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しおりを挟む凛の方は、順調に高校生活2回目の修学旅行に向けて準備をしていたところで、元親友である明穂が、湊と付き合うことになったことを知ることになった。
引っ越してから連絡を取り合っている友達が、なんてことないように教えてくれたのだ。
特に知りたくもないことだったが、色々あったのを凛のせいにして意気投合して付き合い始めたようだと知らされて、腹が立たないわけがない。
(は? 何で私のせいで、付き合うことになるのよ。意味わからない)
そんなことを思ってしまったが、どっちも、どっちで、似ていたようだ。
明穂は、凛がいなくなってからも止まらぬまま、散々なまでに凛の悪口を言う日々を送っていたようだ。それについては、暴れっぷりを見ていて、あれが本性であり小中と散々なまでにやってきた目撃者もいたため、自分に不都合なことが起こるとそうなる人のようだ。
湊も、明穂のしていたことで、凛と別れることになったようなもののはずなのに。凛が全て悪いということにして、同じように凛の悪口を言い続けていることで、意気投合した二人が付き合うことになったようだ。
(何で、それで付き合うのよ。意味がわからないな。不思議な人たち)
どうやら、凛に何をしていたかを知ることになって、明穂は総スカンをされて無視されることになったようだ。
湊も、凛に何をしていたのか。その親友とすら呼ばれていた明穂と何をしていて、振られることになったかを周りに知られることになって、明穂のように無視されて、陰口を叩かれることに耐えかねたようだ。
それを虐められていると湊に明穂はすぐさま泣きついて、湊も同じように虐められていると思うようになり、それもこれも凛がさせているとなったようで、どちらも凛のことを悪く言わない日はなくなってしまった。
だが、そんな話を本気になって聞いている者はいないようだ。
そもそも、明穂が凛を転校させまいとして色々していたこともあり、それを湊は目の当たりにしていなかったせいで、未だに湊の中で明穂はみんなとは別に見えているようだ。
それこそ、凛が色々なことにあう前に彼女のことを親友だと思っていた頃の盲目的な部分があるのかも知れない。
(湊は元々つるむ相手が偏ってたもんな。明穂は、私を介してでしか、友達がいなかったみたいだし、そんな二人ならお似合いってところよね)
そんなことを思っていたが、楽しい気分に戻れるはずもない。
「どったの?」
「前の学校の子から」
「なんか、いい知らせ?」
「ん~、元カレと元親友が、付き合い始めたらしいよ」
「……いい知らせじゃないよね?」
「そうだね。どうでもいい知らせかな」
結愛は、目をパチクリとさせて凛を見た。
「どうでもいいんだ。そっか。どっちも、“元”だもんね。他に面白いことのお知らせは?」
「面白いことはないみたいだよ」
「そっか。ならさ~、修学旅行のことなんだけど」
結愛は、班のメンバーに入りたいという面々の話をしてくれた。
結愛が人気なのか。その碧人の方なのか。班にいれてもらえないかと話がきていた。
その全部を凛に話すわけでもないようだが、良さげな生徒がいると話をされて、凛が、オッケーなら班に迎え入れるみたいになっていた。
(なんか、凄い気を遣ってもらってるよね。いや、これはこれで断る口実になってていいのかな?)
凛は何だか申し訳ない気持ちになっていたが、断れて良かったとボロクソに言うのを聞いて苦笑することも多かった。
本当のところ凛とお近づきになりたい面々のアプローチだったことに本人は全く気づいていなかった。
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