食卓の記憶 小説一覧

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また、あの味に会えたなら

また、あの味に会えたなら
 「どうしても、同じ味にならないんです」  高校生の遥は、亡き祖母が作ってくれた「豆腐のそぼろ煮」の味が忘れられず、何度も再現に挑戦していた。しかし、見た目も材料もそっくりなのに、どこかが決定的に違う。味覚だけでは届かない“何か”を求め、遥は祖母の家に残されたレシピ帳や台所を手がかりに、ひとり探し続けていた。  そんなある日、古びたノートに書かれていたのは、レシピではなく“想いの記録”。そこには、祖母が誰かを思いながら料理をしていた時間と、食卓に込めた小さな愛情が綴られていた。  料理はただの手順じゃない。誰かを想う心の温度が、味になる。  祖母の台所で過ごした記憶。母とのすれ違いと、少しずつ縮まっていく距離。湯気の向こうに浮かび上がってくるのは、味ではなく、人とのつながりだった。  これは、“再現”の物語ではなく、“継承”の物語。  料理を通して、遥は何を受け取り、どんな未来を紡ごうとしているのか――。  静かな日常のなかで、読後にじんわりと心が温かくなる、家族と記憶とごはんの物語。  きっと誰もが、自分だけの“あの味”を思い出したくなる一作です。
ライト文芸 連載中 短編
感想数 0 文字数 15,999 最終更新日 2025.04.20 登録日 2025.04.14
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