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第1章 はじめまして幻想郷

再度初心者の森へ

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今日が三連休の三日目、 一日ゲームが出来るのは今日までで明日からはまた忙しい毎日が始まる。
緑はカレンダーを見てため息を吐きながら仕事かぁ…と呟く。
いやだー

「よし、切り替えていこー!」

右手を高々と上げてヤル気を出す。
近くにあるヴァイオリンケースをひとなでしてからベッドにポフンとジャンプして横になり、 枕元に置いてあるギアを手に取った。

「今日はどんな事があるのかなー」

グイッと被りスイッチを入れて目を瞑る。

ゲートオープン


ログインする、あの意識が途切れる感覚に身をゆだねゲームへと入っていった。






目が覚めた時は暖かい布団に包まれていた。
体を包む感覚がとても気持ちよくて少しまったりしてから目を開けた。
前回宿に泊まってログアウトした為、 ログインは宿から始まる。
宿泊効果でゲージはオールグリーン、時間が経った為死亡ペナルティもいつの間にか消えていた。

「…こんなに早かったっけ?」

首をかしげながらも起き上がる。
布団の温もりが消えて寒さに身震いするが、それも動くとすぐに体が温まった。
グレーのショートブーツに足を入れてカツンと音を鳴らす。
うん、 相変わらずのフィット感だ。

「まずはご飯かなー、お腹空いた」

唯一減っている空腹ゲージを確認してから回復させる為にスイは宿屋の1階に降りようと部屋を出た。
ガヤガヤと賑わいのある食堂で楽しそうに食事をしているプレイヤーやNPC、 休む暇なく動くウエイトレスを見ながら階段を降りた。
座る場所が無いくらいに賑わっていて、 食べるのは外かなぁと考えていた時1階に降りたスイに気付いたウエイトレスに声をかけられる。

「おはようございます、朝食はいかが致しますか?」

「あ、食べたいんですけど…」

いっぱいですね。 と言いかけた時ウエイトレスはかしこまりました、こちらへどうぞ!と笑顔でスイの前を歩き出した。
慌ててついていく先には、既に座っているテーブル。
1席だけ空いていてそこを示された。
ここは相席が基本なのか

「モーニングでよろしいですか?」

「はい」

かしこまりましたと、頭を下げて離れるウエイトレス。
モーニングの内容はわからないが、とりあえずはいいかお腹すいたし…と用意された水を1口。

「よー嬢ちゃんおはよう」

ニカッと笑うおじさんに声をかけられ視線を向ける。
作業着を着て食事をするおじさんはフォークにフレンチトーストを刺して口に入れた。

「おはようございます…」

プレイヤーだろう、頭上には緑のアイコンがある。

「ここの飯は初めてかい?ここのは美味いぞ」

フレンチトーストという外見に似合わない可愛い食べ物を食べながら言うおじさんにスイは初めてです、フレンチトースト美味しそうですねーと笑顔で言った。
視線にスイを値踏みする無粋さが無く、カラカラと笑うおじさんにスイも普段と変わらない返事を返す。

「おー、嬢ちゃんはモーニングだからフレンチトーストじゃないけどなー」

「そうなんですか?残念です」

「また今度頼んでみろや」

最後の一口を食べたおじさんは水を飲んでから食器を持って立ち上がる。
ここは常に忙しいのか、食事終わりは自分で食器を下げるようだ。
おじさんが下げた食器の場所を確認しているとモーニングが運ばれてきた。

バターロール3つにベーコンエッグ、サラダに牛乳と自宅の朝食に出そうなメニューである。
量は少し多いだろうか。
手を合わせて食べ始めると、確かに美味しい。
バターの風味が聞いたふわふわのパンにシャキシャキのサラダ。ベーコンエッグも丁度いい焼き加減で牛乳は濃厚。
ちらりと周りを見るとパンにサラダやベーコンエッグを挟んで食べている人もいる。

屋台とはまた違った店独特の美味しさに舌鼓をうつスイ。
うまうま…と食べているうちに6人がけのテーブルはまたすぐに埋まった。
かなり回転がいいのだろう、 隣に座った男性は食べるスイを不躾に見てきた。

マナー違反だなぁ……

そう思いながら口に運んでいく。
露店のよりも割高ではあるが、味は十分満足だ。
手を合わせてご馳走さまをしたスイは食器を持ち先程のおじさんが下げていた場所へと食器を下げる。

「美味しかったです、 ありがとうございます」

「おう!ありがとうよ!!」

すぐ目の前で作っている肌の黒いコックさんに声をかけると二カッ!と笑って返事を返してくれた。
それに笑って手を振ったスイは宿屋から出て行った。


街中を歩きながらスイは所持金の確認をする。
宿に泊まったり食事したりとお金を使うが 金策をしていなかったスイの所持金は少し心許なくなってきていた。
うーん……と考えながらも必要経費だからと買い物を決めたスイは露店へと向かう事に決めた。

持ち運び出来る携帯食と回復薬の補充の為である。
ないと金策の為に動きたくても出来ないためだ。
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