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スライムがなかまにくわわった!
ジャスパーはスライムを拾った! ※
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✳︎✳︎✳︎
初めまして!
数ある作品の中から、本作を見つけてくださって、読んでくださって、ありがとうございます!
✳︎✳︎✳︎
「あ、駄目っ、入っちゃ…あああ!!」
必死でもがく僕の抵抗を嘲笑うかのように、触手はスルスルと服の中に滑り込み、四肢の自由を奪い、そして後孔をこじ開ける。細い触手は粘液をじわりと分泌しながら、ほとんど抵抗もなく内側に入り込み、ぬちぬちといやらしい音を立てながら、次第に太さを増し、力強くゴリゴリとナカで暴れ始める。
「いやっ、いやっ、そこ、駄目…っ…」
ゾクゾクと快感が背筋を昇ってくる。いつしか乳首にも性器にも触手が伸び、ぬるぬると嬲っては僕を無遠慮に高める。もう喘ぎ声と唾液を垂れ流すだけの口にも。触手から分泌される粘液は甘く、上からも下からも注がれる度に、身体は熱く昂って行く。
「あぇ…へ…おぶ…」
淫らに痺れた脳は、もはやまともな思考を紡ぎ出せない。粘液と共にブチ込まれる快楽に何度も絶頂を極めながら、僕はどうしてこうなった、とぼんやりと思いを馳せる。
ダンジョン実習があったのは、1ヶ月前。
僕たち貴族の子弟は、15歳から18歳の間、王立貴族学園に必ず通うことになっている。そして2年生の秋には、王都近くのダンジョンで戦闘訓練がある。
僕は辺境のしがない子爵家の三男。後継の兄上たちと違い、僕は自分で生計を立てなければならない。当然、貴族学園での勉強にも身が入った。コネも権力もない弱小子爵家の子息にとっては、学園での成績だけが頼りなのだ。運動神経に恵まれない僕は、文官を目指すしかない。そしてそのためには、気が進まないダンジョン実習とて手を抜くわけには行かない。
学園から支給されたローブとメイス。同じように運動の苦手な友人たちと共にパーティーを組んで、屁っぴり腰で弱い魔物と戦いつつ、地下二階への階段を目指す。階段の手前では教師が待っていて、ここでチェックを貰えば終了だ。魔物に気をつけながら、同じ道を折り返す。やがてもうすぐダンジョンの出口が見えて来た、その時。
倒した魔物の影から、小さな水色の球体が飛び出した。プルプルしたゼリーのような質感から、それはいわゆるスライムと呼ばれる魔物だと思われる。しかしスライムとは、もっと水たまりのように平べったく、ヌチャア…という感じで這い寄って来るものだ。このように、侵入者の手のひらに飛び乗るような人懐っこいモンスターではない。
「…何かコイツ、お前に懐いてない?」
仲間の一人がそう言った。僕もそう思う。鶏の卵ほどのそれは、僕の手のなかでふるふると震えている。心なしか嬉しそうだ。僕はスライムを手で包んだまま、ダンジョンの外に出た。
教師に相談したところ、このスライムは生まれたてで、どうも僕を親だと思い込んでいるようだ。モンスターの幼生を手懐けて使役することは珍しいことではないので、スライムは僕の従魔として登録することになった。スライムは魔物としては弱く、愛玩目的くらいしか使い道はないが、雑食のために飼育は非常に簡単だということ。ダンジョン実習で従魔を手に入れたらしい、というセンセーショナルな噂は、じきに「なんだスライムか」という嘲笑に変わり、僕とスライムのことはすぐに忘れ去られた。
