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第3章 王都にて(後)

第69話 姉はかしまし

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「ユーリ!今日どっかのアバズレ娘にいじめられて大泣きしたって本当!!?」

「ユーリ!今日どっかのアバズレ娘がリカルドお兄様に失礼な態度とったあげく、そのアバズレ娘のせいでリカルドお兄様がお母様に怒られたって本当!!?」

ユーリの心配をしたのは上の姉のユナで、

リカルドの心配をしたのは下の姉のサナだった。

ユナは末っ子のユーリの面倒をよく見ており、

ユーリが赤ん坊の頃から猫かわいがりしていたブラコンで、

サナはユーリと同じくリカルドを完璧な兄だと思っており、

将来はリカルドお兄様のような人と結婚したいと常々言っているブラコンだった。

二人は一緒にお茶会に出かけて帰ってきたら、

王宮が何やら慌ただしくなっており、

リカルドの侍女やユーリの侍女や衛兵たちから断片的に今日のお茶会の話を聞き、

それぞれに曲解した。

「アバズレ!?もしかしてエレンのこと言っているの!?」

ユーリは熱でフラフラになりながらも、

二人のあまりの曲解にびっくりして大きな声で聞き返した。

「エレン!?そのアバズレ娘はエレンっていうの!?

聞いたことない名前ね!サナ、あなた聞いたことある!?」

ユナは部屋に乱入したときの調子のままユナに聞くと、

「エレン!?聞いたことないわね!?

どこの没落貴族よ!?」

サナも興奮したまま答えた。

ユーリは体調がいいときでも、

この二人の姉の勢いには勝てなかった。

体調が悪い今はなおさら勝てる気がしなかったが、

何をどうしたらそうなるのか、

とにかくエレンの評判が最悪なことになっていた。

ユーリはフラフラになりながらも、

エレンの名誉を回復しなければと奮起した。

「二人とも何をどう聞いたのかわからないけど、

エレンはアバズレ娘なんかじゃないよ!

母上の幼馴染みのテオドアール辺境伯の一人娘で、

今日は僕とエレンでお茶会をしていて、

途中からリカルド兄上もいらっしゃって、

三人で色々話している間に、

僕が勝手に泣いただけだよ!」

ユーリは今日のことを口にし、

改めて今日の自分が情けなくなり、

また涙が出てきそうになった。
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