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青海くんとのお付き合い!?
しおりを挟む「青海くん、一緒に帰ろう」
声をかけると青海くんは微妙な顔をする。
「えっ、なんで?オレ今日は真実と……」
何か言いかけている青海くんの腕を掴んで教室を出る。
「あ、ちょっとっ!?」
慌てたような声を出した青海くんに囁く。
「付き合ってるフリしないとまたあの子達に捕まっちゃうよ?」
そう言うと青海くんは思い出したようだ。
「ああ、そうだよね」
青海くんがそばを歩き始めたのを確認して腕を離す。
青海くん腕……私より細い……
いつも長袖を着ているので分かりづらいが青海くんは本当に細い。
青海くんと付き合っているという噂はあっという間に広がったようだ。
そのおかげで青海くんはそれ以降女の子に声をかけられる頻度が減ったようだ。
「水野さんのおかげだよ。ありがとう」
青海くんは無邪気に笑っていた。
「水野さん、帰りに買い物して行くから先帰ってていいよ」
帰り道に青海くんは買い物をしたいようだった。
「何買うの?おやつ?」
そう聞くと青海くんは
「うん。おばさん…じゃなくてお義母さんに牛乳買って帰ってくれって頼まれてて、あとオレの夕飯までのおやつだよ」
なんだか気になったのでついて行くことにした。
帰り道にあるスーパーで慣れた様子で牛乳とパンコーナーに寄った青海くんはメロンパンを買った。
「昔よりはいっぱいご飯食べさせて貰ってるのに夕飯までもたなくってさ……少し前まではこのパン1個で1日もってたのにな……」
照れ隠しなのか青海くんはそう言って笑う。
……パン1個で1日って……
ふっと真実に言われたことを思い出す。
前の預けられた先でちゃんと食事摂らせてもらえてなかったんだ……
笑っている青海くんを見ているとなんだか複雑な気分になった。
「青海くんそれだけで夕飯までもつの?」
よく考えれば兄の真実は家にいる時はもっと食べていると思う。
しょっちゅうお母さんにお腹が空いたと言っては何か作って貰っているし、足りない時は私の部屋にあるお菓子まで食べちゃうし。
兄に文句を言うと成長期だから仕方ないのだと悪びれもなく言われて……。
「うん、まあ前より自由に食べれるようになったからさ。冷蔵庫にお義母さんが何かしら作って置いて行ってくれてるから夕飯まではもつよ」
そう言いながら青海くんは困ったように笑った。
「あんまりお義母さん達に迷惑かけたくないから料理を覚えようと思ってさ、
今日は図書館で本借りてきたんだ。いつ一人になってもいいようにしておかないとね」
……。
★
青海くんに家の前まで送って貰う。
家に寄って行かないかと聞くが本を読みたいからと断られてしまった。
……多分早く帰って今日借りた料理の本を読むつもりなんだと思う。
青海くんは手を振って1人で帰って行った。
「ただいま」
家に入ると母の明るい声が台所から聞こえてきた。
「泉、おかえりなさい!おやつもうすぐできるから一緒にお茶にしましょうっ!着替えて手洗ってきなさいっ★」
「は~いっ」
2階の自室に帰り着替えを済ませる。
洗面所で手を洗いながら鏡に写った自分の姿を見つめる。
……青海くんはこれから1人でメロンパン食べながら本読むのかな……
なんだか切ないような気がした。
……いつ1人になってもいいように……か。
ふんわりといい匂いが漂ってきた。
匂いに釣られて台所に顔を出すと母がパンケーキを焼いてくれていた。
「お母さん、わたしにもお菓子の作り方教えて?それからご飯作るの今日から手伝わせてっ」
そういうと母は驚いていたがうなづいてくれた。
私はパンケーキを頬張りながら、青海くんが帰って行く姿を思い出していた。
なぜか母は嬉しそうに微笑みながら私を見つめていた。
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