「「中身が入れ替わったので人生つまらないと言った事、前言撤回致しますわ!」」

桜庵

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最後の異世界生活~カノン編~

~姿、名前、それは…~

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カノンのお化粧後の姿を見て、驚きのあまり、カノンの名前を口に出してしまった原さん。

そんな原さんの言葉にカノンは動じず、むしろ、堂々とした様子を見せた。

「お化粧…いい出来だと思うのです。これぞ、まさにお嬢様なりきりスタイルですわ!名前は…そうですね…いのりちゃんが口に出した名前を採用致しますわ。カノン…今日一日、わたくしはカノンお嬢様です。皆さん、この姿…不慣れかもしれませんが、よろしくお願いしますね。」

カノンがゆいに習い、独自で変身メイクを展開した結果、丸く大きな目に優しい雰囲気を持つ美少女の美桜の面影はなく、キリっとした目に気の強そうな雰囲気を持つ美人顔のカノンの姿に仕上げた。

カノンの前の席に座っている皆は、カノンのお化粧が仕上がった声に振り向き、そのあまりの変わりように驚き、目を丸くしていたと言う訳だ。
そんな中で、原さんが席から立ち上がり、興奮気味にカノンの席の前に来た。

「……いやいやいや!あまりにも変わり過ぎでしょ!オシャレ用どころじゃないよ!変身メイクになってるし!しかも、名前!待って、…何からツッコミ入れたらいいの?!」

「いのりちゃん、落ち着いてくださいまし。全部にツッコミ入れてくださっていますわ。」

「なんでそんな平然としているの!ていうか、本当にその姿は何?!プロなの?!どんだけハイスペック女子なの!!美少女な美桜ちゃんの面影がまったくないんですけど!すっっっごく美人さんじゃん!!!どこの美人さん?!ってくらい美人さんなんですけど!!」

「あの…そう何度も美人さんを連呼されると恥ずかしいのですが…。お化粧のおかげで美人さんに見えるのですわ。これは言わばシンデレラタイムです。明日には魔法が解けてますわ。」

原さんは驚きと変身メイクの完成度に興奮しており、カノンはそんな原さんの言葉に少し照れた表情を見せていた。

二人のやり取りを見ていた他の女子や男子がカノンの座っている席の周りに集まり始め、教室内は騒がしくなった。

「一ノ瀬さん、すごーい!原ちゃんの言う通り、すっっっごい美人さんだね!」
「つーか、一ノ瀬、お嬢様なりきりスタイルって、マジかよ。その姿でその口調は違和感なさすぎだろ。」

クラスの女子や男子が次々にカノンに声を掛け、原さん同様に変身メイクの完成度の高さに感心している。

「ふふっ。カノンお嬢様ですもの!違和感なくて当然ですわ!(わたくしの本当の姿ですもの。)ですが…本当に、今日限りですのよこの姿…。シンデレラは魔法が解けるのが早く、わたくしの場合、二度と魔法にかかる事はないですわ。

(…せっかくのイベントなので、やってみたはいいものの…やはり、美桜さんのお体ですもの…。ある程度の秩序は守らねば。)」

「シンデレラって……。お嬢様なのか、姫様なのかどっちかにしろよ、紛らわしいな!」

その男子生徒の発言に教室内は笑いに包まれた。

「では、カノンお嬢様にしますわ!」

「一ノ瀬さん、ぶれない!なら、今日一日カノンちゃんと呼ぶね!」

「あ!私も!カノンちゃん…いやでも、私はカノンさんで!大人っぽいし、美人さんだし、ドキドキするから!」

「それ、告白になってねぇ?俺はカノンだな!」

「ふふっ、皆さんお好きに呼んでください。」

「一ノ瀬さんの彼氏である、峰岸君的にどうなの?」

カノンの席に集まっていたクラスの女生徒に話を振られた峰岸君は、遠目からカノン達の様子を見ており、席に座ったまま、問いかけに応えた。

「…別人すぎて…正直、戸惑うけど…似合っている…と思う。」

峰岸君は、美桜の姿ではないのに声だけが美桜の為、複雑な感情を抱き、歯切れの悪い答え方をした。
カノンは峰岸君の言葉に眉を下げ、申し訳なさそうな笑顔を見せた。

担任の先生に「もういいかーい?」と声を掛けられるまでその場は、カノンの変身メイクの話しで持ちきりになった。

午前中の授業が終わり、午後はカノンが廊下を移動するたびに注目を集め、最初こそ気にならなかったが、次第に視線の数が増えたり、お昼休憩には男女問わず呼び出しの数が増えたり、落ち着きなく過ごす結果となった。

その日の放課後。
カノンと原さんは一緒に帰っていた。

「はぁ…さすがに疲れましたわ…。まさか、あのような事態になるとは…。やはり、この姿は封印ですわね。」

「いやぁ、すごい光景だった。すれ違う人皆が、足を止めてカノンさんを見るし、告白の数もいつもの倍あったし、なんなら『再びすみません』って再告白してきた人もいたし。それに、口コミが広がってカノン先輩とか、カノン様とか、いろいろ呼ばれたり。」

「本当に…様々な反応でした…。けど、楽しかったですわ。久しぶりに自分のお顔を見れましたし、この世界の技術に感謝ですわ。」

カノンは、少し遠くを見るような、寂しそうな表情を浮かべた。
だが、それは一瞬で、すぐに原さんに楽しそうな笑顔を見せた。

それを見た原さんは、胸を掴まれるような感覚に襲われた。

「カノンさん!…ううん、カノンちゃん!ちょっとだけ寄り道して帰ろう!せっかくの部活のお休みだし、たしか、空手の教室も今日はないんだよね?なら、私に付き合って!メイクもしてるし、女子高生楽しもう!!」

原さんは、自分の胸に抱いた感情を振り払うかのように、カノンの手を引き笑顔で駆けだし、カノンはそんな原さんの行動に戸惑いつつも、手をひかれるまま原さん同様に駆け出した。
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