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4巻

4-2

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 そしてハヤテは、マリアに手伝ってもらって、守護者の巨体を背に抱えて立ち上がった。が、さすがに重く、彼の膂力りょりょくでも耐え切れないらしい。少しふらついている。
 これで準備は完了だ。リキオーがシュルヴェステルに告げる。

「よし、シュルヴェステル、魔力溜まりに案内してくれ」
「ん? ……ああ、こっちだ」

 シュルヴェステルに案内されてたどり着いたのは、緑色の光で満たされた不思議な泉だった。
 こんこんと水が湧き出す泉の上で、光り輝くものが飛び回っている。リキオーたちが近づくと、その光は散るように消えてしまった。アネッテによると、それらは光の精霊たちらしい。
 小さくなったとはいえ、それでも大きな守護者の体を背負って運んできたハヤテに、リキオーが優しく告げる。

「ハヤテ、ご苦労さま。守護者をここに下ろして」
「わうっ」

 ハヤテは守護者を、泉の中に静かに下ろした。
 すぐにリキオーは、「ロード」と念じる。泉の力もあり、今度は魔力の消費はなく、守護者はセーブ以前の、元の大きさを取り戻した。

「さて、問題はここからだな。ハヤテ、また手伝って。守護者さまの体を押さえてて」

 ハヤテが守護者の腰を押さえつけると、リキオーは守護者にまたがり、そしていきなり肩に穿うがたれた傷跡に手を突っ込んだ。
 アネッテが驚きの声を上げる。

「マスター? 何を……マスター!」

 その瞬間、守護者の額にある真理の目が開き、体を起こした。
 轟々ごうごうと足元から湧き起こる魔力の奔流。
 それとともに瞳を白く輝かせ、長い髪をバラバラと振り乱している。

「ハヤテ!」
「ワォォォン!」

 リキオーの要請に応えたハヤテが【咆哮ほうこう】を放った。これは、狼の魔物特有のスキルであり、テラー効果、つまり麻痺まひを発生させる技である。
 守護者はテラー状態におちいり、真理の目を閉ざして静かに体を横たえた。
 その間に、リキオーは血まみれの手で守護者の傷の中から撃ち込まれた弾丸を取り出した。そして、ハアハアと荒い息でハヤテに「グッジョブ」とささやく。
 へたり込んだリキオーのもとに、ハヤテが鼻を鳴らしてり寄り、ペロペロとその顔を舐める。

「さて、俺にできるのはここまでだ。あとはアネッテ、頼むぞ」
「えっ! そ、そんな、私、どうすれば……」
「指示は出すよ。安心して」

 突然、任されてオロオロし出すアネッテ。
 リキオーの指示は、次のようなものであった。
 まず、守護者に【レストレーション】を何度かかける。状態異常回復だ。弾丸の摘出には成功したが、鉱毒の影響が残っていては回復するものも回復しない。
 そしてそのあとは、【多重詠唱たじゅうえいしょう】のスキルを使って、【レジェネイター】を唱える。これは回復二系と呼ばれる呪文で、今のアネッテにできる最大の回復呪文だ。
 一定量の回復のあと、少しずつ回復を続ける呪文で、【多重詠唱】を使えば効果は四倍になる。普通なら五秒に1ずつの回復量だが、倍の倍で4になる。
 それでもさすがに、守護者の体力を癒すには足りなかったが、守護者自身の回復力が、魔力溜まりの泉によって強化されているために、順調に回復していった。

「おお! なんということだろう、奇跡か……」

 シュルヴェステルは、死んでいるとしか思えなかった守護者が生気を取り戻すのを見て驚いていた。仕舞いには、両手を組んで祈りをささげる始末である。
 突然、その場にいる者すべての頭の中に、声が響いてきた。


 ──定命じょうみょうの者たちよ。すべて見ていましたよ。まさか四神の一柱である私の命を救ってくれるとは。特に異界いかいの者よ、ありがとう。あなたには言い尽くせぬほどの感謝を。迂闊うかつにもこの地に破滅をもたらすところでした──


