口調になっていた。
「父様、ジル。もしかして、今日って……」
僕がそう言うと、ずっと悪い笑みを浮かべていた。
やーだーーーー!!
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