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冬の桜
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「透、桜だっ……」
TVを観ていたはずの泉が唐突にそんな事を言い始める。
「桜って、まだ早いよ。さすがにまだ…」
洗い物を終わらせ手を拭きながら振り返る。
ああ、河津桜か…
泉が観ている旅行番組で静岡にある河津桜が紹介されている。
「伊豆か。そんなに遠くでもないし、行ってみようか。ちょうど明日から休みでしょ?」
「うん、行きたいっ」
泉が嬉しそうに笑った。
泉の笑顔はやっぱりかわいい。
★
「あ、マリにゃんっ!」
道の駅マリンタウンで休憩をしていたらマスコットキャラクターのマリにゃんの着ぐるみが向こうから歩いてきた。
「透、一緒に写真撮って貰おうっ?」
泉が携帯電話を取り出しながら立ち上がる。
「撮ってあげるよ?」
そういうが泉は首を振った。
「一緒に撮って貰おうよ、ね?」
……少し気恥ずかしいが泉がそう言うなら……
二人でマリにゃんを挟むようにして、係の人に写真を撮ってもらった。
「マリにゃん、ありがとうっ」
泉はすごく嬉しそうだった。
二人で海鮮丼を食べ、河津桜を目指す。
泉は車の中でもご機嫌だった。
「高校の時もマリにゃんと一緒に写真撮ったよねっ」
高校三年の夏休み、泉に誘われてじいちゃんが保有する別荘に一週間ほど遊びに来たことがあった。
「そうだね。真実と3人で来たね、懐かしいなあ」
あの頃は泉と結婚できるなんて思ってもみなかった。
隣で窓の外を眺めている泉を見る。
綺麗になったな……
「ん?どうしたの?」
視線に気づいた泉が振り返ったので微笑む。
「いや……疲れてない?」
「私なんかただ座ってるだけだから全然、透の方が疲れてない?」
気遣ってくれるが車の運転は好きだったし、泉とのお出掛けは楽しいし苦にはならない。
★
「すごい綺麗っ!!」
泉が河津桜を見上げながら目を細める。
天気が良くて、桜もとても綺麗だ。
満開の桜に喜ぶ泉は愛らしくって、かわいい。
桜を眺めるフリをしながら、泉に見惚れていた。
二人でゆっくり川沿いを歩く。
日差しがあるおかげでそんなに寒くなくて、気持ちがいい。
空を見上げれば雲の代わりに薄ピンク色の桜が咲き乱れていて何だか心がふわふわする。
「ねえ、透……」
泉が唐突に立ち止まる。
「んっ?どうしたの?」
桜を見上げるのをやめて視線を泉に戻す。
「あの……何っていうのか……」
なぜかモジモジと赤い顔をしている泉。
「……?トイレにでも行きたい?確かさっきあっちに」
歩いている途中に確か……
来た道を戻ろうとすると泉に腕を掴まれる。
「……そうじゃなくって、あのっ」
泉がなにか言いにくそうにしている。
「どうしたの?泉?」
立ち止まって顔を近づける。
泉は辺りを眺めたかと思ったら背伸びをして……キスしてくれた。
「いっ、いずみ?」
少し驚いて泉を見つめると赤い顔をした彼女は照れたように笑った。
「何となく……我慢できなかったの」
「……!!」
たまらなかった。
泉の手を取り、そっと人気のなかった桜の木の下に移動する。
「透?」
「好きだよ、泉」
桜の木に泉の背を押しつけてそっとキスをする。
……ああ、好きで好きでたまらない。
そのまま何度かキスをして、抱きしめる。
それだけで身体が熱くなっていく。
「泉……車に戻ろう?」
泉の瞳を見つめると意図を察知したのか泉が赤い顔でうなづく。
駐車場に戻り後部座席に泉を乗せる。
置いてあった毛布を被り、泉を抱きしめる。
泉が首に腕を回し、抱き返してくれた。
……ああ、本当に綺麗だ。
泉と唇を合わせながらそう思っていた。
★
「泉…あんまり桜見れなかったね。ごめん」
服の乱れを直している泉に謝る。
「ううん、ぜんぜん……来れて良かったよ」
泉が微笑むのを見ているとやっぱり可愛くて仕方なくなる。
「泉、もう一回キスさせて」
泉は照れながら笑う。
ああ、幸せ過ぎるっ!!
