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81『銀河連邦大使・2』

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時かける少女

81『銀河連邦大使・2』         

 


☆………銀河連邦大使2

 大使の船は大したものだ。

 最初はのんきにダジャレが出るほどのゆとりで、豪華なもてなしを受けた。

 船内には25メートルのバーチャルプールがあった。よほどの客船でもないかぎり25メ-トルプールは無い。たいてい、5メートルのバーチャルプールで、水流を作って距離感を出している。実感は25メートルでも、ハタから見ていると5メートルしかないので、なんだかプールに泳がされてますって感じで、見ばのいいもんじゃない。うんと昔の感覚で言うと、下りのエスカレーターを登って、永遠の階段を上っているような錯覚をするのに似ている。
 それが、この船ではリアルに25メートル。設定の仕方では、カリブや地中海の海も再現できて、一時間のつもりが三時間も泳いでしまった。

 泳いだ後は、マッサージをしてもらった。ファルコン・Zには電子マッサージ機があって、一瞬で凝りをほぐすのだけど、なんとも味気ない。実際人にやってもらって、少しずつ凝りがほぐれていくのは快感だった。
 プールもマッサージも大使がいっしょだった。水着の大使はモデルのように均整のとれたからだつきをしていて、同性のミナコが見てもほれぼれした。

「さ、あとはお食事にしましょう」

 食事は、流行りの古典日本料理。それも肩の凝らないバイキング式だったので、大使船のクルーといっしょになって、美味しく楽しい食事ができた。

 で、自然と会話も弾んでくる。

「あなたたちは、楽しむ天才ね」
 大使から、お褒めの言葉をいただいた。
「よかったら、お願いしてもいいかしら?」
「何でしょうか?」
「ベータ星に寄ってもらいたいの」
「ベータ星?」
「ええ、国王が亡くなられて、マリア王女が、とても気落ちしてらっしゃるの」
「そりゃ、お父さんが亡くなっては……」
 ミナコが庶民的な答をした。

「……女王になられるんですね」

 ミナホは、核心をついた答をした。

「そう、いろいろ難しい星だから、自信を無くして落ち込んでいらっしゃる。あなたたちが行って慰めてくれると嬉しいんだけど」
「それは……」
 ぜひ……と応えようとしたらミナホに先を越された。
「船長と相談してみます。航路については船長の権限ですから」
「ええ、もちろんそうでしょう。私からのお願いとしてお伝えくださいな」

 どうやら、その話が目的であったらしく、そのあとはうまくあしらわれて、三十分ほどで、ファルコン・Zに帰ってきた。

「さよかあ……あのオバハン、そんなこと言うてきよったんか」

 マーク船長の目が光った……。

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