僕は相棒のスライムに名前をつけた。最初は見たまんまジェリーと呼んだのだが、彼は気に入らなかったらしい。ふるりとも震えなかった。ジェリーはジェロームの愛称なので、ロームと呼んでみた。すると嬉しそうにぷるぷると震えた。彼の名前はロームになった。
ロームは何でも食べた。その辺の雑草でも、ランチの中に入っていたニンジンでも、体内に取り込んではしゅわしゅわと分解する。石ころなんかも食べるが、あまり好きではないらしい。一度デザートのプリンを与えると、秒で分解した挙句、体の一部を伸ばして残りも食べようとした。僕は慌てて阻止し、半分こすることで決着をつけた。
彼はいつも、僕の制服の胸ポケットに収まっている。座学中はへにゃりと大人しく眠っているようだったが、魔術実習の時には中でしきりにぷるぷるしていた。魔力に反応するらしい。僕が得意の水属性スキルを使うと、呼応してぼんやりと光った。
「お前、魔力を食べるの?」
ロームは「そうだ」とでも言いたげに、ふるふると震えた。その日から、ロームの食事は主に僕の魔力になった。日中に魔力不足になると困るので、毎晩寝る前に、ロームを手に包んで魔力を注ぎながら眠る。彼はぼんやりと光りながら、嬉しそうに体をふるふると震わせる。その姿が可愛いなぁ…なんて思いながら、まどろみの中に落ちて行く。
それからしばらく。彼は相変わらず手のひらサイズのままで、ふるふると震える以外に何の役にも立たないが、僕は彼との生活が気に入っていた。友達は、ただ震えるだけのロームに呆れていたけれど、真面目一辺倒でガリ勉の僕が楽しそうにしているのを喜んでくれた。時折、従魔を持つ上位貴族の子弟にも声を掛けられた。彼らの従魔は有能で、勇敢で、見事に躾けられていて、僕のロームとは大違いだったが、相棒を可愛いと思う気持ちは同じ。意外にも彼らと仲良くなることができた。ロームのおかげで、僕の人生は豊かに広がった。
ロームがもたらしてくれた恩恵はもう一つ。毎晩彼に魔力を分け与えるうちに、僕の魔力の総量は大きくなったようだ。宮廷魔術師のような大魔術師は、生まれつきの才能と修練の末に大型魔術を使いこなせるのだと言われるが、もしかしたら魔力の消費量が大きいほど、総量は増えるのかも知れない。僕は、文官が駄目なら治癒術師を目指そうと思っていたから、これは嬉しい変化だった。今日もロームは、ふるふる震えながら、僕の魔力を吸収している。吸収する魔力量が増えるにつれ、彼の放つ光はだんだん大きくなって行った。
「オハヨウ」
朝、目が覚めると、そこには透き通るような美貌の少年の顔があった。肩まで伸びる艶やかな水色の髪、白磁の肌。アクアマリンのような澄んだ瞳。すっと通った鼻梁に、桜色の薄い唇。
「うわぁっ!」
彼は生まれたままの姿だった。僕は慌てて飛び起きたが、同時に冷静さも持ち合わせていた。
「…ローム?」
そう。僕は直感で、彼をロームだと理解した。
「アルジ、オハヨウ」
彼は小首を傾げて、にっこりと微笑んだ。
彼は幼児のように、簡単な言葉を操った。これまで彼と何となく意思疎通が図れていた気がしていたが、やはり彼はこちらの意図をちゃんと汲んでいたようだ。返ってくる言葉は拙いものだったが、ちゃんと僕の言いたいことを理解して、的確な返事をする。
僕の魔力を餌にしたのが良かったようだ。彼は魔力を糧に、スライムとしては破格の進化を遂げたこと。そして魔力を通して、僕の記憶を読み取り、学習したこと。この姿形も、僕を参考にして作り出したそうだ。僕、そんな美少年じゃない気がするんだけど。冴えない茶色の髪、ありふれた緑の瞳。少しそばかすの浮いたぱっとしない容貌。これが水色の髪と瞳、白い肌に置き換わっただけで、こんなに美しくなるとは、どうしても。
