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一章 かつての生徒が迎えにきて

38話 その男、ポーションをも生成する。

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「ビアンコ、じゃあ白の魔素から【消炎】【分解】【保温】を頼む」
「かしこまりました。ご主人、ほんとそれ好きですね。じゃあ、箇所はいつもの肩でいいです?」
「あぁ、よく分かってるじゃないか」

ビアンコは俺の要望に応えると、羽をはためかせて、鱗粉を散らすようにその魔素を生成してくれる。

それは勝手に魔術サークルに吸い寄せられていき、瓶の中に集まっていく。

五芒星の紋様が示す特徴は、『凝縮』だ。
すべての魔素が瓶の中で混ざり合ったところで……きらきらと光を放つ、一本のポーションが完成した。

俺は、それを口にする。

果たして効果は、本当すぐに出た。
一瞬にして、重かった肩が軽くなり、凝りが軽減している。

久しぶりの教師仕事でため込んできた疲れが、一気に取れた気分だ。


……まぁでも、出来としては中程度。
魔素を溶かすための液体がただの井戸水ではなく、たとえばダンジョン内で採取できる魔導水などであれば、効果はさらに増大する。

「うん、やっぱり君の精霊術はさすがだよ。おかげで、かなり楽になった」
「えへっ、恐縮です。ご主人に、わたしが欠かせないことが分かって何よりです」

今回生成したのは、肩こりによく効くポーションだ。

この時代に売られているポーションと違う点は、その効く場所を細かく限定できること。

光属性魔法を利用したポーションは、効く箇所の特定まではできない。
そのためヒーラーに直接治してもらう必要があるのだが、これならばある程度の症状まではポーションで済ませられる。

ただし、原料が精霊を通してしか作れない特殊な魔素であるのが難点だが。

「えい、えい、えい~! もっと作りましょう! 瓶もありますし。予備です、予備!」

ビアンコは、褒められて調子づいたらしい。
彼女は、じゃんじゃんと魔素を生み出す。

空気中にはない魔素だ。

さすがに垂れ流すのはもったいない。
俺はまた魔術を発動して、結果、何本もポーションが生成されてしまった。

「おいおいビアンコ……どうするんだよ、これ」
「またなにかやっちゃいました、わたし?」
「作りすぎだよ。ポーションの効果期限は長くても二週間なのに」

……まぁ、もう三十路だしね?
またしばらくしたら重くなるんだろうけどさ。

とりあえず、こんなに持っていても仕方がない。

うん、もう売るしかないね、これは。

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