◆青海くんを振り向かせたいっ〜水野泉の恋愛事情

青海

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青海くんと一緒

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 穏やかに時間は流れて、高校2年の夏間際のことだった。

 いつもと違う雰囲気に戸惑いながら夕飯を食べている時の事。

 父が言いにくそうに私たちに言う。

 「新しく会社を立ち上げることになってしばらく関西に行くことになったんだ」

 「は?それって……」

 真実と顔を見合わせて、父を見つめる。

 「ずっとではないんだけど、しばらくかかりそうなのよね」

 母も困ったように私たちを見つめた。

 「引っ越すの?私たち……」

 青海くんの顔が一瞬思い浮かぶ。
 ……せっかく仲良くなれたのに……

 「できればそうしたいんだけど2人ともせっかく高校入ったばかりだし、進学のこともあるしなあ……どうしたい?」

 父は真実を見つめた。

 真実はもう既に進学先を決めているみたいなのでそれを気にしているようだ。

 「俺は一人暮らしになってもいいからこっちに残るよ。今環境を変えたくないし」

 真実はあっさりそう言った。

 「泉だけでも一緒に来るかい?」

 父は今度は私を見つめた。
 
 「母さんもお父さんについて行くから、泉だけでも一緒に来たら?」

 母は心配なのか私を見つめる。

 「私も……学校変わりたくないから残りたい……」

 そう言うと2人ともため息を吐く。

 「そうよねえ。せっかく学校入ったんだし……。でも真実はともかく泉は女の子だしねぇ……」

 ……ついてこいって言われるのかな……

 視線を落とす。

 学校も変わりたくはないが何より……青海くんを1人にしたくなかった。

 

 「家はこのまま残すんだろ?だったら俺たち2人でここに住んでても変わらないんじゃないか?この家セキュリティーは完璧だし。それでも心配ならじいさんの所行ってもいいしさ」

 真実はそう言ってくれた。

 「でも2人ともご飯とかちゃんと……」

 母が口を挟むが真実は笑う。

 「それなら週に何度か誰か雇うとかさ、別にメシなんてどうとでもなるさ」

 「私もっ……もっとちゃんとごはん作れるように頑張るからっ!家事だって自分でやるから……ここに残りたいっ……」

 私も何とか自分の気持ちを伝えることができた。

 「……いずみ……」

 母が私の肩に触れた。

 「……せっかく青海くんとも少し仲良くなれたのに……」

 思わず呟くと母はそっと私の肩を撫でてくれた。

 「……そうよね。せっかく泉が……お父さん、今回は私達だけで行きましょうか。2人とももう小さな子じゃ無いし。おじいちゃんにも頼んでおけばまあ安心でしょ」

 父が微笑む。

 「2人の意見を尊重しよう、ただ自分の行動には責任を持ちなさい。あと困ったことがあったらすぐ連絡してきなさい」

 

 ★


 
 最初は真実と2人暮らしになる予定だったが、青海くんの義両親達も海外出張になってしまったようで、ならばいっそ一緒に暮らさせよう……親達の間でそう決まったようだ。

 7月の初め、父達は少し寂しそうに出張に行った。

 引き換えに青海くんが家にくる。

 少し大きめの旅行用バックひとつで青海くんが我が家にやってきた。

 「透、しばらくは一緒に暮らせるなっ!」

 真実は嬉しそうに青海くんの肩を抱いた。

 「うん、2人とも……よろしくねっ」

 青海くんが微笑む。

 


 「水野さんの家って大きいねえ。部屋もたくさんあるし……」

 青海くんを真実の隣の部屋に案内して、家の中を案内した。

 「私の部屋は真実の向かいだから何かあったらいつでも声掛けてね」

 「うん、ありがとう」

 青海くんを連れてキッチンやトイレ、お風呂にも連れて行く。

 

 「食事は週に3日はお手伝いさんが来てくれて、それ以外は自分たちでやることになったんだ。私が作るので良ければ青海くんの分も一緒に作ってもいい?」

 ドキドキしながら聞いてみる。
 あれからお母さんが料理を教えてくれたのでそこそこは作れるはずだ。

 「あっ、それなら俺オレにも手伝わせてよっ。オレどうせ帰宅部で暇だしさ。それで水野さんできたらオレにも料理教えてっ?」

 青海くんがそう言ってくれたので時間が合う時は2人で作ることになった。

 「今度オレの義両親が帰ってきたら何か作ってあげるんだっ!」 

 青海くんは楽しそうに笑う。

 そんな青海くんを見ているとこっちまで楽しい気分になれた。

 「じゃあ俺は帰り遅くなることが多いから片付け担当って事で」

 真実が面白そうな顔で青海くんの頬をつねる。

 「きっと上手くなってみせるから期待しててねっ」

 青海くんは私たちにそう言って胸を張った。

 

 青海くんの楽しそうな姿を見ているだけで元気になれるなあ。

 そう思いながら真実と青海くんが話しているのを眺めていた。

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