いや、問題はそういうことじゃない。僕の従魔が、いきなり人型になって人語を操ることになったら、大騒ぎになるに違いない。ロームに元の姿に戻れるか聞いたところ、彼は一瞬微笑んだかと思うと、手のひらサイズのいつものロームに戻った。良かった。僕は安心して、いつもの通りに彼をポケットに入れ、食堂へ急いだ。
それから彼は、毎晩僕の姿を取るようになった。末っ子だった僕は、弟が出来たようで嬉しい。二人してベッドの中でぼそぼそしゃべっては、くすくす笑いながら眠る。僕は幸せだった。彼も僕に抱きつき、魔力を受け取っては、幸せそうに微笑んでいた。
「あるじ、魔力、おいしい」
彼の人語はどんどん上達していく。平らで薄い僕の胸に顔を埋め、スリスリと甘えてくるのがとても愛らしい。時々乳首を突いて来るので、「こら」と嗜めるが、先生の言う通り、彼は僕を母親だと思っているのかも知れない。
「わわっ」
ロームは僕の乳首をぱくっと咥えた。だから僕は母親じゃないんだってば。スライムってこう見えて哺乳類なんだろうか?などと頓珍漢な思考を巡らせていると、ロームはそこをちゅうちゅうと吸い出した。
「あるひ、魔力、おいひい」
「あ、もう、ローム。そこで喋んないで」
乳首がくすぐったくて仕方ない。しかし、乳首を喰んだロームの瞳は、いつもより明るく光っている。もしかしたら、手のひらよりも乳首の方が、魔力が出やすいのかも知れない。最近魔力の総量が増えて、彼に魔力を渡すのに時間が掛かっていたから、少しくらいくすぐったいのは耐えるべきかもしれない。僕は男だし、多少乳首を吸われたくらいでは…
「ひゃっ、か、噛まないで…」
ロームは嬉しそうに乳首を吸いながら、時々歯を立てる。僕はくすぐったい限りだったが、時々何とも言えずむずむずする。舌で転がされたり、指で摘まれたりするうちに、小さく桜色だった乳首が赤く尖っている。駄目だ。僕はロームの主で、母親代わりなんだから、ちょっとエッチな感じ、なんて思っちゃ駄目だ。
「あるひ、魔力、おいひい」
彼は美味しそうに、貧相な胸の飾りを味わっていた。
困ったことに、ロームの魔力吸収はエスカレートの一途を辿った。彼は乳首を指で弄びながら、首筋に舌を這わせ、耳元で囁く。
「主の魔力、美味しい」
彼の膝が僕の膝を割って入る。僕のそこに、ロームのものが擦り合わされると、ロームのものは既に硬くなっていた。
「ちょ、ロー…んんっ…」
それから先は、ロームに唇を奪われて言葉にならなかった。結果的に、それは良かった。ロームは僕の下履きを引き下げ、僕のペニスに彼のものを当てがい、器用に擦り付ける。物心ついてから、初めて他人に触られて、信じられないくらい気持ち良かった。ロームに舌を吸われ、くぐもった喘ぎ声を漏らしながら、僕はあっという間に達してしまった。
「主の魔力、美味しい」
ショックと快感で朦朧とする中で、僕の魔力を受け取って、ロームの瞳が金色に光っているのを見た。
翌朝、僕の身体は何事もなかったかのようにサラリとしていた。何なら寝汗も感じない。どうやったのか、夜のうちに身体中の体液を綺麗に吸収したようだ。ロームはいつもの通り、僕に「主、おはよう」と微笑みかけて、僕に深く口付けた。どうも、僕の体液には魔力が含まれているらしい。窒息しそうなキスにひとしきり翻弄された後、彼はいつもの手のひらサイズのスライムに戻った。分かってる。これは従魔に対する給餌行動なのだ。だが、変な錯覚を覚えそうになる。
