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学園編
変化
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「ひっ……!?」
薄目で自分に向かってくる光の魔法に、ハーフエルフは初めて悲鳴らしき声を上げ、
ズガァアアアンッ――!!
光の衝撃波がハーフエルフの場所にまで到達し、凄まじい爆裂音が発生する。アルトはそれをッ見て額に汗を流しながら笑みを浮かべ、レノたちは倒したのかと見届けると、
「――全く、まさかこの「姿」にまで追い詰められるとはな……」
そこには、黒煙を振り払い、漆黒の服装に覆われた長身の男が立っていた。
「「なっ……!?」」
「っ……!?」
突然、女が居た場所に見知らぬ男が立っており、3人は目を見開くが、レノはすぐに彼の言葉にある予想が浮かぶ。この姿に追い詰められた、という言葉にレノは自分の背中を抱きしめる。まさか、自分以外にも「禁忌」に触れた人間が居るのかと――
「だ、誰だ……誰だお前は!?」
「女は……?」
「ふふっ……そう言えば、名前を名乗っていなかったかな?」
男は左腕の「黒い鎖」を見せつけ、黒いドレスを引き裂き、笑みを浮かべると、
「センチュリオンの1人……「マドカ」だ……覚えて置け」
次の瞬間、彼は鎖を足元に放り投げ、すぐに黒い鎖は蛇のように動き回り、魔方陣の形に変わる。鎖で形成された魔方陣が白く発光し、男は魔方陣の上に移動すると、すぐに3人は「転移魔法」の類だと気づく。
「ま、待て……!!」
「お前、どこへ!!」
「くっ……」
必死に動こうとするが、3人とも披露しており、この距離では間に合わない。マドカは最後にレノに笑みを浮かべ、
「お前は必ず殺してやる……私の手で」
ぞくりと背筋が凍る声音で告げると、レノも負けじと睨み返し、魔方陣が目を当てられないほどに光を放ったと思うと、
「……くそぉっ!!」
アルトの悔しげな声が庭中に響き渡り、魔方陣の跡だけを地面に残し、男の姿は消えていた――
――学園正門――
同時刻、頭から血を流したクズキは無数のナイフを身体の周りに浮かせながら、こちらを見つめてくる「ダークエルフ」に放つ。
「ブルー・ナイフ!!」
クズキは掛け声とともに、懐から小瓶を取りだしてナイフに中身の液体を振りかける。瞬時に液体が固まり、氷のナイフが形成される。
ビュビュンッ!!
「ふんっ……」
向い来る氷のナイフに対し、ダークエルフは背中の「薙刀」を震わせ、全て弾き飛ばす。が、氷の刃が触れた部分から、薙刀が熱を奪われたように凍っていき、数秒もしないうちに薙刀は凍り付く。
「小細工を……」
ダークエルフは自分の握りしめている右手ごと凍った薙刀を見て、詠唱も媒介も無しに左手で「炎」を生成する。それは間違いなく、レノと同じく自身の魔力だけで作り出した「炎」であり、クズキは舌打ちしながら、氷を解かされる前に手を打つ。
「ヒール!!」
回復用の魔石を取り出してまずは自分の頭から流れる血を止め、最初にダークエルフから受けた頭部の傷を塞ぎ、今度は服の裏から無数の「小瓶」を取りだす。
「これらを全て避けきれますか!!」
小瓶を全て彼女の頭上に放り投げ、同時に数本の「ナイフ」を投げ飛ばし、1つの小瓶を破壊した瞬間、
ズガァァアアンッ!!
小瓶が爆発を起こし、すぐに他の瓶も誘爆、ダークエルフの頭上で激しい爆炎が舞いあがり、煙の中から無数のナイフの欠片が降り注ぐ。
「何の真似だ……?」
凍った薙刀は既に溶かし、ダークエルフは降り注ぐ刃の雨に、
「ふんっ!!」
ビュオッ!!
薙刀を大きく振り払い、その突風で爆炎ごと吹き飛ばす。
(かかった!!)
