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すれ違い
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…痛い…
起きようとして酷く頭が痛むのに気づいた。
それにやけに身体が怠い…
…昨日…真実と呑みに行って…それから…
部屋の中がやけに明るいことに気づく。
ハッとして枕元の時計を見る。
…今、何時だっ!?
目覚まし時計は10時を示していた。
…意識が一瞬で覚める。
泉…!?
隣には既に誰もいない。
昨日…別々に寝てないよな!?
痛む頭を押さえながら慌てて泉の寝室を覗くが彼女の姿はなく…。
ぼんやりとキッチンに向かう。
喉が渇いていることに気づき、コップに水を汲んで飲み干す。
…泉…ちゃんと仕事に行ったのか…
ふとテーブルの上に書き置きが残されているのに気づく。
…泉からだ…
ー透へ。おはようございます。今日も帰るの遅くなります。体調はどうかな?ご飯作って冷蔵庫に入れておくので食べれるようになったら食べてね。あ、あと出来るだけ今日は早く帰れるようにするから一緒にごはん食べようね。では行ってきますー
冷蔵庫を開けると泉が作っていってくれたサラダやオムライスが入っていた。
…朝からわざわざ作って行ってくれたのだろう…
悪い事をしてしまったな…
…自己嫌悪で一杯だった。
ソファーに座って昨日のことを思い出そうとしたが無理そうだったので真実にメールを送る。
昨日のお礼と、昨日の自分の様子が知りたいと送るとすぐに返事が返ってきた。
…情けない…
どうやら昨日酔った挙句に真実に家まで送ってもらったらしい。
…しかも泣きながら泉に淋しいと言って抱きついていたらしく…
…最悪だ。
…大分死にたくなった。
酔って帰った挙句に泉にその介抱させたとか…バカすぎるにも程がある。
…泉に…呆れられたかもしれない…
ソファーに突っ伏しているとニャーンとすずしろが鳴きながら歩いてきた。
「…すずしろ…オレ…もうダメかも…」
そう言うとすずしろがしっぽでパタパタと顔をたたいてくる。
そのまましばらくすずしろとソファーで寝転んでいた。
柔らかなすずしろのしっぽの感触に少しだけ元気づけらながら起き上がる。
…とりあえずせっかく泉が作って行ってくれたんだし…ご飯食べよう。
★
「ただいま~っって透!?」
今日はすずしろが玄関に走っていくのを追いかけたので泉がドアを開ける前に玄関に着くことができた。
…すずしろってすごいっ!
「泉…お帰りなさい!…昨日は迷惑かけちゃってごめんね!!あとごはん作って行ってくれてありがとう。旨かったよ」
帰ってきた泉に真っ先に謝る。
「えっ…全然迷惑なんかじゃ無かったよ。…むしろ……だったし…」
泉が赤い顔をしながら小さな声で何かを言ったが聞こえなかった。
「…?…今日はそのお詫びに夕飯手を掛けてみたんだ、食べてみてよっ!」
泉の寝室に入り、着替えを手伝って…後ろから泉を抱きしめようとして…気づいたことがあった。
…泉…匂いがいつもと違う…
…どこかでお風呂にでも入ってきたのだろうか?
…心の奥底に…ひんやりとした何かが広がっていくのを感じた…
そっと泉から離れる。
「泉…先にお風呂に入る?それともご飯先がいい?」
「ん…じゃあ先にお風呂に入って来ようかな?透も一緒に入る?」
「…いや…今日は起きるの遅かったせいで…仕事進んでないんだ…。後にするから…入っておいで…」
…なんとか笑って泉に着替えを渡す。
……。
★
今日は仕事に集中したいからと言って泉を自分の部屋で寝かせた。
……。
真実の言う通り泉はジムにでも通い始めたのかもしれないし…
何とか自分を納得させようとした。
…泉が誰かと…浮気だなんて…
…するはずないよね…
気づけばアラームが鳴っている。
朝になっていた。
…今日こそは泉をちゃんと送り出さないと…
…朝ご飯を作り、泉を起こしにいく。
部屋のドアをノックしようとして、ボソボソと小さな声で泉が誰かと話をする声が聞こえた。
…電話?
…少し待って、泉の声が聞こえなくなったところを見計らってドアをノックして入る。
「透…おはよう、起きたから…もう大丈夫だよ?」
泉がにっこりと笑った。
パンを焼いて泉に渡す。
「ありがとうっ」
泉はニコニコしながらご飯を食べている。
「泉…今日も…遅いの?」
不意に泉の携帯が鳴り響く。
「あ、ちょっとごめんね」
泉が携帯を持ってキッチンを出て行った。
「……」
ご飯を食べ終えたすずしろが擦り寄ってくる。
「すずしろ…」
すずしろを抱き上げて撫でる。
すずしろは喉を鳴らしながら目を細めて、しばらく撫でられていた。
……。
「じゃあ透…行ってくるねっ」
泉がコートを羽織って鞄を背負った。
「泉…今日も遅いの?」
泉の首にマフラーを巻きながら聞く。
「…もう…あとちょっとだから、少しだけ我慢して?」
困ったように泉は微笑んで、頬にキスしてくれた。
「…無理…するなよ?」
何とか返事をして…泉を玄関まで見送る。
ドアから出て行こうとする泉を思わず抱き寄せて、思いっきり抱きしめた。
「…透…?」
「…泉…愛してるよ…」
何とかそれだけ伝えて…泉の身体を離した。
「じゃあ…行ってきます」
泉は玄関から出て行く。
……。
昼過ぎ…泉から今晩は実家に泊まると連絡が入った。
…分かったとだけ返信して、携帯をベットの上に放り投げた。
……
起きようとして酷く頭が痛むのに気づいた。
それにやけに身体が怠い…
…昨日…真実と呑みに行って…それから…
部屋の中がやけに明るいことに気づく。
ハッとして枕元の時計を見る。
…今、何時だっ!?