そのうち、彼は僕の性器から直接魔力を吸い取る方法を覚えた。線の細い美少年が、僕の股間に顔を埋め、一心不乱に口淫している姿が、背徳的すぎる。誤解するな。これは彼の食事なんだ。だけど、どうにも気持ちよくて、声が抑えられそうにない。僕は必死で枕に顔を押し付ける。まだ女の子と手を繋いだこともない僕が、キスどころか、その、口でアレをアレされている。こんな特殊な経験をしてしまっては、もうお婿に行けないのではないだろうか。
もう僕のものを三度も飲み干したロームは、うっとりと顔を上げ、
「主の魔力、美味しい」
と言いながら、口の端からこぼれる精液を、ぺろりと舐め取った。
そして、ロームと暮らし始めて、ちょうど1ヶ月。
「あんっ♡あんっ♡そ、こっ…駄目っ…!♡」
僕は、身体中の体液という体液を貪られていた。彼は僕をしっかりと抱きしめ、まるで恋人のように甘いキスで僕を籠絡する。しかしその背中からは無数の触手が生え、僕の四肢を拘束し、パジャマの中に滑り込んで、身体中を這いずり回り、乳首をこねくり回し、ペニスに覆い被さって吸い上げ、そして後孔に滑り込む。最初はやわやわと優しく責められていたものが、だんだんと激しさと水音を増して行く。もう彼を受け入れるのも何度目だろうか。触手は我が物顔で、僕の中をじゅぷじゅぷとかき回し、僕を簡単に絶頂に追いやる。
触手でのセックスは、魔力の吸収に非常に効率的らしい。もう手から注いだのでは何時間かかっても魔力切れを起こさなくなった僕は、身体中を拓かれて、あっという間に全てを搾り取られ、気を失うように朝を迎える。僕は恋も知らないまま、従魔に全てを捧げてしまった。だけど、後悔はしていない。僕は未知の快感に夢中だった。そしてロームはいつも、あの目の覚めるような美貌で僕に微笑みかけるのだ。
「主、おはよう」
「おはよう、ローム」
今日もポケットの中でふるふる震える彼が、夜には僕のことをあんなに愛してくれる。僕はちょっとドキドキしながら、今日も夜を待つのだった。
初めまして!
数ある作品の中から、本作を見つけてくださって、読んでくださって、ありがとうございます!
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「あ、駄目っ、入っちゃ…あああ!!」
必死でもがく僕の抵抗を嘲笑うかのように、触手はスルスルと服の中に滑り込み、四肢の自由を奪い、そして後孔をこじ開ける。細い触手は粘液をじわりと分泌しながら、ほとんど抵抗もなく内側に入り込み、ぬちぬちといやらしい音を立てながら、次第に太さを増し、力強くゴリゴリとナカで暴れ始める。
「いやっ、いやっ、そこ、駄目…っ…」
ゾクゾクと快感が背筋を昇ってくる。いつしか乳首にも性器にも触手が伸び、ぬるぬると嬲っては僕を無遠慮に高める。もう喘ぎ声と唾液を垂れ流すだけの口にも。触手から分泌される粘液は甘く、上からも下からも注がれる度に、身体は熱く昂って行く。
「あぇ…へ…おぶ…」
淫らに痺れた脳は、もはやまともな思考を紡ぎ出せない。粘液と共にブチ込まれる快楽に何度も絶頂を極めながら、僕はどうしてこうなった、とぼんやりと思いを馳せる。
ダンジョン実習があったのは、1ヶ月前。
僕たち貴族の子弟は、15歳から18歳の間、王立貴族学園に必ず通うことになっている。そして2年生の秋には、王都近くのダンジョンで戦闘訓練がある。
僕は辺境のしがない子爵家の三男。後継の兄上たちと違い、僕は自分で生計を立てなければならない。当然、貴族学園での勉強にも身が入った。コネも権力もない弱小子爵家の子息にとっては、学園での成績だけが頼りなのだ。運動神経に恵まれない僕は、文官を目指すしかない。そしてそのためには、気が進まないダンジョン実習とて手を抜くわけには行かない。