クズキは意識を反らした女に向けて走り出し、小さな魔石が填められたナイフを握りしめ、魔力を流し込む。瞬間、ナイフの刃が巨大化し、まるで一本の長剣に変わり果てる。
「行きますよ!!」
「何っ?」
剣を振り上げて向かってくるクズキに、ダークエルフは少し驚いた風に顔を向けるが、すぐに薙刀を構え、
ガキィンッ!!
刃がぶつかり合い、至近距離で何度も薙刀と長剣がぶつかり合う。驚くべきことに、クズキはダークエルフと互角に打ち合う。彼女は笑みを浮かべ、力ずくでクズキを押し払い、
「それほどの腕がありながら……いちいち狡い真似をするんだな」
「私にとっては褒め言葉ですね。正々堂々なんて言葉は、反吐が出ますねぇ」
クズキは長剣を振り上げ、空を見上げる。運よく、真上には月を覆う黒雲があり、「雷」の呪文を唱える。
「ライトニング!!」
ドォオンッ!!
黒雲から雷が落とされ、長剣に直撃し、刀身に電流が帯びる。クズキは笑みを浮かべると、ダークエルフは鼻で笑い、
「魔法剣?そんなもので……」
「そう捨てた物じゃありませんよ……こんな使い方もありますから、ねぇ!!」
ビュンッ!!
電流を帯びた長剣をダークエルフに投げ放ち、彼はさらに呪文を唱え、足元に右手を押し付ける。
ピキピキィッ……
「これは……」
クズキの押し当てた掌から、地面が凍り付き、すぐにそれはダークエルフの足元まで届く。足場を凍らされ、彼女は内心感心しながら向かってくる長剣に視線を向け、
「面白かったぞ……だが、これで締めだ」
ガシィッ!!
「なっ……!?」
向い来る長剣の柄を呆気なく掴み、ダークエルフは右手に薙刀、左手に長剣を構え、
「この技は、久しぶりだな……」
ダァアンッ!!
凍り付いた足元をいとも容易く脱出し、呆然としているクズキに向かって、彼女は両手を振るいあげ、
「十字」
ズバァァアアアアアアアアンッ!!
次の瞬間、クズキの肉体に「十字架」を思わせる傷跡が生まれた――
薄目で自分に向かってくる光の魔法に、ハーフエルフは初めて悲鳴らしき声を上げ、
ズガァアアアンッ――!!
光の衝撃波がハーフエルフの場所にまで到達し、凄まじい爆裂音が発生する。アルトはそれをッ見て額に汗を流しながら笑みを浮かべ、レノたちは倒したのかと見届けると、
「――全く、まさかこの「姿」にまで追い詰められるとはな……」
そこには、黒煙を振り払い、漆黒の服装に覆われた長身の男が立っていた。
「「なっ……!?」」
「っ……!?」
突然、女が居た場所に見知らぬ男が立っており、3人は目を見開くが、レノはすぐに彼の言葉にある予想が浮かぶ。この姿に追い詰められた、という言葉にレノは自分の背中を抱きしめる。まさか、自分以外にも「禁忌」に触れた人間が居るのかと――
「だ、誰だ……誰だお前は!?」
「女は……?」
「ふふっ……そう言えば、名前を名乗っていなかったかな?」
男は左腕の「黒い鎖」を見せつけ、黒いドレスを引き裂き、笑みを浮かべると、
「センチュリオンの1人……「マドカ」だ……覚えて置け」
次の瞬間、彼は鎖を足元に放り投げ、すぐに黒い鎖は蛇のように動き回り、魔方陣の形に変わる。鎖で形成された魔方陣が白く発光し、男は魔方陣の上に移動すると、すぐに3人は「転移魔法」の類だと気づく。
「ま、待て……!!」
「お前、どこへ!!」
「くっ……」
必死に動こうとするが、3人とも披露しており、この距離では間に合わない。マドカは最後にレノに笑みを浮かべ、
「お前は必ず殺してやる……私の手で」
ぞくりと背筋が凍る声音で告げると、レノも負けじと睨み返し、魔方陣が目を当てられないほどに光を放ったと思うと、
「……くそぉっ!!」
アルトの悔しげな声が庭中に響き渡り、魔方陣の跡だけを地面に残し、男の姿は消えていた――
――学園正門――
同時刻、頭から血を流したクズキは無数のナイフを身体の周りに浮かせながら、こちらを見つめてくる「ダークエルフ」に放つ。
「ブルー・ナイフ!!」
クズキは掛け声とともに、懐から小瓶を取りだしてナイフに中身の液体を振りかける。瞬時に液体が固まり、氷のナイフが形成される。
ビュビュンッ!!