 リキオーが顔を上げると、守護者の美女の顔は、静かな光をたたえた眼差まなざしで彼を見ていた。
 他の者は守護者の威圧感に打たれてか、頭を下げて動けずにいた。
 絶対者の前では、不思議と誰もが動けなくなってしまう。これは火竜公の面前でも経験した光景であった。
 渡界者であるためか、ただ一人動くことのできるリキオーが返答する。

「いえ、私にできることをしたまで。すべては私の家族のためです。それにまだ事態は収まったわけではありません」

 そう言って、リキオーは遠方を見つめた。
 そして、すぐに守護者に視線を戻す。


 ──そう、わかっているのですね。とても難しいことですよ──


 その言葉はリキオーにだけ届けられた。
 彼はうなずいて立ち上がる。
 まだ事態は半分しか解決していない。

「マリア、ハヤテ、お前たちの出番だ」

 選手交代とばかりに、リキオーは前衛職の一人と一匹に声をかける。
 ここから先の展開は、魔法だけではいかんともしがたい。銀狼団の総力をもって当たらなければ解決に至る道はひらけないだろう。
 絶対者のプレッシャーから解かれ、動けるようになった一人と一匹が答える。

「待ちくたびれたぞ、ご主人」
「ばうっ」

 マリアが不敵な笑みを浮かべ立ち上がる。ハヤテはフルフルと伸びをして、元気よく吠えた。




 2 銃魔士・その2


 守護者の雌を蘇生そせいさせても、まだ森津波の危険は解消されていない。
 今もなお、雄のタングニョーストは、つがいをけがされた怒りで暴走しているのだ。
 怒りに我を忘れた彼は、その身果てるまで暴れ続け、やがて自壊じかいしてしまうだろう。放っておけば森津波は避けられない。
 とはいえ、「あなたのつがいは癒したから怒りを収めてくれ」と、彼に直接伝えたところで話を聞いてくれるものではない。
 何らかの手段で、彼の怒りを鎮静化させる必要があった。
 では、どうするか。
 シュルヴェステルが、指を差して告げる。

「リキオー、雄の守護者はあそこだ」

 彼の示すほうを見れば、一目瞭然いちもくりょうぜんだった。
 バリバリと激しい紫電しでんが巻き起こり、鋭い雷光らいこうほとばしっていた。
 さらにタングニョーストは、ゆっくりとした歩みではあるものの、確実にエルフの森へ進んでいた。
 破滅の足音が近づいているのを実感し、リキオーが銀狼団に告げる。

「マリア、ハヤテ、頼む。難しい注文をしてすまないが、やっこさんを倒すわけにはいかないんだ。俺が怒りを鎮める方法を見つけるまでの間、守護者を食い止めておいてくれ!」

 策はない。今から考えるのだ。
 マリアはヘルメットを目深まぶかに被り、背にしていた盾を構えながら返答する。

「フッ、ご主人は相変わらず、無理を言う。だが、ご主人の頼みなら引き受けないわけにはいかないな!」
「わうっ、わうぅ~ん」

 ハヤテも気合い十分とばかりに吠えた。
 リキオーは、ゲームの知識から、守護者とやり合うために必要な戦法を伝えた。そして彼女たちを鼓舞こぶするように言う。

「よし、頼んだ!」
「うむ、行こうハヤテ」
「わうっ」

 リキオーから願いを託された一人と一匹は、タングニョーストにひるみもせずに向かっていった。
 リキオーはマリアたちを送り出し残ったままたたずんでいた。
 そんな彼に、シュルヴェステルが不審の表情で尋ねる。