学園から支給されたローブとメイス。同じように運動の苦手な友人たちと共にパーティーを組んで、屁っぴり腰で弱い魔物と戦いつつ、地下二階への階段を目指す。階段の手前では教師が待っていて、ここでチェックを貰えば終了だ。魔物に気をつけながら、同じ道を折り返す。やがてもうすぐダンジョンの出口が見えて来た、その時。
倒した魔物の影から、小さな水色の球体が飛び出した。プルプルしたゼリーのような質感から、それはいわゆるスライムと呼ばれる魔物だと思われる。しかしスライムとは、もっと水たまりのように平べったく、ヌチャア…という感じで這い寄って来るものだ。このように、侵入者の手のひらに飛び乗るような人懐っこいモンスターではない。
「…何かコイツ、お前に懐いてない?」
仲間の一人がそう言った。僕もそう思う。鶏の卵ほどのそれは、僕の手のなかでふるふると震えている。心なしか嬉しそうだ。僕はスライムを手で包んだまま、ダンジョンの外に出た。
教師に相談したところ、このスライムは生まれたてで、どうも僕を親だと思い込んでいるようだ。モンスターの幼生を手懐けて使役することは珍しいことではないので、スライムは僕の従魔として登録することになった。スライムは魔物としては弱く、愛玩目的くらいしか使い道はないが、雑食のために飼育は非常に簡単だということ。ダンジョン実習で従魔を手に入れたらしい、というセンセーショナルな噂は、じきに「なんだスライムか」という嘲笑に変わり、僕とスライムのことはすぐに忘れ去られた。
僕は相棒のスライムに名前をつけた。最初は見たまんまジェリーと呼んだのだが、彼は気に入らなかったらしい。ふるりとも震えなかった。ジェリーはジェロームの愛称なので、ロームと呼んでみた。すると嬉しそうにぷるぷると震えた。彼の名前はロームになった。
ロームは何でも食べた。その辺の雑草でも、ランチの中に入っていたニンジンでも、体内に取り込んではしゅわしゅわと分解する。石ころなんかも食べるが、あまり好きではないらしい。一度デザートのプリンを与えると、秒で分解した挙句、体の一部を伸ばして残りも食べようとした。僕は慌てて阻止し、半分こすることで決着をつけた。
彼はいつも、僕の制服の胸ポケットに収まっている。座学中はへにゃりと大人しく眠っているようだったが、魔術実習の時には中でしきりにぷるぷるしていた。魔力に反応するらしい。僕が得意の水属性スキルを使うと、呼応してぼんやりと光った。
「お前、魔力を食べるの?」
ロームは「そうだ」とでも言いたげに、ふるふると震えた。その日から、ロームの食事は主に僕の魔力になった。日中に魔力不足になると困るので、毎晩寝る前に、ロームを手に包んで魔力を注ぎながら眠る。彼はぼんやりと光りながら、嬉しそうに体をふるふると震わせる。その姿が可愛いなぁ…なんて思いながら、まどろみの中に落ちて行く。
それからしばらく。彼は相変わらず手のひらサイズのままで、ふるふると震える以外に何の役にも立たないが、僕は彼との生活が気に入っていた。友達は、ただ震えるだけのロームに呆れていたけれど、真面目一辺倒でガリ勉の僕が楽しそうにしているのを喜んでくれた。時折、従魔を持つ上位貴族の子弟にも声を掛けられた。彼らの従魔は有能で、勇敢で、見事に躾けられていて、僕のロームとは大違いだったが、相棒を可愛いと思う気持ちは同じ。意外にも彼らと仲良くなることができた。ロームのおかげで、僕の人生は豊かに広がった。
