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春休み最終日
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「おはよう泉……今日何時ごろ出かけようか?」
朝起きてキッチンに行くと透と真実が既に起きていた。
真実は既に朝食を食べ終えていたらしく、のんびりとコーヒーを飲みながら朝のニュースを見ている。
「おはよう……お店開くの10時くらいだから……その少し前に家出ようか」
そう答えると透は嬉しそうに微笑んで、温かいココアを出してくれた。
「泉はパンとご飯どっちにする?」
そう聞かれて、透が座っていた場所を見る。
透は今朝はパンを食べているようだったので私もそうすることにした。
「あ、でも自分でやるから透は食べて?」
そういうが透は首を振った。
「久々に一緒の朝食でしょ、オレにやらせて」
「……ありがとう」
空いている席を眺める。
海はまだ寝ているようだ。
起こしてこようか迷っていると真実がぼそっとつぶやく。
「若いうちはいくらでも寝れるもんだよ。まあ起きるまで寝かせとけよ」
「なにそれ、真実だってまだ若いでしょ」
透が真実の一言に苦笑した。
……それもそうかと思い、私は透が用意してくれた朝食を食べる。
……なんだか3人の食卓は久しぶりな気がする。
穏やかで、ゆっくりとした時間を楽しみながら朝食を摂る。
朝食の用意は透がしてくれたので片付けは私が……そう言うが透は一緒にやってくれた。
最初は真実がやると言っていたのだが、『真実は昨日遅くまでオレに勉強教えてくれてたから、その代わりにオレがやるよ。ゆっくりしてて』と透が言って……ならば二人で……と一緒にやることにしたのだ。
二人並んで流しに立つ。
やっぱり透と一緒にいられるのは嬉しいし、幸せだ。
今日は一日……私が透を独り占めできる……そう思うと自然に笑顔になった。
★
「えっ!!オレだって泉と出掛けたいっ!!ねえ、いいでしょ透さん!!」
海がそう言いながら透に詰め寄り、腕を掴む。
出かける直前になって、わたしたちを見た海が騒ぎ始めたのだった。
「えっ……でも……」
透は困ったような顔で私を見た。
「泉……オレと出かけるの……イヤ?」
海がそう言いながら私の顔を見る。
「イヤっていうか……今日は元々透とデートの約束してたから……」
そう言い、海に諦めてもらおうと思った。
……今日の事は春休みに入る前から約束していた事だし、わたしはずっと楽しみにしていた。
透も楽しそうにしてくれていたし、今日は海には諦めてもらうしかない。
「っていうか泉と透さんって付き合ってたの!?どうして?泉ならもっと……」
海はそう言いながら透を睨む。
「っ……」
透は海の剣幕に押されたのか、海から視線を逸らす。
……透……困ってる……
今日ばかりは海には諦めてもらうしかない。
透では海に言いづらいだろう。
私は海に声を掛けようとした。
「さっきから聞いてたらなんだよ、お前透を……」
割って入ってきたのは真実だった。
真実には珍しく酷くイラついているようで、少し驚いた。
「シンジっ……オレの事はいいからっ……」
透は真実を引き留め、真実の怒りを抑えようとする。
「……泉……ごめん、また今度にしようか……」
透が悲しげな顔で笑った。
その隣で真実が、明らかに何か言いたそうな顔で私たちを見つめていた。
★
今日で春休みも終わりだというのに……なんの進展も……なかったな……
やっぱり、海に多少嫌な思いさせてでも透との約束を優先すれば良かった……
そう思うがもう遅い。
ぼんやりと透の部屋のドアを眺める。
結局今日は海とショッピングモールに出かけ、半日過ごしたのだが……
海はあの後は始終ご機嫌だったようで、ニコニコしていた。
出先でも楽しそうに過ごしていたし、何事もなかった。
夕方に家に帰ってみれば、真実と透の姿はなく……真実から携帯電話にメールが送られてきていた。
『透と少し出かけてきます。夕飯は出先でも食べるので用意は不要です』
形式的な連絡だ。
透は今日、代わりに真実と出かけたのだろう。
いいなあ……
透と出かけられたならもっと楽しかっただろうと思う。
付き合い始めて約2ヶ月半……デートをしたのは水族館以来だ。
……最近は一緒にいられる時間もあまりないし……
「いずみっ、今日楽しかったねえ!今度は遊園地にでも行こうよ!」
不意に顔を覗き込まれて密かに驚いてしまう。
……海と一緒に夕飯の準備をしていたところだった。
なんとも言えない気分になって、なんとか返事をしながら夕飯作りを終わらせる。
時計を見ると19時過ぎ……透たちはまだ帰ってこない。
夕飯を食べて帰ると連絡もあったし、もう少し遅くなるのかな……
海と二人で夕飯を食べ始める。
★
『ただいま』
玄関から真実と透の声が聞こえてきて、思わず立ち上がりそうになる。
……すぐにでも迎えに行きたかったが、海の話を遮ることができなかった。
やがて真実と透がキッチンに入ってくる。
「ただいま、泉……今日はごめんね。アイス買って来たから……後で食べて」
透はそう言うと、冷凍庫にアイスをしまう。
真実は気のせいか、私たちから透を守るかのように立ち、二人は部屋に戻っていった。