「リキオー、お前は行かないのか?」

 リキオーが悪びれることなく答える。

「俺にはまだ大事な仕事があるんだよ。シュルヴェステル、守護者は怒りに我を忘れている状態だ。そんなとき、どうやったらその怒りを鎮められると思う?」
「無茶だ。神の怒りをコントロールする方法などあるはずがない」

 すでに諦めているかのようなシュルヴェステルの返答に、リキオーはため息を漏らす。

「それをしなければ、森は終わってしまうんだよ」

 リキオーはヤレヤレと頭を振った。
 とはいえ、ここで悩んでいる時間も惜しい。何かのヒントを得ようと、雌の守護者を癒している泉のほうへ向き直る。
 そこではアネッテが、リキオーに指示されたように守護者を癒し続けていた。
 アネッテが心配そうに尋ねてくる。

「マスター、雄の守護者はどうにかなりそうですか?」
「マリアとハヤテで食い止めてもらってる。ちゃんと対策を伝えたから大丈夫だろう。ただし、雄の怒りを鎮める根本的な解決策はまだ考えついていない……それより、雌の守護者はどうだ?」
「今はまだお休みになっておられます。とても動ける状態ではありません」

 雌の守護者は、巨体を泉の中に横たえていた。浅いながらも確かに呼吸をしている。
 リキオーは頭をポリポリと掻きながらつぶやく。

「雌の守護者さまに説得してもらえれば、一番簡単なんだけどな」

 アネッテが何かを思い出したらしく、リキオーに尋ねる。

「そういえば、マスター。守護者さまを治療するときに最初に【レストレーション】をかけるように指示してくださいましたけど、あれはどうしてですか?」
「ん、ああ。あのヒト族が使用していた武器な。その弾なんだけど、毒性が強いんだよ。そんなものが体内にあったから。傷が腐ったりしたら回復できないから……な」

 そこまで言って、急に思いつくものがあった。

(あいつが守護者の肝を与えたかった父親の病気の原因は、銃弾に関係があるんじゃないか)

 銃弾は、鉛や銅などの柔らかい金属から作られており、毒性があるのだ。
 体内に取り込んでしまうようなことがあれば、中毒症状が出てもおかしくない。

(仮に父親の病の原因がその毒によるものだとして、それを守護者の肝で治せるなんてめちゃくちゃな話だ。あいつが思いつくわけがない)

 とすれば、それを入れ知恵したやつがいるはず。
 でも、いったいなぜ守護者を殺させようとしたんだ?
 今回の事件の真相にたどり着きそうな気配があったが、リキオーはその考えを進めるのを一旦留保すると、アネッテに指示した。

「アネッテ、もう、こっちの守護者さまは大丈夫だ。あとは泉の力と自然治癒でなんとかなると思う。問題は雄のほうだ。マリアとハヤテの支援に向かってくれ。それとな、二人と戦闘してる雄の守護者も回復してやってくれ。雄のほうが森津波を起こす危険性が高いんだ」
「はい、わかりました」

 リキオーが悪戯いたずらっぽく笑うと、彼女もニッコリと微笑んで駆け出していく。
 さらに彼は、シュルヴェステルにも指示をする。

「シュルヴェステル、狩人パーティにはこっちの守護者の警護に当たらせてくれ。単純に身を守ってやるという意味もあるが、狩人たちも守護者のつがいの片割れが無事とわかれば、少しは希望が見えてくるだろう?」
「うむ、そうだな」

 シュルヴェステルはリキオーの言葉にうなずくと、馬車へと走っていった。


 指示を出し終えたリキオーは、ヒト族の男が縛られている所に戻ってきていた。
 この男に、事態打開のヒントがあると思ったのだ。
 男は縛られたまま、泣き疲れた表情でグッタリとしている。