ロームがもたらしてくれた恩恵はもう一つ。毎晩彼に魔力を分け与えるうちに、僕の魔力の総量は大きくなったようだ。宮廷魔術師のような大魔術師は、生まれつきの才能と修練の末に大型魔術を使いこなせるのだと言われるが、もしかしたら魔力の消費量が大きいほど、総量は増えるのかも知れない。僕は、文官が駄目なら治癒術師を目指そうと思っていたから、これは嬉しい変化だった。今日もロームは、ふるふる震えながら、僕の魔力を吸収している。吸収する魔力量が増えるにつれ、彼の放つ光はだんだん大きくなって行った。
「オハヨウ」
朝、目が覚めると、そこには透き通るような美貌の少年の顔があった。肩まで伸びる艶やかな水色の髪、白磁の肌。アクアマリンのような澄んだ瞳。すっと通った鼻梁に、桜色の薄い唇。
「うわぁっ!」
彼は生まれたままの姿だった。僕は慌てて飛び起きたが、同時に冷静さも持ち合わせていた。
「…ローム?」
そう。僕は直感で、彼をロームだと理解した。
「アルジ、オハヨウ」
彼は小首を傾げて、にっこりと微笑んだ。
彼は幼児のように、簡単な言葉を操った。これまで彼と何となく意思疎通が図れていた気がしていたが、やはり彼はこちらの意図をちゃんと汲んでいたようだ。返ってくる言葉は拙いものだったが、ちゃんと僕の言いたいことを理解して、的確な返事をする。
僕の魔力を餌にしたのが良かったようだ。彼は魔力を糧に、スライムとしては破格の進化を遂げたこと。そして魔力を通して、僕の記憶を読み取り、学習したこと。この姿形も、僕を参考にして作り出したそうだ。僕、そんな美少年じゃない気がするんだけど。冴えない茶色の髪、ありふれた緑の瞳。少しそばかすの浮いたぱっとしない容貌。これが水色の髪と瞳、白い肌に置き換わっただけで、こんなに美しくなるとは、どうしても。
いや、問題はそういうことじゃない。僕の従魔が、いきなり人型になって人語を操ることになったら、大騒ぎになるに違いない。ロームに元の姿に戻れるか聞いたところ、彼は一瞬微笑んだかと思うと、手のひらサイズのいつものロームに戻った。良かった。僕は安心して、いつもの通りに彼をポケットに入れ、食堂へ急いだ。
それから彼は、毎晩僕の姿を取るようになった。末っ子だった僕は、弟が出来たようで嬉しい。二人してベッドの中でぼそぼそしゃべっては、くすくす笑いながら眠る。僕は幸せだった。彼も僕に抱きつき、魔力を受け取っては、幸せそうに微笑んでいた。
「あるじ、魔力、おいしい」
彼の人語はどんどん上達していく。平らで薄い僕の胸に顔を埋め、スリスリと甘えてくるのがとても愛らしい。時々乳首を突いて来るので、「こら」と嗜めるが、先生の言う通り、彼は僕を母親だと思っているのかも知れない。
「わわっ」
ロームは僕の乳首をぱくっと咥えた。だから僕は母親じゃないんだってば。スライムってこう見えて哺乳類なんだろうか?などと頓珍漢な思考を巡らせていると、ロームはそこをちゅうちゅうと吸い出した。
「あるひ、魔力、おいひい」
「あ、もう、ローム。そこで喋んないで」
乳首がくすぐったくて仕方ない。しかし、乳首を喰んだロームの瞳は、いつもより明るく光っている。もしかしたら、手のひらよりも乳首の方が、魔力が出やすいのかも知れない。最近魔力の総量が増えて、彼に魔力を渡すのに時間が掛かっていたから、少しくらいくすぐったいのは耐えるべきかもしれない。僕は男だし、多少乳首を吸われたくらいでは…
「ひゃっ、か、噛まないで…」