「ふんっ……」
向い来る氷のナイフに対し、ダークエルフは背中の「薙刀」を震わせ、全て弾き飛ばす。が、氷の刃が触れた部分から、薙刀が熱を奪われたように凍っていき、数秒もしないうちに薙刀は凍り付く。
「小細工を……」
ダークエルフは自分の握りしめている右手ごと凍った薙刀を見て、詠唱も媒介も無しに左手で「炎」を生成する。それは間違いなく、レノと同じく自身の魔力だけで作り出した「炎」であり、クズキは舌打ちしながら、氷を解かされる前に手を打つ。
「ヒール!!」
回復用の魔石を取り出してまずは自分の頭から流れる血を止め、最初にダークエルフから受けた頭部の傷を塞ぎ、今度は服の裏から無数の「小瓶」を取りだす。
「これらを全て避けきれますか!!」
小瓶を全て彼女の頭上に放り投げ、同時に数本の「ナイフ」を投げ飛ばし、1つの小瓶を破壊した瞬間、
ズガァァアアンッ!!
小瓶が爆発を起こし、すぐに他の瓶も誘爆、ダークエルフの頭上で激しい爆炎が舞いあがり、煙の中から無数のナイフの欠片が降り注ぐ。
「何の真似だ……?」
凍った薙刀は既に溶かし、ダークエルフは降り注ぐ刃の雨に、
「ふんっ!!」
ビュオッ!!
薙刀を大きく振り払い、その突風で爆炎ごと吹き飛ばす。
(かかった!!)
クズキは意識を反らした女に向けて走り出し、小さな魔石が填められたナイフを握りしめ、魔力を流し込む。瞬間、ナイフの刃が巨大化し、まるで一本の長剣に変わり果てる。
「行きますよ!!」
「何っ?」
剣を振り上げて向かってくるクズキに、ダークエルフは少し驚いた風に顔を向けるが、すぐに薙刀を構え、
ガキィンッ!!
刃がぶつかり合い、至近距離で何度も薙刀と長剣がぶつかり合う。驚くべきことに、クズキはダークエルフと互角に打ち合う。彼女は笑みを浮かべ、力ずくでクズキを押し払い、
「それほどの腕がありながら……いちいち狡い真似をするんだな」
「私にとっては褒め言葉ですね。正々堂々なんて言葉は、反吐が出ますねぇ」
クズキは長剣を振り上げ、空を見上げる。運よく、真上には月を覆う黒雲があり、「雷」の呪文を唱える。
「ライトニング!!」
ドォオンッ!!
黒雲から雷が落とされ、長剣に直撃し、刀身に電流が帯びる。クズキは笑みを浮かべると、ダークエルフは鼻で笑い、
「魔法剣?そんなもので……」
「そう捨てた物じゃありませんよ……こんな使い方もありますから、ねぇ!!」
ビュンッ!!
電流を帯びた長剣をダークエルフに投げ放ち、彼はさらに呪文を唱え、足元に右手を押し付ける。
ピキピキィッ……
「これは……」
クズキの押し当てた掌から、地面が凍り付き、すぐにそれはダークエルフの足元まで届く。足場を凍らされ、彼女は内心感心しながら向かってくる長剣に視線を向け、
「面白かったぞ……だが、これで締めだ」
ガシィッ!!
「なっ……!?」
向い来る長剣の柄を呆気なく掴み、ダークエルフは右手に薙刀、左手に長剣を構え、
「この技は、久しぶりだな……」
ダァアンッ!!
凍り付いた足元をいとも容易く脱出し、呆然としているクズキに向かって、彼女は両手を振るいあげ、
「十字」
ズバァァアアアアアアアアンッ!!
次の瞬間、クズキの肉体に「十字架」を思わせる傷跡が生まれた――
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