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3 国王様に呼び出されました
しおりを挟む「どういう事か説明をしてもらおうか」
国王様に呼び出された私。宰相様も隣にいらっしゃる。あの後、私は引きずられるようにして国王様の元へと連れて来られてしまった。
そんな私を天井板をずらして上から心配そうに見守る第二王子殿下。相変わらず絶妙な距離を保ってくる。国王様は既に諦めているようだ。仕方ない。彼はここ数日、ずっとこんな調子だったのだから。
上から突き刺さる熱視線。
私の身を案じて固唾をのんで見守っていらっしゃるようだけど、そんな顔するくらいなら降りてきて! 今すぐ魅了魔法を解除させて!!
そんな私の無言の訴えにはサッと天井裏に身を隠すことで答えてくれる。意思の疎通がまったく出来ていない。
目が合ったことで照れたのだろう。天井裏を転がりまわる音がする。気が済んだのか再び天井板をずらして僅かに顔を出す。顔が赤い。そして埃のせいでいつもは真っ白な服が黒い。
第二王子殿下の変化は一目瞭然だった。当たり前だ。それを見越して私は彼を被験者に選んだのだから。
その結果、誰が見ても第二王子殿下の変化は知れ渡ることになり元凶の私が国王様に呼び出されることになった。本当に当然の結果だった。馬鹿だった。
終わった……と思った。
しかし、逃げることは許されない。自分で蒔いた種、というか自分でかけた魅了なのだから。処罰は免れないとしても、何とか魔法を解くための協力を得なくては。この状況を利用しようなどとは思わない。魔女としてのプライドだ。
仕方なく、私はこれまでの経緯を全て話すことにした。
「なるほど。事情は分かった。それならば仕方ない」
「……へ?」
意外なことに。国王様は怒ることもなく、冷静に話を聞いてくださった。隣の宰相様もウンウンと頷いていらっしゃる。
え。いいの? 問題ない……の?
「いやいやいや、仕方ないで許されることではないですよね!?」
あまりにあっさりと言い分を認めて貰えたせいで、むしろ自分から突っ込みを入れてしまった。いや、だって。
冷静に考えてみれば、王族に魅了魔法をかけるとか一番やっちゃいけないことだよね!? 手っ取り早いからとかいう理由で選んでいい相手ではなかったよね!?
「まあ、確かに王子を選んだのには問題があるが、その方の言い分にも一理ある。それに余は言っただろう『事情は分かった』と。先代が魔女を継いだとき、東の森が消滅した理由が今わかった」
そう言って見せられたのは国の地図。の魔法使用前、使用後。見事に森が消えていた。ちなみに私が産まれたのは使用後なのでこちらの地図しか見たことがないが、それはそれは自然の恵み溢れる豊かな森だったらしい。
今では見る影もないし地図にも載っていないけど。
おばあちゃ――ん! 何やってんの――!?
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