ロームは嬉しそうに乳首を吸いながら、時々歯を立てる。僕はくすぐったい限りだったが、時々何とも言えずむずむずする。舌で転がされたり、指で摘まれたりするうちに、小さく桜色だった乳首が赤く尖っている。駄目だ。僕はロームの主で、母親代わりなんだから、ちょっとエッチな感じ、なんて思っちゃ駄目だ。
「あるひ、魔力、おいひい」
彼は美味しそうに、貧相な胸の飾りを味わっていた。
困ったことに、ロームの魔力吸収はエスカレートの一途を辿った。彼は乳首を指で弄びながら、首筋に舌を這わせ、耳元で囁く。
「主の魔力、美味しい」
彼の膝が僕の膝を割って入る。僕のそこに、ロームのものが擦り合わされると、ロームのものは既に硬くなっていた。
「ちょ、ロー…んんっ…」
それから先は、ロームに唇を奪われて言葉にならなかった。結果的に、それは良かった。ロームは僕の下履きを引き下げ、僕のペニスに彼のものを当てがい、器用に擦り付ける。物心ついてから、初めて他人に触られて、信じられないくらい気持ち良かった。ロームに舌を吸われ、くぐもった喘ぎ声を漏らしながら、僕はあっという間に達してしまった。
「主の魔力、美味しい」
ショックと快感で朦朧とする中で、僕の魔力を受け取って、ロームの瞳が金色に光っているのを見た。
翌朝、僕の身体は何事もなかったかのようにサラリとしていた。何なら寝汗も感じない。どうやったのか、夜のうちに身体中の体液を綺麗に吸収したようだ。ロームはいつもの通り、僕に「主、おはよう」と微笑みかけて、僕に深く口付けた。どうも、僕の体液には魔力が含まれているらしい。窒息しそうなキスにひとしきり翻弄された後、彼はいつもの手のひらサイズのスライムに戻った。分かってる。これは従魔に対する給餌行動なのだ。だが、変な錯覚を覚えそうになる。
そのうち、彼は僕の性器から直接魔力を吸い取る方法を覚えた。線の細い美少年が、僕の股間に顔を埋め、一心不乱に口淫している姿が、背徳的すぎる。誤解するな。これは彼の食事なんだ。だけど、どうにも気持ちよくて、声が抑えられそうにない。僕は必死で枕に顔を押し付ける。まだ女の子と手を繋いだこともない僕が、キスどころか、その、口でアレをアレされている。こんな特殊な経験をしてしまっては、もうお婿に行けないのではないだろうか。
もう僕のものを三度も飲み干したロームは、うっとりと顔を上げ、
「主の魔力、美味しい」
と言いながら、口の端からこぼれる精液を、ぺろりと舐め取った。
そして、ロームと暮らし始めて、ちょうど1ヶ月。
「あんっ♡あんっ♡そ、こっ…駄目っ…!♡」
僕は、身体中の体液という体液を貪られていた。彼は僕をしっかりと抱きしめ、まるで恋人のように甘いキスで僕を籠絡する。しかしその背中からは無数の触手が生え、僕の四肢を拘束し、パジャマの中に滑り込んで、身体中を這いずり回り、乳首をこねくり回し、ペニスに覆い被さって吸い上げ、そして後孔に滑り込む。最初はやわやわと優しく責められていたものが、だんだんと激しさと水音を増して行く。もう彼を受け入れるのも何度目だろうか。触手は我が物顔で、僕の中をじゅぷじゅぷとかき回し、僕を簡単に絶頂に追いやる。
触手でのセックスは、魔力の吸収に非常に効率的らしい。もう手から注いだのでは何時間かかっても魔力切れを起こさなくなった僕は、身体中を拓かれて、あっという間に全てを搾り取られ、気を失うように朝を迎える。僕は恋も知らないまま、従魔に全てを捧げてしまった。だけど、後悔はしていない。僕は未知の快感に夢中だった。そしてロームはいつも、あの目の覚めるような美貌で僕に微笑みかけるのだ。
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