「おい、お前……名前はなんて言うんだ? 俺はリキオーだ」

 さすがにいつまでも名無しでは面倒と思い、名前を尋ねてみた。

「レスターだ。な、なあ、守護者はどうなった? 肝は取ったんだろうな?」
「あん? まだそんなことを言っているのか。お前の親父さんは俺たちが何とかしてやるから、もう肝のことは忘れろ。そもそも守護者の肝を親父さんに食わせたって、治ることなんかないんだからな」
「なんだと! 馬鹿なことを言うな。ホルガーの言うことは正しいんだ。やつの言ったとおりにしたから、守護者だって倒せたんだ」
「ほう、そのホルガーっていうやつがお前さんに、親父の病気に守護者の肝が効くって言ったのか?」

 リキオーが目をすがめて指摘すると、レスターは「あっ」と言って口をつぐんだ。

「まあ、そんなことは今はいい。それよりも聞きたいことがある。お前、どうやってあの武器から弾を撃ち出してるんだ?」

 そう質問をしながらリキオーは、レスターのステータスを確認した。




  名前 : レスター(18)
  クラス: 狩人
  ジョブ: 銃魔士
  レベル: 16
  
  LP 27 HP 58 MP 38
  
  力 :21  耐久:20
  器用:12  敏捷:13
  知力:10  精神:11
  運 :11
  
  ボーナスポイント:10 スキルポイント:3 
 
  ■ジョブスキル
  【弓(b)】【銃(d)】
  
  ■ウェポンスキル
  【エイミングショット(c)】
  【ブラストアロー(c)】
  
  ■アクティブスキル
  【生活魔法(b)】
  
  ■パッシブスキル
  【警戒(level1)】
  【HPmaxアップ(level1)】




(なんだこりゃあ! 銃魔士だとぉ……初めて見たぞ、そんなジョブ)

 一瞬、呆気あっけに取られる。
 それにジョブが設定できているということは、このレスターとかいうやつは冒険者であり、転職の儀式を経験していることになる。
 ここはエルフの支配する土地。
 彼らヒト族がウロウロしていてエルフたちに見つからないはずがない。それに、転職の儀式を受けるための教会は王都にしか存在しない。
 エルフたちに見つからずに大森林から出て、教会のある王都まで移動し、決して安くはない寄進料を払い、また戻ってきたということになる。
 一介の青年にできるはずがない。
 誰か、王都でも顔が利く協力者の手ほどきが必要だったはずだ。その協力者は、先ほど名前が出た、ホルガーなのではないだろうか。何となくそんな気がする。
 それと気になるのは、生活魔法のレベルが熟練度の高い(b)という点。おそらく、あの銃から弾を発射するのと関係があるのではないか。
 銃のジョブスキルがあっても、弓のウェポンスキルしか持っていないところを見ると、見よう見まねで銃を扱っている段階ということだろうか。
 どうやら、いろいろ状況が見えてきたようだ。
 レスターが、オドオドとした様子でリキオーに問う。

「な、なあ。本当に親父の病気治せるのか? 守護者さまのタタリなんかじゃないのか」
「何を今さら。お前はその守護者さまを手にかけてるんだ。まさか知らなかったとは言わないよな。守護者さまを倒せば、山も森もすべて死んでしまうんだぞ」
「なっ、そんな、こと……」
「森津波、知らないとは言わせないぞ」

 さすがにレスターも森津波のことは知っていたようだ。
 そして、その原因を自分が作ろうとしていたことに、遅まきながらに気づいたらしい。急にガタガタと震え出す。

「ど、どうしよう、お、俺っ……」
「そっちのほうは俺たちが何とかしてみせるから、お前はさっきの話の続きだ。あの武器から弾を撃ち出すカラクリを教えてくれたら縄を解いてやる」
「お、俺どうしたらいいんだ。うう、お、教えるから……全部教えるからよぅ」

 レスターはポロポロと語り始めた。
 その技術は、やはり生活魔法の一種で、爆破というものらしい。
 なんでも、昔この地に落ちてきた大きな火花を見たところから、使えるようになったということだ。
 その話から、リキオーはやっと解決策の糸口を掴む。

(ん? 爆破か……そうか、そうするとアレが使えないか)

