◆青海くんを振り向かせたいっ〜水野泉の恋愛事情

青海

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真実と透

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 「それで……透と付き合うことになったのか?」

 ヴァレンタインの翌日、青海くん……透がアルバイトに出かけてしまうなり真実に聞かれる。

 「うん、断る理由なんてないもん。去年からずっと……好きだったし……」

 なんとなく自分の気持ちを真実に言うのが照れくさくって、視線を落とす。

 「そっか。よかったな、透のこと……大事にしろよ」

 気のせいか、ため息を吐くようにそう言った真実は私の肩に触れた。

 


 ★



 透と付き合い始めたからといって、そんなに私たちは変わることもなかった。

 学校からの帰り道も一緒に帰っていたし、食事の用意も二人でしたり、透のアルバイトが終わる時間を見計らってスーパーに買い物に行き、一緒に帰ってきたり……。

 目が合うとお互い照れてしまって笑い合ったり……変わったといえば手を繋ぐことが増えた事ぐらいだろうか。

 
 
 そんな感じで特に進展もなく過ごしていたある日の晩、真実が楽しそうに透の部屋から出てくるところに出くわした。

 真実と透は正直羨ましいと思うほど仲が良い。

 透が真実を先生のように思っているのもそうなのだが、真実も透の事をいやに構いたがるし……。

 最近は真実が透の部屋に入り浸っていることも多い。

 男の子同士ってそんなものなのかもしれないが……私だって透と一緒にいたいのに……そう思うことが度々あった。

 


 「あ、ちょっとシンジっ!!」

 真実の出てきた直後に透が真実を追いかけて部屋から飛び出してくる。

 「なんだよ、いいから持ってろって。腐るもんでもないし、絶対必要になるからっ」

 真実はそう言いながら透の肩を抱く。

 「って……しないってば!!」

 透は赤い顔で睨んでいるが真実には通じていない。

 「いいからいいから、な、とりあえず持っとけよ」

 楽しそうに透の頭を撫で回している真実……正直羨ましい。

 

 そんな二人を見ていると透が私に気づく。

 「みっ!……泉っ……」

 赤い顔で私の名を呼ぶ透……透は時々私を水野さんと呼ぶ。

 まあ付き合い始めたばかりだからそこは諦めていたが……

 私に気づき、驚いたような声を上げられたのはなんだか少しショックだ。

 透は慌てたように手に持っていた何かをポケットに突っ込み、真実に視線を送る。

 真実は真実でしらじらしく透の肩を叩くとそのまま自分の部屋に戻ってしまった。

 
 二人っきりになった廊下で、なんだか少しきまづくなってしまうが、気を取り直して透に話しかけた。
 
 「どうしたの?真実にまた何かされたの?」

 そう聞くと透は困ったように笑う。

 「……ん、そんなところ……なのかな……」

 ……真実になにをされたのか気になりところだが、あまり触れてほしくなさそうだったので話題を変えることにした。

 「透……今日夕飯なに食べたい?そろそろ買い物に行こうと思うんだけど……」

 「あっ、それなら一緒に行くよ。折角だから少しお散歩してこようか」

 透は楽しそうに笑ってくれた。

 


 ★



 冬の寒さが少し和らいだ散歩道を二人で歩く。

 透はあちこち眺めては楽しそうに微笑んでいた。

 「オレ……このぐらいの時期が一番好きなんだ。……色んな生き物が、春が来るのを待っている……なんかそわそわして待ち遠しいって言うのかな……」

 梅の木の蕾が膨らんでいるのに気づいた透は……なぜか少しだけ寂しそうに見えた。

 「春がきたらお花見に行きたいね」

 私はそう言い、透の手を握る。
 
 「いいね、真実も誘ってみんなで来ようね」

 透は楽しそうに笑った。

 


 「透はお肉とお魚どっちが好き?」

 スーパーで買い物カゴを持ってくれた透に聞くと『うーん』と少しの間迷っていた。

 「オレはどっちも好きだよ。でもそうだねえ……今日真実が肉食べたいって言ってたから唐揚げでも作ろうか。そういえばオレ、旨い唐揚げの作り方教えてもらったから作ってあげるよっ」

 そう言いながら腕まくりをする素振りを見せる透……。

 ……透ってばいつも真実のことばっかりだ。

 折角好きだとは言ってもらえたけれど、真実に勝てるようになるのはいつ頃かしら?

 ほんの少しやきもちを焼きながらも、透が少し元気になってくれたのが嬉しかった。 



 
 
 

 
 
 
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