TVを観ていたはずの泉が唐突にそんな事を言い始める。
「桜って、まだ早いよ。さすがにまだ…」
洗い物を終わらせ手を拭きながら振り返る。
ああ、河津桜か…
泉が観ている旅行番組で静岡にある河津桜が紹介されている。
「伊豆か。そんなに遠くでもないし、行ってみようか。ちょうど明日から休みでしょ?」
「うん、行きたいっ」
泉が嬉しそうに笑った。
泉の笑顔はやっぱりかわいい。
★
「あ、マリにゃんっ!」
道の駅マリンタウンで休憩をしていたらマスコットキャラクターのマリにゃんの着ぐるみが向こうから歩いてきた。
「透、一緒に写真撮って貰おうっ?」
泉が携帯電話を取り出しながら立ち上がる。
「撮ってあげるよ?」
そういうが泉は首を振った。
「一緒に撮って貰おうよ、ね?」
……少し気恥ずかしいが泉がそう言うなら……
二人でマリにゃんを挟むようにして、係の人に写真を撮ってもらった。
「マリにゃん、ありがとうっ」
泉はすごく嬉しそうだった。
二人で海鮮丼を食べ、河津桜を目指す。
泉は車の中でもご機嫌だった。
「高校の時もマリにゃんと一緒に写真撮ったよねっ」
高校三年の夏休み、泉に誘われてじいちゃんが保有する別荘に一週間ほど遊びに来たことがあった。
「そうだね。真実と3人で来たね、懐かしいなあ」
あの頃は泉と結婚できるなんて思ってもみなかった。
隣で窓の外を眺めている泉を見る。
綺麗になったな……
「ん?どうしたの?」
視線に気づいた泉が振り返ったので微笑む。
「いや……疲れてない?」
「私なんかただ座ってるだけだから全然、透の方が疲れてない?」
気遣ってくれるが車の運転は好きだったし、泉とのお出掛けは楽しいし苦にはならない。
★
「すごい綺麗っ!!」
泉が河津桜を見上げながら目を細める。
天気が良くて、桜もとても綺麗だ。
満開の桜に喜ぶ泉は愛らしくって、かわいい。
桜を眺めるフリをしながら、泉に見惚れていた。
二人でゆっくり川沿いを歩く。
日差しがあるおかげでそんなに寒くなくて、気持ちがいい。
空を見上げれば雲の代わりに薄ピンク色の桜が咲き乱れていて何だか心がふわふわする。
「ねえ、透……」
泉が唐突に立ち止まる。
「んっ?どうしたの?」
桜を見上げるのをやめて視線を泉に戻す。
「あの……何っていうのか……」
なぜかモジモジと赤い顔をしている泉。
「……?トイレにでも行きたい?確かさっきあっちに」
歩いている途中に確か……
来た道を戻ろうとすると泉に腕を掴まれる。
「……そうじゃなくって、あのっ」
泉がなにか言いにくそうにしている。
「どうしたの?泉?」
立ち止まって顔を近づける。
泉は辺りを眺めたかと思ったら背伸びをして……キスしてくれた。
「いっ、いずみ?」
少し驚いて泉を見つめると赤い顔をした彼女は照れたように笑った。
「何となく……我慢できなかったの」
「……!!」
たまらなかった。
泉の手を取り、そっと人気のなかった桜の木の下に移動する。
「透?」
「好きだよ、泉」
桜の木に泉の背を押しつけてそっとキスをする。
……ああ、好きで好きでたまらない。
そのまま何度かキスをして、抱きしめる。
それだけで身体が熱くなっていく。
「泉……車に戻ろう?」
泉の瞳を見つめると意図を察知したのか泉が赤い顔でうなづく。
駐車場に戻り後部座席に泉を乗せる。
置いてあった毛布を被り、泉を抱きしめる。
泉が首に腕を回し、抱き返してくれた。
……ああ、本当に綺麗だ。
泉と唇を合わせながらそう思っていた。
★
「泉…あんまり桜見れなかったね。ごめん」
服の乱れを直している泉に謝る。
「ううん、ぜんぜん……来れて良かったよ」
泉が微笑むのを見ているとやっぱり可愛くて仕方なくなる。
「泉、もう一回キスさせて」
泉は照れながら笑う。
ああ、幸せ過ぎるっ!!
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