中世/西洋風 小説一覧
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世紀末の女流画家、大藪英子の異世界転移!
1999年、夏の東京23区西部、江古田という学生の街。
その街の片隅にひっそりと住む、若き絵描き見習い、大藪英子(おおやぶ・えいこ)。
彼女は美大を卒業後、経済的に大学院進学を断念。
就職活動にも敗れ、自らの才能? を頼りに絵筆を疾(はし)らせたり、フォトショップを駆使してデジタルアートにも挑戦する、そんな女性だ。
彼女のモチーフは、異世界ファンタジー。トールキンの世界観に憧れ、その小説のワンシーンのような豊饒な世界を描き続けている。
でも、生活はアルバイトを掛け持ちして、何かと物価の高い23区に住み続けているので、かなりキツい。
毎日の生活はカツカツ。いつかチャンスを掴もうと、ず~っと気を張って生きてきたのだけど、……。
とある人生を賭けた公募で、英子が全身全霊で描いた作品がまさかの落選。
そんな彼女が、ショックで筆を折る、……。
まさに「断筆」する時、彼女の目の前に斎木茂吉(さいき・もきち)という名の、背広姿の公務員が現れたのだ。
斎木なる人物は、作家(クリエーター)仲間から謎の「後援者」として噂になっており、……。
英子は自身の眼に、次第に光が宿ってくるのを感じていた。
斎木は、英子に向ってこう言った。
「実はですね、……。これから、日本政府は、世界に向けて異世界に関する機密解除を行います。そのために、積極的に異世界ファンタジーブームを起こして、人々に耐性を付けて貰います。だから、私がピックアップしたクリエーターの皆さんに、現実の異世界、ここではヤムント国にご案内し、見て貰おうと思っているんです!」
その言葉に英子は奮(ふる)い立ち、思わず目を見極めた。
文字数 15,377
最終更新日 2025.12.05
登録日 2025.12.01
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