 まあ、ものは試しということでなんでもやってみよう。そう考えたリキオーは、足元に転がっていた銃や予備の弾を入れた鞄をかついで、レスターを連れて他の銀狼団のもとへ走った。


 ***


 一方その頃マリアたちは、雄の守護者の相手をしていた。
 マリアは、恐ろしい姿をした守護者の前に出ると、シールドを構えて挑発ちょうはつスキル【ハウリングアーツ】を放った。
 守りの堅い自分に、敵の攻撃を集中させるためだ。

「来いっ! ……くっ、来いっ」

 しかしタングニョーストは、マリアに意識を向けない。そこで、気合いを相手にぶつけスタンさせるスキル【覇気はき】を使用し、どうにか自分に注意を向けさせることに成功する。
 するといきなり、タングニョーストは、獅子の額の真実の目を見開いて翼をはためかせると、バリバリと音を立て、雷撃【サンダーレイン】を放とうとする。

「くぅッ……」

 盾を構えて衝撃に備えるマリア。
 そこにハヤテがやって来る。「アォォーン」と吠えると、彼の【咆哮】のテラー効果により、【サンダーレイン】は中断された。
 だがその後、技を中断された守護者が怒り狂い、前足を振り回す。
 守護者の大技【メイルストラム】だ。
 前足が凶暴きょうぼうに振るわれ、マリアとハヤテに襲いかかった。

「くっ、ううっ……」
「キュウゥン」

 ハヤテはスキル発動後のインターバルで対応できず、マリア共々食らってしまう。二人は渦巻うずまく強烈な台風にさらされた。

「ハヤテ、【ショートヒール】!」

 マリアはすかさず、ハヤテに回復呪文を唱える。
 再び守護者は、獅子の額の真実の目を開くと、今度は黄色い光線を放った。

「ぐっ、し、まっ……た」

 ヒト族限定でテラー効果を与える四神専用技【ヒューマンエラー】だ。
 それを防ぐ手段はハヤテの【咆哮】か、マリアのスタン技である【シールドストライク】しかない。
 マリアは魔法使用後の硬直のため発動できない。
 彼女が地にひざをついていると――

「ガァァ!」

 無防備になったマリアをかばおうと、ハヤテがマリアの前に飛び出し、二段ジャンプで空中から爪を振り立てる。
 だが、それは悪手あくしゅだった。
 タングニョーストの尾の蛇がハヤテをその冷たい眼差しで捉えると、石化攻撃が飛んで来たのだ。
 空中のハヤテには避ける手段はない。
 まともに石化効果を受けてしまい、パリパリと不気味な音を立てて、その体は石へと変わっていく。

「ま、ず……ハヤ……」

 マリアは、ハヤテに「逃げて」とすら言うことができず、守護者がさらに大技【アブソリュートダート】の予備動作を始めたのを見て、絶望に染まった。
 そのとき、助けの手がやって来た。

「止まりなさいッ、【インブロイダー】!」

 マリアの横に立ったのは、彼女の姉貴分のアネッテだ。
 杖を構えて両手を突き出すと、呪文が放たれた。守護者の足元に黄色い光のさくが完成し、守護者のたくましい足を拘束した。
【インブロイダー】は移動拘束呪文である。これによって、守護者の大技はキャンセルされた。
 アネッテはすかさず、状態異常回復呪文をマリアにかけて彼女のテラー効果を打ち消した。さらにハヤテにもかけ、石化を解いた。

「これで、もう大丈夫ね」
「姉さま!」
「わうぅン」

 ハヤテの石化した表面が、パラパラと剥がれ落ちていく。マリアもハヤテも、アネッテの登場に歓喜の声を上げた。

「さあ、マスターが来るまで持ちこたえるわよ」
「うむ!」
「わぉン!」

 アネッテの参戦に、勇気百倍の効果を得た銀狼団のメンバーたちだった。
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