目覚まし時計は10時を示していた。
…意識が一瞬で覚める。
泉…!?
隣には既に誰もいない。
昨日…別々に寝てないよな!?
痛む頭を押さえながら慌てて泉の寝室を覗くが彼女の姿はなく…。
ぼんやりとキッチンに向かう。
喉が渇いていることに気づき、コップに水を汲んで飲み干す。
…泉…ちゃんと仕事に行ったのか…
ふとテーブルの上に書き置きが残されているのに気づく。
…泉からだ…
ー透へ。おはようございます。今日も帰るの遅くなります。体調はどうかな?ご飯作って冷蔵庫に入れておくので食べれるようになったら食べてね。あ、あと出来るだけ今日は早く帰れるようにするから一緒にごはん食べようね。では行ってきますー
冷蔵庫を開けると泉が作っていってくれたサラダやオムライスが入っていた。
…朝からわざわざ作って行ってくれたのだろう…
悪い事をしてしまったな…
…自己嫌悪で一杯だった。
ソファーに座って昨日のことを思い出そうとしたが無理そうだったので真実にメールを送る。
昨日のお礼と、昨日の自分の様子が知りたいと送るとすぐに返事が返ってきた。
…情けない…
どうやら昨日酔った挙句に真実に家まで送ってもらったらしい。
…しかも泣きながら泉に淋しいと言って抱きついていたらしく…
…最悪だ。
…大分死にたくなった。
酔って帰った挙句に泉にその介抱させたとか…バカすぎるにも程がある。
…泉に…呆れられたかもしれない…
ソファーに突っ伏しているとニャーンとすずしろが鳴きながら歩いてきた。
「…すずしろ…オレ…もうダメかも…」
そう言うとすずしろがしっぽでパタパタと顔をたたいてくる。
そのまましばらくすずしろとソファーで寝転んでいた。
柔らかなすずしろのしっぽの感触に少しだけ元気づけらながら起き上がる。
…とりあえずせっかく泉が作って行ってくれたんだし…ご飯食べよう。
★
「ただいま~っって透!?」
今日はすずしろが玄関に走っていくのを追いかけたので泉がドアを開ける前に玄関に着くことができた。
…すずしろってすごいっ!
「泉…お帰りなさい!…昨日は迷惑かけちゃってごめんね!!あとごはん作って行ってくれてありがとう。旨かったよ」
帰ってきた泉に真っ先に謝る。
「えっ…全然迷惑なんかじゃ無かったよ。…むしろ……だったし…」
泉が赤い顔をしながら小さな声で何かを言ったが聞こえなかった。
「…?…今日はそのお詫びに夕飯手を掛けてみたんだ、食べてみてよっ!」
泉の寝室に入り、着替えを手伝って…後ろから泉を抱きしめようとして…気づいたことがあった。
…泉…匂いがいつもと違う…
…どこかでお風呂にでも入ってきたのだろうか?
…心の奥底に…ひんやりとした何かが広がっていくのを感じた…
そっと泉から離れる。
「泉…先にお風呂に入る?それともご飯先がいい?」
「ん…じゃあ先にお風呂に入って来ようかな?透も一緒に入る?」
「…いや…今日は起きるの遅かったせいで…仕事進んでないんだ…。後にするから…入っておいで…」
…なんとか笑って泉に着替えを渡す。
……。
★
今日は仕事に集中したいからと言って泉を自分の部屋で寝かせた。
……。
真実の言う通り泉はジムにでも通い始めたのかもしれないし…
何とか自分を納得させようとした。
…泉が誰かと…浮気だなんて…
…するはずないよね…
気づけばアラームが鳴っている。
朝になっていた。
…今日こそは泉をちゃんと送り出さないと…
…朝ご飯を作り、泉を起こしにいく。
部屋のドアをノックしようとして、ボソボソと小さな声で泉が誰かと話をする声が聞こえた。
…電話?
…少し待って、泉の声が聞こえなくなったところを見計らってドアをノックして入る。
「透…おはよう、起きたから…もう大丈夫だよ?」
泉がにっこりと笑った。
パンを焼いて泉に渡す。
「ありがとうっ」
泉はニコニコしながらご飯を食べている。
「泉…今日も…遅いの?」
不意に泉の携帯が鳴り響く。
「あ、ちょっとごめんね」
泉が携帯を持ってキッチンを出て行った。
「……」
ご飯を食べ終えたすずしろが擦り寄ってくる。
「すずしろ…」
すずしろを抱き上げて撫でる。
すずしろは喉を鳴らしながら目を細めて、しばらく撫でられていた。
……。
「じゃあ透…行ってくるねっ」
泉がコートを羽織って鞄を背負った。
「泉…今日も遅いの?」
泉の首にマフラーを巻きながら聞く。
「…もう…あとちょっとだから、少しだけ我慢して?」
困ったように泉は微笑んで、頬にキスしてくれた。
「…無理…するなよ?」
何とか返事をして…泉を玄関まで見送る。
ドアから出て行こうとする泉を思わず抱き寄せて、思いっきり抱きしめた。
「…透…?」
「…泉…愛してるよ…」
何とかそれだけ伝えて…泉の身体を離した。
「じゃあ…行ってきます」
泉は玄関から出て行く。
……。
昼過ぎ…泉から今晩は実家に泊まると連絡が入った。
…分かったとだけ返信して、携帯をベットの上に放り投げた。
……
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