「……」
……なんでだろう。
透と僅かに……距離ができてしまった気がした。
朝起きてキッチンに行くと透と真実が既に起きていた。
真実は既に朝食を食べ終えていたらしく、のんびりとコーヒーを飲みながら朝のニュースを見ている。
「おはよう……お店開くの10時くらいだから……その少し前に家出ようか」
そう答えると透は嬉しそうに微笑んで、温かいココアを出してくれた。
「泉はパンとご飯どっちにする?」
そう聞かれて、透が座っていた場所を見る。
透は今朝はパンを食べているようだったので私もそうすることにした。
「あ、でも自分でやるから透は食べて?」
そういうが透は首を振った。
「久々に一緒の朝食でしょ、オレにやらせて」
「……ありがとう」
空いている席を眺める。
海はまだ寝ているようだ。
起こしてこようか迷っていると真実がぼそっとつぶやく。
「若いうちはいくらでも寝れるもんだよ。まあ起きるまで寝かせとけよ」
「なにそれ、真実だってまだ若いでしょ」
透が真実の一言に苦笑した。
……それもそうかと思い、私は透が用意してくれた朝食を食べる。
……なんだか3人の食卓は久しぶりな気がする。
穏やかで、ゆっくりとした時間を楽しみながら朝食を摂る。
朝食の用意は透がしてくれたので片付けは私が……そう言うが透は一緒にやってくれた。
最初は真実がやると言っていたのだが、『真実は昨日遅くまでオレに勉強教えてくれてたから、その代わりにオレがやるよ。ゆっくりしてて』と透が言って……ならば二人で……と一緒にやることにしたのだ。
二人並んで流しに立つ。
やっぱり透と一緒にいられるのは嬉しいし、幸せだ。
今日は一日……私が透を独り占めできる……そう思うと自然に笑顔になった。
★
「えっ!!オレだって泉と出掛けたいっ!!ねえ、いいでしょ透さん!!」
海がそう言いながら透に詰め寄り、腕を掴む。
出かける直前になって、わたしたちを見た海が騒ぎ始めたのだった。
「えっ……でも……」
透は困ったような顔で私を見た。
「泉……オレと出かけるの……イヤ?」
海がそう言いながら私の顔を見る。
「イヤっていうか……今日は元々透とデートの約束してたから……」
そう言い、海に諦めてもらおうと思った。
……今日の事は春休みに入る前から約束していた事だし、わたしはずっと楽しみにしていた。
透も楽しそうにしてくれていたし、今日は海には諦めてもらうしかない。
「っていうか泉と透さんって付き合ってたの!?どうして?泉ならもっと……」
海はそう言いながら透を睨む。
「っ……」
透は海の剣幕に押されたのか、海から視線を逸らす。
……透……困ってる……
今日ばかりは海には諦めてもらうしかない。
透では海に言いづらいだろう。
私は海に声を掛けようとした。
「さっきから聞いてたらなんだよ、お前透を……」
割って入ってきたのは真実だった。
真実には珍しく酷くイラついているようで、少し驚いた。
「シンジっ……オレの事はいいからっ……」
透は真実を引き留め、真実の怒りを抑えようとする。
「……泉……ごめん、また今度にしようか……」
透が悲しげな顔で笑った。
その隣で真実が、明らかに何か言いたそうな顔で私たちを見つめていた。
★
今日で春休みも終わりだというのに……なんの進展も……なかったな……
やっぱり、海に多少嫌な思いさせてでも透との約束を優先すれば良かった……
そう思うがもう遅い。
ぼんやりと透の部屋のドアを眺める。
結局今日は海とショッピングモールに出かけ、半日過ごしたのだが……
海はあの後は始終ご機嫌だったようで、ニコニコしていた。
出先でも楽しそうに過ごしていたし、何事もなかった。
夕方に家に帰ってみれば、真実と透の姿はなく……真実から携帯電話にメールが送られてきていた。
『透と少し出かけてきます。夕飯は出先でも食べるので用意は不要です』
形式的な連絡だ。
透は今日、代わりに真実と出かけたのだろう。
いいなあ……
透と出かけられたならもっと楽しかっただろうと思う。
付き合い始めて約2ヶ月半……デートをしたのは水族館以来だ。
……最近は一緒にいられる時間もあまりないし……
「いずみっ、今日楽しかったねえ!今度は遊園地にでも行こうよ!」
不意に顔を覗き込まれて密かに驚いてしまう。
……海と一緒に夕飯の準備をしていたところだった。
なんとも言えない気分になって、なんとか返事をしながら夕飯作りを終わらせる。
時計を見ると19時過ぎ……透たちはまだ帰ってこない。
夕飯を食べて帰ると連絡もあったし、もう少し遅くなるのかな……
海と二人で夕飯を食べ始める。
★
『ただいま』
玄関から真実と透の声が聞こえてきて、思わず立ち上がりそうになる。
……すぐにでも迎えに行きたかったが、海の話を遮ることができなかった。
やがて真実と透がキッチンに入ってくる。
「ただいま、泉……今日はごめんね。アイス買って来たから……後で食べて」
透はそう言うと、冷凍庫にアイスをしまう。
真実は気のせいか、私たちから透を守るかのように立ち、二人は部屋に戻っていった。
「……」
……なんでだろう。
透と僅かに……距離ができてしまった気がした。
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