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百年を超える歴史を持ち、
政財界の頂点に連なる家の令嬢のみが通う、
“手の届かぬお嬢様学校”。
その学院に、ある日突然、
社会から零れ落ちた二人の二十四歳の女性が編入する。
無職で借金を抱え、過去を語れない女――ミユ。
家族を抱え、動じない女――キミカ。
年齢も、身分も、育ちも、
本来なら交わるはずのない二人が、
なぜ聖崇女学院に招かれたのか。
そこでは、
礼儀は人格を測る道具となり、
沈黙は罪と見なされ、
名前は「神から預かった識別」として、人を縛る。
救済を語る言葉ほど鋭く、
優しさの顔をした制度が、静かに魂を削っていく。
これは、
逃げ場のない学院で、
自分の名前と生き方を守ろうとする者たちの物語。
洗練と格式の裏側で、
何が奪われ、
何が残るのか。
――選ぶのは、名か。
それとも、自分か。
文字数 13,258
最終更新日 2025.12.20
登録日 2025.12.18
彼女にとって、幸せの畢りとは――「二人で眠ること」。中学三年生の頃から“殺し愛”を夢見続けてきた、20代のレズビアン女性・ボイタチのみゆは、共に骨となる「最期の一人」を捜し求めている。これは、その渇望と孤独を綴った、痛切な実録手記である。
文字数 24,726
最終更新日 2025.12.19
登録日 2025.12.18
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