◆青海くんを振り向かせたいっ〜水野泉の恋愛事情

青海

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青海くんの困り顔

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 今日は日直で、その日ペアだった青海くんと一緒に日誌と、教室清掃が終了したことを教師に報告しに行き、そろそろ帰ろうかと話しながら教室に戻る。

 青海くんと教室に戻ると、教室には3人の女の子達が残っていた。

 女の子達は青海くんを見るなりコソコソと小声で何かを話している。

 「青海くん……ちょっといい?」

 そのうちの一人がおずおずと青海くんに声をかける。

 「えっ……何?」

 青海くんは戸惑ったように返事をする。

 女の子は青海くんのそばに寄り、少し後ろで残った二人が女の子を小声で応援し始める。

 ……嫌な時にもどってきちゃったかな……

 この場では私は部外者かな……

 誰の邪魔にもならないようにそっと自分の席まで行き、帰る準備を始める。

 
 
 「青海くんの事が好きなの。付き合って?」

 意を決したように女の子は青海くんに告白した。

 心のどこかがズキりと痛む。

 ……青海くんどうするのかな。

 少し離れた場所で青海くん達を眺める。

 「えっ、オレ?」

 青海くんは変な声を出すとそのまま黙ってしまう。

 ……付き合っちゃうのかな……

 そっと青海くんの顔色を伺おうとしてハッとする。

 ……青海くんすごい困ってる。

 さっきまでの青海くんとは打って変わって、白っぽい顔色をした青海くんが返事をした。

 「ごめん……オレそういうのわからないから。悪いけど……」

 「それでもいいからっ!」

 告白した女の子は引く気はないようだ。

 「そうだよ梨花はいい子だよっ!」

 後ろにいた女の子達まで加勢し始める。

 「お試しでもいいから付き合って?」

 梨花と言われた子はそう言いながら青海くんに詰め寄る。

 「イヤ……無理だって。オレには……」

 手で頭を押さえた青海くんは女の子からジリジリと距離を空けようとする。

 「試しに付き合ってみりゃいいじゃん、ねっ?」

 3人がかりで詰め寄られた青海くんが微かに震えていることに気づいた。

 青海くんは両手を握り込んで、何かに耐えるようだった。

 青海くん……。

 「ダメだったらすぐフってくれていいから、お願いっ」

 そう言いながら女の子は泣き始めてしまった。

 「えっ……?!」

 青海くんはぎくりとしたように女の子を見て固まってしまった。

 「女の子にここまで言わせて、付き合ってあげたっていいんじゃないの!?」

 残りの二人は何故か怒り始めてしまった。

 放課後の教室で3人の女の子達に囲まれている青海くん。

 「ごめん……」

 青海くんは真っ白な顔をして、俯いてしまった。

 ……青海くん困ってるな……

 
 この子達は青海くんを脅すような真似をしてまで付き合いたいのだろうか?

 女の子達に対する反感と共に青海くんが可哀想になる。




 「ごめんなさい、青海くん今私と付き合ってるから……」

 気づけば青海くんと女の子達の間に立ち、そう言っていた。

 青海くんに告白した女の子を見つめて微笑む。

 「水野さんと?……」

 頷くと女の子達はこそっと話をし始める。

 「……水野さんと付き合ってるんなら無理だよ。諦めよう?」


 青海くんに告白していた女の子達は、少しの間話し合っていたが諦めてくれたようだ。

 「分かった、もういいっ!」

 3人揃って、教室から出て行ってくれた。
 

 二人きりになった教室で私は鞄を持つ。

 「勝手にあんな事言っちゃったけど、よかった?」

 俯いていた青海くんに声をかける。
 
 「水野さん、ごめんね。オレのせいであんな嘘つかせちゃって……。オレ……どうしたらいいか分からなくって、助かったよ。ありがとう」

 青海くんはホッとしたように顔をあげる。

 「青海くんがイヤじゃなければしばらくは付き合ってるフリしようか。そうすればお互い告白されないで済むよ」

 そう提案すると青海くんはやっと少しだけ笑ってくれた。



 
 
 


 
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